【単調な介護生活に】利用者も職員もイキイキ 「笑いヨガ」の効果

【単調な介護生活に】利用者も職員もイキイキ 「笑いヨガ」の効果

私は、1989年から2010年までの21年間、介護老人福祉施設(特養)で介護士として働いていました。心身の障がいで、在宅生活が困難になった高齢者の、日常生活を助ける仕事です。【解説】小谷章子(介護老人福祉施設河原あすなろ施設長)


介護の現場で20年以上探し続けたものを発見

 私は、1989年から2010年までの21年間、介護老人福祉施設(特養)で介護士として働いていました。心身の障がいで、在宅生活が困難になった高齢者の、日常生活を助ける仕事です。
 こうして働き続けるなかで、いつも心に思っていたことがありました。それは、「だれでも、簡単に笑える方法はないだろうか?」ということです。

 利用者の生活は、心身の障がいのせいもあって、どうしても単調になりがちです。また、だれでも当てはまることですが、年を重ねると、笑顔が少なくなります。
 そんな生活に、ちょっとした刺激があれば、生活の質が向上するのではないかと考えていました。その刺激として理想的なのは、やはり笑うことでしょう。

 こうした思いから、「日本笑い学会」の副会長である昇 幹夫先生の講演会に参加したり、自分なりに試行錯誤を重ねたりしていました。しかし、具体的な手段が見つからないまま、定年を迎えたのです。
 その後、再雇用という形で、鳥取県の若桜町にある介護老人福祉施設の施設長に着任しました。施設長として、まず取り組んだことは、施設の核、つまりセールスポイントになるものを探すことでした。また、私自身、還暦を迎えたこともあり、何か新しいことを始めたいと考えていました。
 その一環で、ある有名な精神科の医師の講演会に参加しました。その中で印象に残ったのが、「高齢者の認知症には、笑うことが重要だ」という話です。

 それまでくすぶっていた「笑い」への思いに、再び火が点きました。帰宅後、すぐにパソコンに向かい、インターネットで「笑い」と検索しました。
 そして、目に留まったのが、「笑いヨガ」でした。私は、「これだ!」と直感したのです。
 2011年1月、岡山県で開催されたリーダー養成講座に参加し、「日本笑いヨガ協会」の代表である高田佳子さんに教わることができました。また、同年7月に富士山で開催されたティーチャー養成講座では、笑いヨガ考案者のカタリア医師に教わることができました。こうして、実際に体験してみると、私の直感は確信に変わったのです。ずっと探し続けていたものを、ようやく見つけることができました。

利用者も職員もいきいきとした表情

→【やり方】今すぐ一人でできる「笑いヨガ」写真図解

 個人的に続けてみたいということはもちろん、職場や施設のある地域でも広めていくべきだと考えました。そのためには、施設で働く職員の理解と意識改革が必要です。その後の約1年間、出張という形で、10名の職員に笑いヨガのリーダー養成講座に参加してもらいました。
 参加前は顔を曇らせていた職員も、その後の出張報告の場では表情が一変。全員がいきいきとした顔をしていて、そのことも私の決意を後押ししたのです。

 職員の理解も得られたので、まずは、職場の朝礼で、笑いヨガをするようになりました。短い時間ですが、ひと笑いしてから仕事に就くと、仕事への意欲が高まるようです。そして、利用者への対応も、よりよいものに変わってきました。
 すると、自然発生的に、利用者と職員とで、笑いヨガを行うようになったのです。昼食前の待ち時間に、笑いヨガのエクササイズを取り入れたところ、利用者にとても喜ばれました。笑いヨガを終えた後は、利用者もいきいきとした表情になるのです。

 笑いヨガは、私の期待どおり、施設の核となりました。その後、地域のイベントに、笑いヨガの体験会を頼まれるなど、意欲的に活動を続けました。地域でどんどん広がっていき、県知事や町長に高い評価をいただいたり、テレビや新聞で紹介されたりしたこともあります。
 笑いの健康効果は、多くの研究で判明しているように確かなものです。また、介護の現場で、長年働いてきた経験からも、利用者はもちろん職員にも役立つ、すばらしい体操だと思います。私自身も、笑いヨガをやっていますが、気持ちが前向きになり、健康を維持しています。そういえば、笑いヨガを始めてから、カゼをひいていません。

 さて、2013年4月に、現在の職場に異動になりました。もちろん、こちらの施設でも、笑いヨガを取り入れるつもりです。前の職場とは勝手が違うので、簡単なことではありません。しかし、笑いヨガの重要性を知っている今、どんな困難も乗り越えていくつもりです。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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