【眼科医】視力低下を防ぎ、正常眼圧緑内障の症状も改善できる「目の体操」

【眼科医】視力低下を防ぎ、正常眼圧緑内障の症状も改善できる「目の体操」

自宅でできる目の健康維持の方法として、私がクリニックを訪れる患者さんたちに勧めているものが、3つあります。一つが水分補給、一つが目の遠近トレーニング。さらにもう一つが「目の体操」です。ここでは、この目の体操についてお話ししましょう。【解説】新見浩司(新見眼科院長)


目の体操をお勧めする新見先生

ツボ刺激で自律神経のバランスが回復!

 自宅でできる目の健康維持の方法として、私がクリニックを訪れる患者さんたちに勧めているものが、3つあります。
 一つが水分補給、一つが目の遠近トレーニング。

→遠近トレーニングのやり方はコチラ

 さらにもう一つが「目の体操」です。

 ここでは、この目の体操についてお話ししましょう。目の体操は、主に自律神経(私たちの意志とは無関係に働き、内臓などの調節をしている神経。交感神経と副交感神経がある)のバランスを整える作用があります。

 さまざまなストレスによって、自律神経のバランスがくずれると、交感神経の緊張が続くことになります。交感神経の緊張が解けなければ、体がリラックスすることができません。首や肩もこりが強まり、涙の分泌量が低下し、目の周囲の筋肉もこわばったまま、ということになります。結果として、眼精疲労やドライアイの諸症状も、悪化することになります。

 さらに、こうした自律神経のバランスがくずれた状態が続けば、緑内障(視神経が萎縮して視野が狭くなる病気)や白内障(目のレンズの役目をする水晶体が白く濁る病気)といった、目の病気を進行させてしまう危険性もあるのです。こうしたわけで、自律神経のバランスを整えることは、目の健康のためにも、大変重要です。

 目の周囲には、目の働きに深い関連のあるツボがいくつも存在します。それらを目の体操で刺激することで、くずれていた自律神経のバランスを回復させる効果が期待できます。

 すなわち、交感神経の過緊張を解き、副交感神経を優位にしてくれるのです。これにより心身ともにリラックスし、目の周囲の緊張もほぐれ、血流もよくなります。肩や首のこり、頭痛や不眠、イライラといったさまざまな不定愁訴もよくなるでしょう。

網膜の感度が上がり視界が明るくなる!

 加えて、目の体操によって、目の周囲のこわばりが解消し、目にかかわる血管の血流状態が改善すれば、視力低下に対しても効果を発揮するでしょう。

 というのも、視力というものは、そのときどきの体調によって左右される面が大きいからです。例えば、老眼のかたは、目が疲れていると、目はかすみがちになり、ピント調節力も落ち、明らかに見えにくくなります。一時的に視力も低下します。

 こうした場合、目の疲れを取り、目の血流を改善してやると、網膜(光を映し、実像化する部分)の感度がアップし、視界が明るくなることがわかっています。この意味では、目の疲れを取ってくれる目の体操は、視力低下に対しても非常に有効であるはずなのです。

 また、緑内障についても、この目の体操がいい影響を及ぼす可能性があります。

 緑内障には、いくつかのタイプがありますが、その半数以上を占めるのは、眼圧が正常である、「正常眼圧緑内障」です。近年の研究では、この病気は血流障害に原因があるという説が、有力になりつつあります。

 つまり、毛細血管の流れが悪く、視神経にじゅうぶんな栄養が送られないため、緑内障が起こっていると考えられるようになってきたのです。

 そこで、目の体操によって血流状態を改善すれば、緑内障の自覚症状を軽減するのに役立つ可能性があります。
 では、目の体操のやり方を説明しましょう。

目の体操のやり方

以下の6つのツボを「1、2、3、4、5、6、7、8」とゆっくり数えながら、小さな円を描くように押しもむ。これを2回くり返す。1回目は弱く、2回目はやや強めに刺激する。

①天応(てんおう)

ツボに両手の親指の腹を当ててもむ。
このとき、残り4本の指を額に当てて、いっしょにもむと、より効果的。

②睛明(せいめい)

ツボを親指と人差し指の腹でつまんでもむ。

③四白(しはく)

両手の人差し指の腹を当ててもむ。

④風池(ふうち)

ツボに両手の親指の腹を当ててもむ。

⑤翳風(えいふう)

ツボに両手の人差し指の腹を当ててもむ。

⑥合谷(ごうこく)

ツボに反対側の手の親指の腹を当ててもむ。

それぞれのツボを押す際には、「一、二、三、四、五、六、七、八」とゆっくり数えながら、小さな円を描くように押しもみします。これを二回くり返します。一回目は弱く、二回目はやや強めに刺激します。

 刺激すべきそれぞれのツボは、以下のようなものです。

 一つめが、「天応」。左右の眉頭の少し下の骨のくぼみ部分にあります。ツボに両手の親指の腹を当ててもみます。このとき、残り四本の指を額に当てていっしょにもむと、より効果的です。

 二つめが、「晴明」。目頭と鼻のつけ根の間の小さなくぼみにあります。ツボを親指と人差し指の腹でつまんでもみます。

 三つめが、「四白」。目の下側の骨のくぼみのきわ左右中央から、親指の横幅分下がった位置にあるツボです。両手の人差し指の腹を当ててもみます。

 四つめが、「風池」。耳たぶのすぐ後ろの出っ張った骨の下端と、後頭部の中央の髪の生え際から親指の幅分上のところを結んだ線の中間点にあるツボです。両手の親指の腹を当ててもみます。

 五つめが、「翳風」。耳たぶのすぐ後ろの出っ張った骨の下端と耳たぶの間にある小さなくぼみにあるツボです。両手の人差し指の腹を当ててもみます。

 六つめが、「合谷」。親指と人差し指の骨が手の甲でぶつかるところにあるツボです。反対側の手の親指の腹を当ててもみます。

 爪を短く切り、清潔な手で行いましょう。強く押しすぎたり、眼球を圧迫してはいけません。顔や目の周りに腫れ物や傷があるかた、目に炎症のあるかたは、行わないでください。

 また緑内障のかたは、この目の体操を続けながら、定期的に眼科を受診してください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【スマホ老眼の対処法】眼精疲労やドライアイを予防・改善する整膚「まぶたつまみ」とは

【スマホ老眼の対処法】眼精疲労やドライアイを予防・改善する整膚「まぶたつまみ」とは

整膚による大幅な血流の改善によって、患部に新たな酸素と栄養素が供給されます。もしも、そこにコリや痛みがあるなら、血液循環の改善によって、緩和されていくでしょう。【解説】蔡晶(世界整膚連盟整膚美容師会会長・整膚通信学院院長)


【目の症状別】飛蚊症・緑内障が改善した!目に効くツボを刺激する「顔さすり」

【目の症状別】飛蚊症・緑内障が改善した!目に効くツボを刺激する「顔さすり」

目の特効ツボが数多く存在する場所は、顔です。顔を手の指でさする顔さすりは、最も簡単かつ効果的なセルフケア法といえます。緑内障・白内障・ドライアイ・眼精疲労・老眼・近視・斜視、それぞれの症状に対応したやり方をご紹介します。【解説】内田輝和(倉敷芸術科学大学教授・鍼メディカルうちだ院長)


【医師解説】円形脱毛症の原因はストレスと血流低下 対策は「爪もみ」が有効

【医師解説】円形脱毛症の原因はストレスと血流低下 対策は「爪もみ」が有効

爪もみは、交感神経の緊張を改善し、頭皮の血流を向上させるので、円形脱毛症に有効です。さらに、指先の血流もアップするので、髪と同じ組織である爪の状態も改善します。【解説】永野剛造(永野医院院長)


【眼科医解説】緑内障患者に勧める「目の温パック」とは?眼圧が下がり、手術回避も

【眼科医解説】緑内障患者に勧める「目の温パック」とは?眼圧が下がり、手術回避も

目の温パック後に、まぶたさすりを行うと、より涙の質がよくなり、リラックス効果も得られます。緑内障の発症原因の一つはストレスです。ストレスを解消することも、緑内障の進行を防ぐのに大いに役立ちます。【解説】平松類(彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長)


【医師推奨】緑内障を改善する生活習慣は「しょうが紅茶」と「腹巻き」

【医師推奨】緑内障を改善する生活習慣は「しょうが紅茶」と「腹巻き」

体の不調の多くは、体の冷えが原因で生じると私は考えています。低体温によって余計な水分が体にたまるのです。血液中の水分が多くなると高血圧、内耳の水分が多くなると耳鳴りやめまい、目の内部の水分が多くなると緑内障といった病気にもつながります。【解説】石原新菜(イシハラクリニック副院長)


最新の投稿


【管理栄養士】美容健康の有効成分たっぷり「人参」 食べるときの注意点とは?

【管理栄養士】美容健康の有効成分たっぷり「人参」 食べるときの注意点とは?

ニンジンのβカロテンには、強力な抗酸化作用があります。老化と病気の原因物質である活性酸素によって体がサビつくのを、防いでくれるのです。また、βカロテンは、体内でビタミンAに変化します。ビタミンAは、粘膜や皮膚の新陳代謝に欠かせない栄養素です。【解説】足立香代子(臨床栄養実践協会理事長・管理栄養士)


【睡眠時高血圧の見つけ方】血圧を下げる対策を医師が指南!お手本は「長野県」?

【睡眠時高血圧の見つけ方】血圧を下げる対策を医師が指南!お手本は「長野県」?

日中に血圧が高くなるのはあたりまえ。「早朝高血圧」が問題視されますが、朝は脱水状態で血液が濃くなっており心身を活動的にするために血圧を上げる必要があるので、早朝の血圧も高くてあたりまえです。問題となるのは、血圧が下がるべき睡眠時に血圧が下がらないことだったのです。【解説】浅輪喜行(アサワ医院院長)


【クレアチニン値を下げる運動】で腎臓病が改善!ネフローゼの尿たんぱくが陰性になった!

【クレアチニン値を下げる運動】で腎臓病が改善!ネフローゼの尿たんぱくが陰性になった!

多くの人は、太い動脈の血流には注意を払いますが、毛細血管の流れには無頓着です。しかし、全身の臓器が健康に働くためには、毛細血管がなにより大事。【解説者】渡辺完爾(渡辺医院院長)


【チーズの健康効果ベスト6】ダイエットには運動後60分以内に摂取がお勧め!虫歯を防ぐ効果も

【チーズの健康効果ベスト6】ダイエットには運動後60分以内に摂取がお勧め!虫歯を防ぐ効果も

チーズは良質のたんぱく質とカルシウムの供給源で、筋力や骨の強化を助ける食品。ダイエット効果、筋力をつける効果、骨粗鬆症を防ぐ効果、血圧を下げる効果、虫歯を防ぐ効果、認知症を防ぐ効果など代表的なチーズの健康効果をお話ししましょう。【解説】齋藤忠夫(東北大学大学院農学研究科教授)


【猫背が楽な理由】楽な姿勢なら、そのほうが体に良いのでは?

【猫背が楽な理由】楽な姿勢なら、そのほうが体に良いのでは?

良い姿勢より、ネコ背でいるほうがらくに感じます。こういう場合、リラックスすることが大切なら、ネコ背のほうが体への負担が少ないのではありませんか。【回答】竹谷内康修(竹谷内医院カイロプラクティックセンター院長)


ランキング


>>総合人気ランキング