【高血圧を改善】 血流を高める「正しい入浴の仕方」と「降圧ストレッチ」

【高血圧を改善】 血流を高める「正しい入浴の仕方」と「降圧ストレッチ」

高血圧の人、あるいは高血圧予備軍の人は、夜の時間帯にいかにリラックスするかが、血圧を上昇させないポイントの一つとなります。最も役に立つのは入浴です。注意点を守れば、血流が盛んになって、高血圧解消に役立つでしょう。血流をさらに高めるのに役立つ、簡単なストレッチ運動をご紹介【解説】根来秀行(ハーバード大学医学部客員教授)


冬の露天ぶろほど 危険なものはない

「自律神経」は血流の調整に大きな役割を果たしています。通常、昼間に活動をしているときは、そのうちの交感神経が働いて、緊張状態にあります。その際には、血管が収縮して血圧が高めになります。

 逆に、夜になって活動が終わり、リラックスしたときには副交感神経が働いて、血管が広がり血圧は下がる傾向にあります。高血圧の人、あるいは高血圧予備軍の人は、夜の時間帯にいかにリラックスするかが、血圧を上昇させないポイントの一つとなります。

 夜にリラックスするにあたって、最も役立つのは、なんといっても入浴でしょう。ゆったりと湯ぶねにつかれば、リラックスして副交感神経が優位になり、血流がアップします。そして、副交感神経が優位なままの状態を保ちながら、心地よい睡眠に移行すれば、血圧によい影響をもたらします。

 ただし、寒さのきびしい冬場は、高血圧の人にとって、入浴は数々のリスクをともないます。湯ぶねにつかったときは、体が温まって血管が拡がり、血圧が下がるのですが、脱衣所や浴室が寒いと、血管が収縮して血圧が上がってしまうからです。こうした血圧の急激な変化はとても危険です。

 そこで、冬場の入浴では、脱衣所と浴室の温度差をなるべくなくすように工夫することが大切です。例えば、入浴する前に浴槽のふたを開けておき、 熱いシャワーを浴槽に向ってかけるほか、浴室の扉を開けて脱衣所の空気を温めるなどを実践するといいでしょう。さらに、脱衣所に暖房を備えれば、 申し分ありません。

 ちなみに、高血圧の人にとって、温泉の露天ぶろほど危険なものはありません。特に、寒い冬は絶対に禁物です。お湯と外気の温度差が非常に激しいため、血圧が乱高下し、心臓に大きな負担がかかります。

 また、温泉旅館に泊まれば、どうしても飲酒をしてからの入浴が多くなります。すると、お酒によって拡がった血管が、露天に出ていきなり収縮、また入浴して急激に拡張という変動が起きます。これは、まさしく高血圧の人にとって、命取りといえるでしょう。同様に、自宅の場合も、飲酒後の入浴はできるだけ避けたほうが無難です。

 さて、お勧めの入浴法ですが、血圧の高い人は、あまり熱いお湯だと心臓に負担がかかるので、38〜40度のぬるめのお湯で10分ほどゆっくりと半身浴するようにしてください。

 すると、リラックス感が得られて、副交感神経が優位な状態を作ることができ、体の芯まで温まって血管が拡がります。
 ちなみに、肩までお湯に浸かるのは、水圧によって心臓に負担がかかるので、あまりお勧めできません。半身浴のときに肩が冷たいと感じたら、 肩に暖かいタオルをかけて入浴しましょう。

毛細血管やリンパの 流れがよくなる

手首を10回程度反らすだけでOK!

 ここまでお話ししたような注意点を守って入浴していただければ、血流が盛んになって、高血圧解消に役立つでしょう。そして、血流をさらに高めるのに役立つ、簡単なストレッチ運動をご紹介します。

 私が「降圧ストレッチ」と名づけたこの運動は、実に簡単で効果は絶大です。

 やり方は、胸の前で左手の指先を右手で持ち、左手首をゆっくり前に曲げ、次に後ろに反らします(写真参照)。逆の手でも同様に行います。 このストレッチを半身浴をしながら、10回前後行ってください。すると、毛細血管やリンパの流れがよくなり、血管を拡張するのに役立ちます。余裕のある人は、このとき同時に脚を軽く曲げたり伸ばしたりして、脚のストレッチも行って下さい。

 こうして、入浴タイムを利用して手首、脚のストレッチなどを行い、副交感神経の働きを向上させたら、血流のよい状態をキープしたまま入眠できればベストです。

 しかし、入浴後、ベッドに入るまでの間に、リラックスした状態をおびやかすものがたくさんあります。特に、テレビやパソコン、携帯電話の画面などの光刺激は、交感神経を活性化させるので、せっかく拡がった血管を再び収縮させてしまいます。

 そこで、入浴後は、なるべく部屋の明かりを落として、音楽を鑑賞したり、スタンドの明りで読書したりして、リラックスした状態でベッドに入るといいでしょう。体のメカニズム的に、入浴後体温が一度くらい下がるころに眠気がやってきます。

 このように、夜は副交感神経にしっかりとスイッチが入るような生活を心がけ、昼に優位になる交感神経とのバランスを上手に取ることが、良好な血流の状態をもたらします。高血圧の人は特に、入浴やストレッチなどでリラックスし、血流改善に留意するようにしてください。

根来秀行
東京大学医学部大学院卒業後、同大学医学部講師を経て現職。パリ大学医学部客員教授、ミラノ大学医学部客員教授のほか、東京大学医学部附属病院で研究、臨床に当たっている。欧米の大学と共同研究を進め、国際的に最先端の臨床・研究・教育医学の分野で活躍中。著書に『身体革命』、『眠っているうちに病気にならない体をつくる本』(ともに角川マーケティング)など多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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