【インフルエンザ・カゼの予防】口うがいよりも“鼻うがい”のほうが効果が高い!

【インフルエンザ・カゼの予防】口うがいよりも“鼻うがい”のほうが効果が高い!

カゼやインフルエンザの予防のためには、通常の口のうがいより、鼻うがいのほうが効果的と考えられます。その理由と鼻うがいの方法を紹介しております。【解説】堀田修(日本病巣疾患研究会会長・堀田修クリニック(HOC)院長)


鼻の奥の慢性炎症がさまざまな病気を招く

私は長年にわたって、腎じん臓ぞう病を専門に診療を行ってきました。
腎臓病の多くの患者さんを診るなかで、しだいに認識するようになったのが、上咽頭という部位の重要性です。
上咽頭とは、鼻の奥の、いわゆる「のどちんこ」の裏側に位置する部位です。

治りにくいタイプの腎臓病を患っている患者さんのほとんどが、この上咽頭に慢性炎症を起こしていることを突き止め、腎臓病の治療に役立ててきました。

また、こうした治療経験から、この上咽頭に、免疫システムに関係する重要な役割があることもわかってきました。
私たちの体の免疫システムにおいて、白血球の主要な構成要素であるリンパ球が外界とじかに接している場所は、体のうちで2ヵ所しかありません。

一つが腸管です。医学的には、腸管の内側は、私たちの体の外に当たります。腸管内のリンパ球が免疫系を形成し、取り込まれた有害物質や微生物が体内へ侵入するのを防いでいます。
もう一つの場所が、この上咽頭です。上咽頭は、外界と接する空気の通り道です。空気とともに入ってきた異物の侵入を防ぐ役割を、上咽頭のリンパ球が担っているのです。

カゼの始まりには、この上咽頭に急性炎症が起こります。それが急性上咽頭炎で、このとき上咽頭では、体内に侵入したカゼのウイルスとリンパ球とが闘っているわけです。
上咽頭に炎症が起こると、その影響は体の別の場所にも現れます。カゼの場合、肩や首のコリといった症状があります。

皆さんも、ひどく肩がこっていると思っていたら、実はカゼだったという経験があるでしょう。
さらに問題なのは、上咽頭の炎症が悪化し、慢性化すると、それがさまざまな病気を招く可能性があるという点です。

炎症の慢性化により、内臓や血管などの働きを調整する自律神経のバランスがくずれ、血流障害が起こったり、血圧が上がったりします。
また、上咽頭の慢性炎症によってリンパ球が常に臨戦状態となると、別の小さな刺激によって、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を発症しやすくなるのです。

慢性炎症があるかどうかは、患者さんの上咽頭を、綿棒でこするとわかります。慢性炎症がなければ、何も付着しませんが、綿棒に真っ赤な鮮血がついてくる人もいます。
これが慢性上咽頭炎の起こっている証拠です。こうした人には、塩化亜鉛溶液を塗布して治療します。

このような慢性上咽頭炎の治療によって、腎臓病をはじめとして、多くの症状や病気がよくなることがわかってきました。
慢性炎症が鎮まれば、臨戦状態だったリンパ球の状態が治まります。

それがアトピーなどのアレルギー性疾患の予防・改善につながります。片頭痛や関節炎などの自己免疫疾患にも、この治療が効果を上げています。

子宮頸ガンワクチンの副反応も多くが改善!

ただ、この治療に使う塩化亜鉛溶液は劇物指定で、一般には入手できません。この薬品を常備している耳鼻咽喉科自体も今では少なくなっています。

塗布時に薬が強く染みるため、患者さんが痛がることも、この治療法の普及を阻んでいますそこで、代わりにお勧めしたいのが、生理食塩水を使った「鼻うがい」です。

便宜上、鼻うがいと呼んでいますが、実際には、「生理食塩水による上咽頭の点鼻洗浄」といったほうが正確です。生理食塩水ならば、鼻から入れても痛みはありません。

カゼやインフルエンザの予防のためには、通常の口のうがいより、鼻うがいのほうが効果的と考えられます。鼻うがいをお勧めしたいのは、帰宅後や入浴中など。
また、起床時もいいでしょう。口呼吸のクセのある人の場合、睡眠中の口呼吸により、ホコリや微生物がのどに直接到達してしまっています。

こうした人は、特に朝起きたときに鼻うがいをするのがいいのです。ちなみに、近年、子宮頸ガンワクチンの重い副反応(副作用)が話題になっています。
私たちは、この重い副反応が慢性上咽頭炎の症状と似ているところから、副反応に悩む女子学生さんたち41名を調べたことがあります。すると、41名の全員に慢性上咽頭炎を認めました。

そこで、慢性上咽頭炎の治療を16名に行ったところ、13名で症状が改善。多少の障害は残しつつも、学校に通えるようになりました(論文投稿中)。

こうした事例を見てもわかるように、慢性上咽頭炎の治療は多くの病気を治す可能性を秘めているのです。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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