【鍼灸師】不眠症、冷え症、体のだるさに効く「背骨ねじり」やり方図解

【鍼灸師】不眠症、冷え症、体のだるさに効く「背骨ねじり」やり方図解

寝ても抜けない体の疲れや、気分の落ち込みなど、心身の不調をもたらす原因として、私が注目しているのが、胸の緊張です。【解説】石垣英俊(鍼灸師・按摩マッサージ指圧師)


「胸の緊張」がさまざまな不調をもたらす

 寝ても抜けない体の疲れや、気分の落ち込みなど、心身の不調をもたらす原因として、私が注目しているのが、胸の緊張です。

 ここでいう胸とは、胸を取り巻く骨格である「胸郭」と胸から背中にかけての筋肉のこと。胸郭には、胸の後ろ側にある背骨の「胸椎」も含まれます。
 胸郭の内側には、心臓、肺、肝臓など、命にかかわる重要な臓器が収まっています。また、首から続く胸椎の中には、脊髄が通っています。脊髄は、脳に通じる中枢神経です。
 胸椎の骨の間からは、内臓の働きなど体のさまざまな機能を調整する「自律神経」をはじめ、重要な神経や血管が出入りしています。

 胸郭は、内臓を守る役目があるため、もともとあまり動かないようにできています。
 胸椎も、首(頸椎)や腰(腰椎)に比べて動かせる範囲が狭く、日常で動かす機会は多くありません。
 そこに、姿勢の悪さ、運動不足、ストレスなどが続くと、胸郭や胸椎周りの筋肉が緊張して、硬くこわばります。これが、胸の緊張です。

 鎖骨の下の筋肉を、指で押してみてください。痛みを感じるなら、胸の筋肉が硬くなっている可能性が高いです。深呼吸がうまくできない人、上体を前後左右に大きくねじることができない人なども、同様です。
 胸の緊張は、心身にさまざまな悪影響を及ぼすと考えられます。
 胸郭を取り囲む筋肉が硬くなると、呼吸が浅くなり、内臓の働きも悪くなります。

 胸郭の下にある横隔膜は、呼吸とともに上下に動いています。横隔膜が上下に動くと、内臓が刺激されて、内臓の周りの血流がよくなり、内臓の働きも活発になります。
 しかし、呼吸が浅くなると、横隔膜の動きが悪くなるので、内臓が刺激されにくく、内臓の働きも弱まってしまうのです。
 また、自律神経のうち、緊張状態を司る交感神経の中継所が、胸椎の前から肋骨のつなぎ目を通っています。一方、リラックス状態を司る副交感神経の主となるものは、脳から直接出て、首の深い部分から胸郭の中をつらぬき、胸部と腹部の各臓器に広がっています。

 そのため、胸郭や胸椎の周りの筋肉がこり固まると、自律神経も圧迫されてしまいます。自律神経の働きに支障が出ることは、想像にかたくありません。
 自律神経は、交感神経と副交感神経が、バランスを取りながら働いています。このバランスが乱れると、さまざまな不調が現れます。
 不眠、肩こり、体のだるさ、めまい、動悸、頭痛、冷え、便秘、下痢といった肉体的不調から、気分の落ち込みやイライラといった、心の不調にもつながります。

胸がゆるめば自律神経も整う

 意外かもしれませんが、胸の緊張は、腰痛にも関係しています。いくら腰に施術をしても、腰痛が改善しなかった人が、胸の緊張をゆるめることで改善したケースを、私自身たくさん経験しています。
 胸の緊張をゆるめる簡単な方法が「背骨ねじり」です。

 上体を後ろに向けてグーッとねじることで、胸椎と肩甲骨を大きく動かすことができます。胸の筋肉と、脇から背中にかけての筋肉が伸びるので、胸全体の緊張がゆるむのです。
 あわせて「肩甲骨ほぐし」も行いましょう。肩甲骨をさまざまな方向に動かすことで、縮こまった胸を開いていきます。

 肩甲骨周りの筋肉はストレスの影響でこわばりやすく、胸の緊張を生む原因になります。日頃から動かすことがたいせつなのです。
 背骨ねじりや肩甲骨ほぐしで胸郭や肩甲骨を動かすと、胸の緊張がゆるみ、呼吸が深くなります。窮屈だった胸郭に余裕が生まれ、内臓が動くためのスペースができるので、内臓の働きもよくなるはずです。

 こうなると、全身に酸素や栄養がしっかり行き渡るようになりますし、自律神経のバランスも整い、体の疲れも消えていくでしょう。
 胸の緊張を解消するコツは、毎日適度に胸の周りを動かすこと。1日1回でもいいので、2つのストレッチを毎日続けてみてください。

いしがき ひでとし
静岡県生まれ。神楽坂ホリスティック・クーラ代表。一般社団法人日本ヘルスファウンデーション協会理事。セラピストカレッジ「ナーチャ」校長。鍼師、灸師、按摩マッサージ指圧師、オーストラリア政府公認カイロプラクティック理学士(B.C.Sc)、応用理学士(B.App.Sc)a。中国政府認可世界中医学薬学連合会認定国際中医師。『背骨から自律神経を整える ねじるだけで体と心が変わっていく!』(清流出版)など著書多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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