【眼科医】緑内障と運動・生活習慣の関係 ― 眼圧は少食やウォーキングで改善する

【眼科医】緑内障と運動・生活習慣の関係 ― 眼圧は少食やウォーキングで改善する

眼圧とは眼球内部の圧力で、これが高くなることが緑内障の主要な原因とされています。そのため、緑内障の治療では眼圧のコントロールが欠かせませんが、従来の標準的な眼科医療では、それをもっぱら薬と手術で行ってきました。【解説】山口康三(回生眼科院長)


口呼吸の患者に寝る前の口テープを勧めている

運動・少食と緑内障に関する最新研究

 2017年の眼科学会では、たいへん画期的な発表が行われました。
「運動習慣が眼圧に与える影響」と題して、九州大学の研究チームにより、運動によって眼圧が降下することを示唆する研究結果が述べられたのです。

 眼圧とは眼球内部の圧力で、これが高くなることが緑内障の主要な原因とされています。そのため、緑内障の治療では眼圧のコントロールが欠かせませんが、従来の標準的な眼科医療では、それをもっぱら薬と手術で行ってきました。
 こうした長年の状況に対し、運動という生活習慣と眼圧の関係を調べた研究発表がされたのですから、注目すべき出来事です。

 最近のトピックはほかにもあります。「カロリー制限と緑内障」に関する研究論文も専門誌に載りました。日本で開発された「正常眼圧緑内障マウス」を使った実験では、必ず緑内障になるマウスが、「1日置きに絶食させることで緑内障を発症しなかった」という研究報告もされています(東京都医学総合研究所)。

 北海道大学の研究チームは、睡眠時にイビキと呼吸停止をくり返す「睡眠時無呼吸症候群」と緑内障の関係を解明する研究論文を米国科学誌に発表しました。無呼吸による「酸素不足」が緑内障の発症に影響することがわかったのです。ですから、緑内障の悪化防止には、口呼吸とイビキを防ぐことも重要です。

 緑内障の治療は、まだまだ薬が主体とはいえ、少しずつ、運動や食事、睡眠など、生活習慣のたいせつさにも光が当てられつつあるようです。

目の「総合医学」で目の難病が改善

 私は長年、目と全身の関係を重視し、生活習慣の改善によって目の病気を治療してきました。このやり方を、私は「目の総合医学」と呼んでいます。薬や手術による治療に慣れた人からすれば、遠回りに感じるかもしれませんが、目の病気を治すには、実はこの方法こそ近道です。緑内障のように、現代医学による治療が難しい病気では、特にそうです。

 緑内障は成人の失明原因のトップになってしまいました。長年、トップだった糖尿病網膜症を10年ほど前に追い抜き、今も緑内障にかかる人や、進行して失明する人が増え続けています。その緑内障を劇的に改善しうるのが、私の行っている「目の総合医学」なのです。

薬で治らない「目の難病」も改善

 緑内障になった人の生活習慣を聞き取ると、夜ふかし、食べ過ぎ、甘いもの好き、ストレスなどが目立ちます。慢性的な首こりや肩こり、便秘の人も多くみられます。
 これらを解消する「目の総合医学」の指導を行うと、まじめにやってくださったかたは、眼圧が簡単に下がります。進行していた視野の欠損は止まり、少なくとも現状が維持できるようになります。失われた視野が回復できる例も珍しくありません。

 全身が健康なのに、目だけが病気になることは、まずありません。体調が悪くなり、血液循環や腸の働きが低下し、それが目に現れて緑内障が起きているのです。
 全身を不健康なまま放置して、薬や手術で目だけをいじっても、治りにくいのは当然です。そこで、全身に働きかける根本治療を行うのが、「目の綜合医学」です。その柱は次の4つです。

①少食
 まず、間食・夜食をやめ、次に全体的に腹八分目にし、それができたら朝食を抜きます。特に夕食で食べ過ぎないようにします。

②血流改善
 血流をよくして酸素不足を防ぐために、散歩ペースのウォーキングを1日に1万3000歩行います。甘いものやカフェインを控え、水を飲むことなども大事です。

③排便をよくする
 脳と腸には深いつながりがあります(脳腸連関)。目は脳の一部なので、腸を元気にすることも緑内障治療には重要です。①②を行うと、腸が元気になり、便通がよくなってきます。

④睡眠をしっかりとる
 睡眠不足は目と全身に負担をかけます。目に負担をかけるストレスをリセットするには睡眠が大事なので、夜9時には寝るようにします。イビキをかく人は、寝るときにかぶれにくいテープを口にタテに貼り、口呼吸と睡眠時無呼吸を防ぎましょう。

 これらを実践していただくと、緑内障の進行阻止や改善ができるほか、白内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症といった目の病気にも効果があります。大学病院でお手上げの眼病でも、これらを実践することで劇的に改善している症例もあります。

やまぐち こうぞう 
1981年、自治医科大学医学部卒業。91年、回生眼科を開業。日本綜合医学会副会長、日本綜合医学会食養学院長。日本眼科学会認定医。日本東洋医学会専門医。西洋医学と東洋医学の接点を求め、実践。真の健康体をめざし、食事療法を中心とした綜合医学の診療にあたっている。また、日本綜合医学食養学院の学院長に2011年度任命され、食養(食事に基づく健康法)を全国に広げる活動をしている。著書に『白内障・緑内障が少食でよくなる』(マキノ出版)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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