伝統の味「凍みコンニャク」生産は茨城でも消費の大半は山形県!?

伝統の味「凍みコンニャク」生産は茨城でも消費の大半は山形県!?

氷コンニャクは、水分が抜けたことで生まれた独特な食感があり、洋食や炒め物などにもよく合います。コンニャクの新しい楽しみ方といえるかもしれません。ところが日本には、氷コンニャクと同じように、コンニャクの水分を抜いて作る伝統食材がすでに存在していました。その名は「凍みコンニャク」。【解説】辻寿子(医学ジャーナリスト)


まるでスポンジのような凍みコンニャク

寒さが厳しく乾燥した山間部で作られる

 おでんや鍋の具材としておなじみのコンニャク。低カロリーで食物繊維が豊富なため、ダイエット食材としても注目されています。
 このコンニャクを冷凍庫で凍らせて水分を抜き戻したものが「氷コンニャク」です。

 氷コンニャクは、水分が抜けたことで生まれた独特な食感があり、洋食や炒め物などにもよく合います。氷コンニャクは、コンニャクの新しい楽しみ方といえるかもしれません。

 ところが日本には、氷コンニャクと同じように、コンニャクの水分を抜いて作る伝統食材がすでに存在していました。その名は「凍みコンニャク」。

 この凍みコンニャクについて、食文化研究家の向笠千恵子さんに伺ってみました。
「凍みコンニャクは、袋田の滝で有名な茨城県奥久慈地方で作られる伝統食材です。寒さが厳しく乾燥した山間部で、昔から農閑期の副業として作られてきました」(向笠さん)

 凍みコンニャク作りでは、まず刈り取りの済んだ田畑にわらを敷き詰め、切り分けたコンニャクを1枚ずつ並べます。するとコンニャクは、夜間は凍り、日中は日差しを浴びてゆっくりと解凍します。そこへ水をかけ、再び凍らせ、溶かすという作業を何日もくり返すと、コンニャクのアクと水分がしだいに抜けていきます。仕上げに陰干しをして完全に水分を抜いたら、凍みコンニャクの出来上がりです。

 実際に凍みコンニャクを手に取ってみると、想像以上に軽くて驚きました。白くてカラカラに乾燥しており、見た目はいかにも”乾物“です。
「ここまで完全に凍結乾燥させるためには、奥久慈地方の”寒さは厳しいが、雪は少なく、乾燥している“という気候風土が必要です。厳冬の中で大変な手間がかかる作業のため、凍みコンニャク作りは一時途絶えかけました。現在は、志のある生産者が伝統を継承しています」(向笠さん)

食文化研究家の向笠さん
凍みコンニャクを海外に紹介している

食感はさっくり!正月に使う高級食材!

 その努力が評価されたのでしょう、凍みコンニャクは、農林水産省の外郭団体㈶食品産業センターが認定する、地域食品ブランド表示基準制度「本場の本物」に認定されています。

 加えて、フランスなどでも、その食材としての魅力が注目されているといいます。
「凍みコンニャクは、煮物や鍋物、例えばすき焼きなど、どんな料理にも合います。フライもおいしいですね。食感はさっくり、サクサクで、かむと染み込んだ汁がじゅわっと口中にあふれるのが魅力です」(向笠さん)

 面白いことに、凍みコンニャクの大半は、昔から山形県の米沢で消費されているのだとか。
「米沢では、凍みコンニャクは冷汁や、お正月の黒豆に入れて食べます。冷汁は、福島県会津地方の郷土料理・こづゆの山形版といったところでしょうか」(向笠さん)

 こづゆは、乾物やイモ、根菜類を貝柱のだしで煮て、しょうゆなどで味を付けた料理です。冷汁では、こづゆでは使わない凍みコンニャクを加え、さらに冷やしていただきます。冷汁は、もともとは武家料理で、会津から伝わったとの言い伝えもあるようです。お正月の黒豆に入れるのは、凍みコンニャクが高級品として米沢の人たちに認識されていた証しかもしれません。
 一説によると、凍みコンニャクは、江戸時代中期に探検家・木村謙次の手によって丹波の国(今の京都府・兵庫県)から奥久慈地方に製法が伝わったともいわれています。

 いずれにしても、凍みコンニャクは、長年、限られた地域で、生産・消費されてきた食材といえるでしょう。
 これに対し、氷コンニャクは、誰もが家庭で手軽に楽しむことができます。

「ただ、両者の食感はまったく別物ですね。さっくりとかみ切れる凍みコンニャクとは異なり、氷コンニャクの食感はやや硬め。嚥下力の低下した高齢者は、食べるときにのどに詰まらせないよう、気を付けてください」(向笠さん)

 氷コンニャクと凍みコンニャク、どちらもコンニャクの新たな魅力を教えてくれるはず。氷コンニャクをきっかけに、伝統食材・凍みコンニャクを試してみるのもいいかもしれません。

→「氷コンニャク」の解説はコチラ

※写真提供/大子グルメフーズ

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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