疲れの真犯人「脳疲労」を撃退する特効薬はなんと【ほぐしチキン】

疲れの真犯人「脳疲労」を撃退する特効薬はなんと【ほぐしチキン】

これまで、疲労が起きるのは、「エネルギーがなくなるから」「疲労物質が筋肉にたまるから」と考えられてきました。しかし、最新の研究によって、疲労が起きるほんとうの理由は、「自律神経の中枢である、脳がサビつくから」ということが、わかっています。【解説】梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック院長)


鶏の胸肉+レモン汁は
疲れを取る最強コンビ

疲れたと感じるのは 脳がサビつくから

 あなたが「たまった疲れを取りたい」「疲れにくい体になりたい」と望むなら、疲労が起きるしくみを正しく知ることがたいせつです。
 これまで、疲労が起きるのは、「エネルギーがなくなるから」「疲労物質が筋肉にたまるから」と考えられてきました。しかし、最新の研究によって、疲労が起きるほんとうの理由は、「自律神経の中枢である、脳がサビつくから」ということが、わかっています。
 運動をしすぎたり、ストレスを抱えすぎていると、酸素の消費量が増えて、「活性酸素」が発生します。
 活性酸素が増えると、正常な細胞をサビつかせたり、傷つけたりします。これが、老化や病気の原因になります。この活性酸素が、脳にある自律神経の中枢の細胞をサビつかせると、私たちは疲労を感じるのです。
 ですから、疲れを取ったり軽くしたりするには、自律神経の中枢をサビつかせないことがたいせつです。

 疲労についての研究は、2003年に「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」が始まったことで、大きく進歩しました。
 ここまで話してきた内容も、研究で明らかになったことの一つです。そしてもちろん、疲労の回復や軽減についても、科学的に実証された方法がいくつかあります。
 その中から今回は、疲れに効く食材として、鶏の胸肉を紹介します。

疲れの根本に直接効く 「鶏の胸肉」

 鶏の胸肉には、疲労を防ぐ効果が高い「イミダペプチド(イミダゾールジペプチド)」という成分が、豊富に含まれています。
 イミダペプチドが優秀なのは、自律神経の中枢の細胞が酸化するのを防いでくれるところ(抗酸化作用)。イミダペプチドを摂取すると、疲労を抑えることができるわけです。
 イミダペプチドは、体内に入ると、2種類のアミノ酸に分解されます。小さくなるので、イミダペプチドのままでは通れないところでも、血液に乗って通過でき、脳の中に入ることができます。
 その後、脳にある自律神経の中枢で、2種類のアミノ酸は再び合成され、イミダペプチドに戻ります。そこで、抗酸化作用を発揮して、疲労を防いでくれるのです。

 抗酸化作用のある成分といえば、ワインやチョコレートに含まれる「ポリフェノール」が、よく知られています。しかし、ポリフェノールが抗酸化作用を発揮してくれる時間は、約2時間と短く、自律神経の中枢に作用するのかどうかも、まだ確認できていません。
 一方でイミダペプチドは、アミノ酸がある間は常に合成され続け、持続的に抗酸化作用を発揮します。ですから、鶏の胸肉を食べることは、確実な疲労対策になるのです。
 量としては、鶏の胸肉を1日に100g食べると、イミダペプチドを約200㎎摂取できます。これは疲労を防ぐのにじゅうぶんな効果が得られる量です。
 なお、鶏の胸肉より100gあたりの含有量は劣りますが、カツオや豚ロース肉にも、イミダペプチドが多く含まれています。また、鶏もも肉や豚もも肉にもイミダペプチドは含まれますが、前述の食材と比べると、含有量は劣ります。

 とはいえ、忙しい毎日を考えると、食事のたびに鶏の胸肉を調理するのは面倒かもしれません。その点、レンジで簡単にできる「ほぐしチキン(作り方は82ページ)」を作り置きしておくと、毎食手間なく鶏の胸肉を食べられ、お勧めです。
 注意点として、肉汁にイミダペプチドが溶け出すので、スープに入れるなど、肉汁も摂取してください。
 朝・昼・夜と1日3回の食事のうち、摂取するのはいつでもOK。理想は、日中の疲労を起こす前、朝食にできるだけ取っておくといいでしょう。100gを1日に2〜3回に分けて摂取してもかまいません。

 疲労に打ち勝つ対策としては、イミダペプチドが「昼の主役」で、「夜間の主役」は深い睡眠です。朝か昼に鶏の胸肉を取っておくと、自律神経の働きが正常に保たれやすく、睡眠の質も改善に向かうはずです。

かじもと おさみ
医学博士。大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授。東京疲労・睡眠クリニック院長。1962年生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修了。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。『”人疲れ”が嫌いな脳 ラクしてうまくいく人間関係のつくりかた』(幻冬舎)など著書多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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