【精神科医考案】脳の興奮を抑え、苦しみから解放する「5本指いい子」のやり方

【精神科医考案】脳の興奮を抑え、苦しみから解放する「5本指いい子」のやり方

「5本指いい子」をすると何が起きるかというと、ほとんどの患者さんの脳の異常な興奮が鎮まってきます。PTSDのフラッシュバックで、突然、騒ぎ出す子どもや、壁に自分の頭をぶつけるような子ども、自閉症で物を壊したりする子どもにやってあげると、決まって「気持ちがいい」と言います。【解説】神田橋條治(伊敷病院医師) 


→脳の苦しみに有効な「脳の養生法」とは

現状より少しでも楽になるかどうかが重要

 悪いところを見つけてそれを正常な状態に戻す。それが従来の医学の常識です。しかし、精神医学は、そうした考え方ではうまくいかない病気が多々あります。自分の心身と自分を取り巻く環境が合わないために起こる病気が多くなっているのです。

 そうした病気は慢性的なものが多く、慢性的な苦しみは「どこが悪いのか」と探すやり方ではうまくいきません。「どうしたら少しでもよくなるか」という視点が必要です。

 ここでは、私がそうやって患者さんとともに手探りで工夫してきた養生法をご紹介しましょう。

 一般的な精神医学の治療とは少し違ったアプローチですが、正しいか正しくないかと考えるのではなく、これをやると現在の自分が少しでも楽になるか、ならないかという視点で試してほしいと思います。

 最初にご紹介するのが、足指の先に行う「5本指いい子」です。これは気功の一種で、経絡治療(気の通り道である経絡を用いた治療)を応用したものです。

 なかには熱心にやりすぎる人がいるので、力を入れずにやさしく、なでる感じでやってもらうために、5本指いい子と名づけました。くれぐれも「よし、やるぞ!」と力まないことを念頭において始めてください。
 実際に治療の現場で、患者さんにお勧めしている手法です。

脳の興奮が鎮まる「5本指いい子」のやり方

ではやり方を説明しましょう。

【自分でやる場合】

 まず、いすに座った状態で、右足を左足のひざの上に乗せます。
 次に、ひざに乗せた右足の親指の先に、左手の5本の指を軽く当てます。
 続いて、足指に当てた手の指を、足指の先端のところで、ビンのふたを開けるのと同じ方向(時計と反対回り)に、なでるようにやさしくひねります。

 これを全部の足指に対し、それぞれ10回ほど行います。
 患者さんには、1日に1~2回ほどするように勧めていますが、1日に何回やってもかまいません。
 どの足指から始めても効果に変わりはありません。両足の指すべてに行ってください。

 5本指いい子をやるとき、注意しなければならないのは、指をひねる方向を間違えないことです。
 ビンのふたが閉まる方向(時計回り)に指をひねると、脳がますます興奮してしまうので、逆効果です。
 方向の間違いを防ぐには、実際にビンなどで開く方向を確認して行うといいでしょう。

 疲れがひどく、考える力がなくなるほどぼーっとするようなときは、ビンのふたを締める方向にひねると元気になります。
 しかし、現代人はおおむね興奮しっぱなしですから、たいていはふたを開ける方向になるでしょう。

【子どもにしてあげる場合】

「5本指いい子」は、子どもにしてあげることもできます。特に小さなお子さんは、お母さんやお父さんがひざの上に子どもの足を置いてやってあげるとよいでしょう。
 そのときは、両足を同時にやっても、別々にやっても、どちらでもかまいません。

 なかには、足をさわられるのをいやがる子どもがいるかもしれません。特に発達障害の子どもは、人から変わったことをされるのを嫌います。
 お母さんでもさわられるのをいやがるようなときには、無理に足指に触れる必要はありません。足指から少し指を離し、宙に浮かせて行ってください。足指に触れなくても、効果は同じように得られます。

 PTSDのフラッシュバックで、突然、騒ぎ出す子どもや、壁に自分の頭をぶつけるような子ども、自閉症で物を壊したりする子どもにこれをやってあげると、決まって「気持ちがいい」と言います。お母さんに「気持ちがよいから、5本指いい子をやって」とせがむ子もいます。

脳の興奮が鎮まり自律神経が整う

 5本指いい子をすると何が起きるかというと、ほとんどの患者さんの脳の異常な興奮が鎮まってきます。大人の場合、自分の脳の状態を注意深く観察すると、脳の異常な興奮が徐々に収まっていくのを感じとることができるでしょう。

 ビンのふたを開ける方向に指を回すと脳の興奮が鎮まるのは、経絡治療で言う「瀉」と考えられます。つまり、多すぎる気(エネルギー)をすくって捨てているわけです。

 これとは逆に、体が弱っている人に気を補う経絡治療が「補」です。
 自律神経が乱れるのは、脳にいろんなストレスがかかっているからです。5本指いい子をやって脳の興奮が治まれば、自律神経はおのずと平穏を取り戻します。自律神経が整えば、さまざまな不調も取れてきます。

「5本指いい子」は、「焼酎風呂」と併用すると、より高い効果が得られます。

→「焼酎風呂」のやり方はコチラ

神田橋條治
1937年、鹿児島県出身。九州大学医学部卒業。九州大学医学部精神神経科、精神分析療法専攻。現在は、鹿児島市の伊敷病院で精神科医として非常勤で勤めながら、後輩の指導と育成に努めている。多くの精神科医や臨床心理士のファンを持つカリスマ精神科医。著書は『精神科診断面接のコツ』『精神療法面接のコツ』『精神科養生のコツ』(岩崎学術出版社)のコツ3部作をはじめ、『発達障害は治りますか?』(花風社)など多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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