【使うのはペットボトル】心地よい温かさで耳鳴り、めまいを改善「脳幹マッサージ」

【使うのはペットボトル】心地よい温かさで耳鳴り、めまいを改善「脳幹マッサージ」

耳鳴りやめまいは、原因がわからないことが少なくなく、皆さんのなかにも病院で診てもらってもよくならず、お困りのかたがいらっしゃるでしょう。もしかしたらその症状も、脳幹に原因があるかもしれません。【解説】沼田光生(海風診療所院長)


脳の根幹の機能低下が耳鳴り・めまいの原因

 皆さんは、脳幹という場所をご存じでしょうか。脳幹とは文字どおり脳の根幹をなすところで、視床、視床下部、中脳、橋、延髄の総称のことです。
 自律神経系、免疫系、内分泌系、脊髄・筋肉系の働きをつかさどっており、いわば私たちの生命活動の根幹を担っているといえます。

 私は、生活習慣病をはじめとする体の不調の多くが、この脳幹の機能低下が原因だと考えています。それは、耳鳴りやめまいといった症状も例外ではありません。
 耳鳴りやめまいは、原因がわからないことが少なくなく、皆さんのなかにも病院で診てもらってもよくならず、お困りのかたがいらっしゃるでしょう。もしかしたらその症状も、脳幹に原因があるかもしれません。

 脳幹の機能低下には、主に次の二つの要因が考えられます。

❶頸椎のゆがみによる脳幹の圧迫
❷慢性的なストレスによる大脳の過剰興奮

 頸椎とは首に位置する背骨で、上から順に、第1頸椎、第2頸椎…と呼びます。脳幹は脳の最下層に位置しますが、その下端は後頭骨(頭蓋骨の後ろ下部にある骨)と第1頸椎、第2頸椎の間にあります。
 そのため、筋肉の過緊張や、姿勢の悪化、加齢などによって頸椎にゆがみが生じると、脳幹の下端が圧迫されてしまいます。そして、脳幹全体の血流が滞り、機能低下を招くのです。

頸椎のゆがみが直り副交感神経が優位に!

 脳幹の機能低下を引き起こすもう一つの要因は、慢性的なストレスです。
 私たちの体はストレスを感じると、大脳が興奮した状態になります。すると、それが脳幹へと伝わり、体に戦闘態勢をとるように指令を出します。

 このときに影響を受けるのが、自律神経です。自律神経とは、臓器や血管など体のあらゆる器官を調整している中枢的な神経のことで、交感神経と副交感神経から成り立ちます。
 交感神経は活動時に優位になり、一方の副交感神経は休息時に優位になります。両者がバランスよく保たれることによって、私たちの健康状態は維持されますが、過剰なストレスは交感神経ばかりを優位にさせます。すると、体は常に緊張した状態を強いられ、脳幹が疲弊してしまうのです。

 原因不明の耳鳴りやめまいの治療には、頸椎のゆがみと自律神経の乱れを直すことこそ重要です。そうすれば、脳幹の機能は回復し、症状も徐々に快方へと向かっていくでしょう。
 その方法として私が患者さんに勧めているのが、「脳幹マッサージ」です。自宅で簡単に行えるセルフケア法で、これまで数々の高い効果を上げてきました。

 準備する物は、ホット飲料用のペットボトルです。ふたがオレンジ色の280㎖か300㎖の物を用意してください。その中に50度前後のお湯を注ぎ、しっかりとふたを閉めます。
 これを、脳幹が位置する場所に押し当てて刺激します。後頭部の生え際から耳の後ろにかけてが、脳幹が位置する場所=脳幹ゾーンです。

 まず、後頭部の生え際の下に3秒かけてゆっくり押し当てたら、そのまま3秒間キープし、5秒かけてゆっくり力を抜いていきます。次に、ペットボトルを右耳の後ろに移動して、同じように刺激しましょう。さらに、左耳の後ろに移動して、同じように刺激します。これを3分ほどくり返してください。
 お湯の温度は50度が目安ですが、それ以上でも以下でもかまいません。自分がいちばん心地よいと感じる温度にしましょう。ただし、ヤケドにはくれぐれもご注意ください。

 首の後ろを温めることで、筋肉の緊張が緩んで、筋肉に引っ張られてゆがんでいた頸椎が正しい位置に戻ります。加えて、首を温めながら刺激を加えることで、慢性的な興奮状態にある大脳が休まり、副交感神経が優位になります。
 これらの相乗効果によって、脳幹が活性化して自己治癒力が向上するのです。人間の体には本来、自分で症状を回復させる自己治癒力が備わっています。脳幹マッサージによって、弱体化したその能力を大きく高めることができるでしょう。

キーンという耳鳴りの高音がその場で半減!

 それでは、実際に耳鳴りやめまいが改善した症例をご紹介します。

 61歳の男性Sさんです。Sさんは、不整脈の一種である心房細動を患っていました。疲れがたまると動悸が激しくなり、同時にめまいが起こるそうです。 また、薬を服用していましたが、薬を飲み始めてからは、冷えに悩まされるようになりました。おなかが冷たくなり下痢を起こしやすく、肩や背中のコリ、不眠などの症状もあったそうです。
 そのため、脳幹マッサージを自宅で行うように指導しました。そして毎日続けていくうちに、めまいと動悸の起こる頻度が徐々に減っていったのです。その効果には、Sさんも大変喜んでいました。

 次に、耳鳴りの改善例です。52歳の女性Aさんは、キーンという高音が頭の中で鳴り響く耳鳴りに悩まされていました。最初に行った病院では、突発性難聴と診断されたそうです。
 当院では、初診時にAさんに脳幹マッサージを施しました。すると、その場で耳鳴りの音が半減し、耳の聴こえが大変よくなったのです。
 それ以来、Aさんは自宅で熱心に脳幹マッサージを行うようにしました。そして5ヵ月後には、耳鳴りがほとんど気にならない程度まで改善したのです。

 SさんやAさんのように、脳幹マッサージは継続することが重要です。まずは、根気よく続けてみてください。

沼田光生先生
山口大学医学部卒業後、大阪大学医学部附属病院特殊救急部、阪和記念病院脳神経外科などを経て、現在に至る。周南病院理事長。患者の心身を丸ごと診る「ホリスティック医療」を実践。e-クリニック・スタッフ医師。著書に『「首を温める」と万病が治る』(マキノ出版)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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