【寝返りでめまい】三半規管に入り込んだ耳石が眩暈の原因 寝転がり体操で改善

【寝返りでめまい】三半規管に入り込んだ耳石が眩暈の原因 寝転がり体操で改善

耳が原因のめまいで最も多く、患者さんの約半数を占めるのが、「良性発作性頭位めまい症」です。この病気は、頭を特定の位置に動かしたときに、回転性のめまいが起こります。良性発作性頭位めまい症は、内耳にある耳石器から耳石がはがれ、三半規管の中に入り込むことで発症します。【解説】肥塚泉(聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科教授)


加齢などではがれた耳石がめまいの大きな原因

 私が率いる耳鼻咽喉科は、これまでに、5万人以上のめまい患者を治療してきました。
 そのうち、耳が原因のめまいで最も多く、患者さんの約半数を占めるのが、「良性発作性頭位めまい症」です。この病気は、頭を特定の位置に動かしたときに、回転性のめまいが起こります。普段寝返りをしない人が、寝返りをしたときなどに、起こることもあります。

 目が回る感覚は強烈で、吐き気やおう吐も伴います。症状が非常に激しいため、不安感や恐怖感を訴える患者さんも少なくありません。
 通常、良性発作性頭位めまい症によるめまいは、30秒ほどで治まり、耳鳴りや難聴といった聴覚の症状は伴いません。「良性」という名のとおり、自然に治癒する割合が多いのですが、再発することもあります。

 良性発作性頭位めまい症は、内耳にある耳石器から耳石がはがれ、三半規管の中に入り込むことで発症します。
 耳石が三半規管に入ると、頭を動かしたときに耳石が動き、三半規管内のリンパ液に流れが生じます。

 しかし、頭の動きが止まった状態でも耳石が転がり、三半規管内のリンパ液が流れ続けると、脳には「まだ頭が動いている」と、誤った情報が送られます。この情報のズレで脳が混乱し、めまいが起こるのです。

 では、耳石がはがれる原因はなんでしょうか。
 耳石の主成分は、骨と同じ炭酸カルシウムです。骨粗鬆症と同様、耳石も加齢によってもろくなり、はがれやすくなることで、三半規管に入るのです。
 頭を強く打った場合も、衝撃で耳石がはがれて発症することがあります。また、運動不足も有力な原因の一つです。

7割に効果 医師が行う「エプレイ法」 自分でもできるのが「寝返り体操」

 良性発作性頭位めまい症は、耳石を三半規管から取り除けば治ります。

 物理的に耳石を取り除く方法の一つに、「エプレイ法」があります。これは、医師が患者さんの頭を動かすことで取り除く方法です。1回の治療で、7割程度の患者さんのめまいが消失することが知られています。しかし、患者さんが1人で行うことはできません。
 そこで、患者さん自身で行うことができる方法の一つとして、当院の耳鼻咽喉科で考案したのが、「寝返り体操」です。

 良性発作性頭位めまい症は、睡眠時に寝返りを打たない人がなりやすいことで知られていました。ならば、意識的に寝返りを打てば治るのではないか、という発想から生まれた体操です。

 自分で頭を動かすことで、三半規管に入り込んだ耳石を排出したり、塊になった耳石を砕いたりする効果があります。
 患者さんの7割が治癒し、早い人は数日、遅くても1ヵ月以内にめまいが解消するケースが多く、まじめに取り組む人ほど、効果が早く得られます。

 耳鳴りや、難聴を伴うメニエール病、めまいを伴う突発性難聴、前庭神経炎の人にも、寝返り体操はお勧めです。ただし、これらの病気の人は、小脳による体のバランス調整の効果を高めるため、明るい部屋で、目を開けて行ってください。
 良性発作性頭位めまい症の人が寝返り体操を行うときは、目を開けていても、閉じていてもOKです。

 体操を始めると、一時的にめまいの症状が悪化したり、ぶり返したりします。これらは、めまいに慣れようとして起こるもので、効いている証拠です。回数を減らしてもいいので、無理のない範囲で続けましょう。ただし、あまりに症状がつらい場合は、中止してかまいません。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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