首のこりをほぐして耳鳴り、めまい、難聴を改善する「あごの円回し」

首のこりをほぐして耳鳴り、めまい、難聴を改善する「あごの円回し」

耳の症状に見舞われた場合、内耳に問題があると考え耳鼻科に通う人がほとんどでしょう。しかしいくら薬を飲んでも、治療を受け続けても、よくならないケースは珍しくありません。それもそのはず。そうしたケースに悩んでいる人は、根本的な原因が、首に潜んでいる可能性が高いといえます。【解説】劉 莉亜(劉先生鍼灸院院長・医学博士)


首の後ろを緩めて 血管や神経の圧迫を回避

 私は、頸椎(背骨の首の部分)の異常などにより神経が刺激され、さまざまな症状を引き起こす「頸椎症」を専門にした鍼灸院を開いています。
 日本で治療活動を始めて16年になりますが、開院当初から、日本人特有の身体傾向があることに気づいていました。

 それは、首に問題を抱えている人が非常に多い点です。
 これは、欧米人に比べて首の骨が小さいことや、湿度の高い特有な気候も影響しているのでしょう。しかし、いちばんの理由は、ふだんの悪い姿勢によって首に負担がかかり、首周辺の血流が悪化していることだと、私は考えます。

 頸椎の周囲には、筋肉や筋膜(筋肉を包む薄い膜)などの組織があり、それらが頸椎を支えて安定しています。しかし、悪い姿勢で血流が低下すると、首を支える筋肉がどんどん衰え、かたくなってしまうのです。
 首の場合、特に問題となるのが、後頭部の左右両側にある、大後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋の三つの筋肉です。

 これらの筋肉は三角形を形成していますが、この中央部にあるすきまのことを後頭下三角と呼びます。ここには、脳につながる重要な血管や神経が通っています。
 しかし、悪い姿勢が続き、首の筋肉組織が硬化・癒着などの変化を起こすと、後頭下三角が狭くなり、そこを通る神経や血管が圧迫されてしまうのです。

 特に、後頭下三角を通る血管は、小脳や内耳に血液を供給するという重要な役割を持っています。
 そのため、後頭下三角が圧迫されると、次のような症状が出やすくなります。
●耳の症状:めまい、耳鳴り、難聴など
●目の症状:視力低下、眼精疲労、かすみ目、ドライアイなど
●その他の症状:頭痛、吐き気、倦怠感、疲労感など

 耳の症状に見舞われた場合、内耳に問題があると考え、耳鼻科に通う人がほとんどでしょう。しかし、いくら薬を飲んでも、治療を受け続けても、よくならないケースは珍しくありません。
 それもそのはず。そうしたケースに悩んでいる人は、根本的な原因が、首に潜んでいる可能性が高いといえます。
 つまり、首の筋肉を緩めて、後頭下三角を広げれば、耳鳴りやめまい、難聴などの耳の症状の改善につながるのです。

耳鳴りと難聴が軽快! 耳の手術も回避できた!

 しかし、前述した後頭下三角を形成する三つの筋肉は、皮膚の深層にあるので、指圧程度の刺激では、ほとんど緩めることができません。そのため、私の鍼灸院では、首への鍼治療を行っています。

 そして、それらの筋肉をほぐすセルフケアとして患者さんにお勧めしているのが、「あごの円回し」です。
 あごの円回しは、日常生活で手軽にできる簡単なストレッチですが、その効果は絶大です。

 この動きをすることで、首の筋肉を伸ばしたり縮めたりすることができ、カチカチにかたまった首の筋肉が緩みます。もちろん、深層にある後頭下三角を形成する三つの筋肉にも有効です。

 あごの円回しは、耳鳴りやめまい、難聴といった耳の症状はもちろん、首が原因による眼精疲労や頭痛、肩こりなど、さまざまな症状の改善にも役立つでしょう。

 これまで私は、たくさんの患者さんに、あごの円回しを勧めてきました。実際に、いくら病院に通ってもよくならなかった耳の病気が改善した、というケースは多くあります。一例をご紹介しましょう。

 Aさん(40代・女性)は、めまいに加えて、耳鳴りと難聴にも苦しんでいました。耳鼻科で診てもらったところ、「内耳の手術が必要」といわれたそうです。そこで私は、Aさんの首に鍼治療を施しつつ、あごの円回しを教えました。

 すると、Aさんのめまいはほぼ消失。さらに、耳鳴りと難聴も軽くなったのです。耳の手術が回避できたのは、鍼治療や、熱心に続けたあごの円回しの成果でしょう。
 首や肩のコリは、まさに首に異常が起こっているサインです。ぜひ、あごの円回しを日常生活に取り入れてください。

首治療の権威・劉先生

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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