なぜ【ヤンキー座り】で腰痛は治るのか?「主治医が見つかる~」で解説しきれなかったこと

なぜ【ヤンキー座り】で腰痛は治るのか?「主治医が見つかる~」で解説しきれなかったこと

若者から中高年まで、幅広い年齢層に蔓延する腰痛。病院に駆け込んで、骨や神経に異常が見つからない場合、「非特異的腰痛症」と診断されます。非特異的、つまり、とくに異常はない腰痛とは、なんとも不思議な病名です。「腰が痛い」という異常があるから病院に来ているのに……。【解説】戸田佳孝(戸田リウマチ科クリニック院長)


腰痛に悩む人は全国に1300万人以上 

 2010年の国民基礎調査で、有訴者率が最も多い疾患は「腰痛」で、全国に約1329万人もいると推定されています。しかし、腰痛を訴えて医療機関を訪れても、レントゲン検査で異常が見つからなければ、湿布薬や痛み止めを処方されるだけというのが実状です。

 しかし、湿布にしろ、痛み止めにしろ、一時的に痛みをやわらげるだけで、腰痛の根本的な解決にはなりません。だからといって、放置するのはさらに危険です。「痛い」という情報が脊髄から脳に伝わるときに、交感神経が刺激され、血管の就職や筋肉の緊張がすると、腰痛のある部分の筋肉がさらにこり固まり、腰痛がますます悪化するという「負のスパイラル」に陥ってしまうのです。

 なお、レントゲン検査で骨に異常が見つかって手術となった場合でも、腰の周辺には神経が密集しており、大きな危険を伴います。手術はできる限りさけるのが賢明です。

背骨のS字カーブのくずれが腰の筋肉に負担をかける

 そもそも腰痛、とくに腰痛の約80%を占める非特異的腰痛症は、どのようにして起こるのでしょうか。

 人間は2本足で歩くようになってから、頭や上半身の重みを背骨で支えるようになりました。しかし、背骨が真っすぐな状態だと、垂直方向一点に負荷がかかるため、重たい頭を支えきれず、すぐに倒れてしまいます。そこで、頭の重みを前後方向に分散させるために、背骨は進化の過程でゆるやかなカーブを描くようになりました。背骨の首の部分である頸椎は前に、胸の部分である胸椎は後ろに、腰の部分である腰椎は前に突き出た、いわゆるS字形のカーブです。

 一般的に「よい姿勢」といわれるのは、視線を前方に向け、あごを引き、胸をはって、下腹に力を入れ、お尻を引き締めた姿勢です。この姿勢のとき、背骨は美しいS字カーブを描きます。その形は、ハクチョウの首の形に似ています。

 ところが、ネコ背などで姿勢がくずれると、背骨のS字カーブも同時にくずれます。そうなると、腰の筋肉に負担がかかり、腰痛が起こります。これが、骨の異常や神経症状はないのに腰が痛くなる「非特異的腰痛症」の正体です。痛みをがまんしていると、さらに筋肉が硬くなり、痛みの悪循環を招くことは先に述べたとおりです。

骨盤まわりの筋肉を軟らかくすることがカギ

 では、腰痛を改善するにはどうすればよいのでしょうか。それは、痛みから逃げるのではなく、体を正しく動かして筋肉を軟らかくすることです。

 あまりに痛みが強いときは無理して動かす必要はありません。しかし、そうでないなら、多少痛い思いをしても動かすほうが結果的にはよいのです。正しく体を動かして筋肉を軟らかくすれば、体は確実によい方向に変わります。

 腰痛を改善するために、軟らかくするべき筋肉とは、骨盤まわりの筋肉です。
 骨盤まわりの筋肉が軟らかくなると、骨盤の前・横・後ろの筋肉がしっかり伸びることで骨盤が前に傾くため、腰椎の動きが少なくてすむのです。

ストレッチが長続きしない理由

 「体を動かす」と聞いて、みなさんが真っ先に思い浮かべるのはストレッチでしょう。確かに、筋肉をじっくりと伸ばすストレッチは、いつでもどこでも誰にでも手軽に行うことのできる運動療法として定着しています。

 しかし、その一方で、「忙しくてストレッチなどやっていられない」「やろうと思っても長続きしない」という人がたくさんいます。

 腰痛に効果のあるストレッチとして、寝ころんだり、イスに座ったりして行うものがあります。しかし、勤務時間中に職場で寝ころんでストレッチをするわけにはいかないでしょう。イスに座って行うストレッチなら職場でもできますが、人の目が気になりがちです。ストレッチの種類が多すぎれば、実行するのもめんどうでしょう。仕事や家事で疲れていたら、そんなことより早く寝たいと思うのも無理はありません。これが「忙しくてストレッチなどできない」「長続きしない」原因ではないでしょうか。 

コンビニの前で見かける「あの座り方」こそ理想のストレッチ

ヤンキー座り
腰痛は「ヤンキー座り」で治る (腰痛の98%は手術なしで治せる!)

 そこで私がおすすめしたいのが「ヤンキー座り」です。

 俗に「ヤンキー(不良)」と呼ばれる少年少女たちが、コンビニエンスストアの前などにたむろしている様子を見たことがあると思います。そのとき彼らがよくとっているポーズが、股を広げてしゃがんだ姿勢です。ヤンキーを象徴するポーズであることから、この座り方は「ヤンキー座り」と呼ばれています。このヤンキー座りの姿勢こそ、腰痛の特効ストレッチになるのです。

 背骨のS字カーブがくずれると、腰の筋肉が固くなって腰痛が生じます。また、痛みがあると交感神経が刺激され、血管が収縮して、さらに筋肉が固くなります。ここでいう筋肉とは、脊柱起立筋のことです。脊柱起立筋は、頭部から腰までを結ぶ腸肋筋・最長筋・棘筋という筋肉の集合体です。人間が2本足で立って歩くとき、腰椎を立たせるために必要な筋肉です。

 ひざと股関節を曲げ、お尻を落として背骨を前かがみにするヤンキー座りの姿勢は、この脊柱起立筋が最も引き伸ばされる姿勢です。固くなって縮んでいた脊柱起立筋が伸びれば、当然、腰の痛みは軽減します。ヤンキー座りをするだけでなく、ゲンコツを使って筋肉を伸ばすようにすると、さらに効果的です。

ヤンキー座りストレッチのやり方

(1)足を肩幅ぐらいに開き、ひざと股関節を曲げ、お尻を落としてしゃがむ

(2)腰が伸びるように、少し前かがみになる

(3)ウエストのくびれのライン上にある背骨(第四腰椎)から、お尻の割れ目のきわ(仙骨)までを、両手のゲンコツを使って圧迫しながら上から下に20回引き伸ばす。

できれば、朝、ふとんから出てすぐ、朝食後、昼食後、夕食後、就寝前の一日5度行ってください。

戸田佳孝(とだ・よしたか)
1960年、大阪府生まれ。86年、関西医科大学卒業。91年、英国王立整形外科病院留学。92年、関西医科大学整形外科大学院修了、医学博士号を取得。97年、米国タフツ大学に招聘研究員として留学し、肥満と変形性ひざ関節症の関係について研究。98年、大阪府吹田市に貴晶会戸田リウマチ科クリニックを開院。開業後も手術をしないで変形性ひざ関節症を治す方法(保存的治療)を研究し続けている。主な著書に、『腰痛は「ヤンキー座り」で治る』(マキノ出版)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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