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【高血圧の改善方法ベスト5】血圧を下げる簡単ワザを医師が解説!

【高血圧の改善方法ベスト5】血圧を下げる簡単ワザを医師が解説!

高血圧を改善させる名医直伝!飲んで、もんで、ゆらして撃退!血圧が下がる五箇条を公開。今回紹介するのは、朝から晩までの生活シーン別に役立つ、高血圧対策です。簡単でズボラな人でもすぐ実行に移せるものを五つ選びました。【解説】渡辺尚彦(東京女子医科大学東医療センター内科准教授)

解説者のプロフィール

渡辺尚彦先生
東京女子医科大学東医療センター内科准教授。医学博士。
専門は高血圧を中心とした循環器病。
1987年8月から、連続携帯型血圧計を装着し、以来、365日24時間にわたり血圧を測定。
現在も連続装着記録を更新中。
著書に、『ズボラでも血圧がみるみる下がる49の方法』(アスコム)がある。

小ワザの積み重ねが血圧降下の近道

私はこれまで、高血圧で悩む患者さんに、さまざまなアドバイスをしてきました。しかし、それらの助言をきちんと守って、実行してくれる患者さんは、一握りにすぎません。

食事や運動などの生活習慣を変えることが、いかに大事か力説しても、どうも反応が鈍い。高血圧というのは、ハッキリとした自覚症状が現れにくいため、「まだ大丈夫だろう」と、自分を甘やかしてしまいがちなのです。

加えて、例えば1日の塩分摂取量が現在20gという人に向かって、「明日から1日6gにしましょう」というのは、具体的なようで実は抽象的。これでは、実際に何をすればいいかが伝わらないのです。
では、行動を起こしてもらうには、どうしたらいいでしょうか。

私は、血圧を下げるための些細な工夫を、いくつも提案するようにしています。患者さんには、まず自分のできそうなことから試してもらうのです。

それらの方法は、どれも難しいものではなく、簡単で、かつ、ある程度の効果が見込める「小ワザ」です。一つ試して少しでも血圧が下がれば、その成果に励まされ、もう少しがんばろうという気になるでしょう。小さな成功体験を積み重ね、徐々に生活を変えていくことが、遠回りに見えて、実は近道というわけです。

そこで、今回紹介するのは、朝から晩までの生活シーン別に役立つ、高血圧を改善する方法です。特に簡単で、どんなにズボラな人でもすぐ実行に移せるものを五つ選びました。

①手足ゆらしのやり方

手足をユラユラ・ブラブラとゆらす動作です。「朝のユラユラ」と「日中のブラブラ」の、二つのパターンがあります。

まずは、朝の起床時です。目が覚めたら、すぐに起き上がらずに、布団の中で横になったまま、手足をユラユラと動かしてください。
横になっているときは、立っているときよりも重力の影響が少ないため、少ない血圧で脳に血液が送られています。このとき急に立ち上がると、高く上がった脳に血液を送るため、体が慌てて働き始めてしまうのです。血圧が不安定になり、立ちくらみ(脳貧血)に襲われるリスクもあります。

ですから、起床時は、末端から目覚めさせるように、手足をゆっくりと動かしてから、体を起こしましょう。

日中のブラブラは、立ち仕事や座り仕事の人、テレビの前にずっと座っている習慣がある人は、ぜひ行ってください。
一つの姿勢を長く続けていると、血流が滞ってしまいます。高血圧の人にとっては、決していい状態ではありません。意識して手足を動かしましょう。

ブラブラは、朝のユラユラより、少し早く、小刻みに手足を動かしてください。手足についた水を、勢いよく振り落とすようなイメージです。

朝のユラユラも、日中のブラブラも、2~3分ほど行うといいでしょう。行った直後には、一時的に血圧が上がることもありますが、長期的には血圧降下によい影響を及ぼします。

②白湯飲みのやり方

朝1杯の白湯はまさに「命の水」

朝、起き抜けの体は、水分が失われている状態です。夏は暑さで発汗し、冬は冬で、部屋が乾燥しているため、水分不足に陥っているのです。

このとき血液は、日中よりも粘度が高く、濃くなっています。朝、脳梗塞が起こりやすいといわれるのも、夜間の脱水によって、血液がドロドロになっているためです。高血圧の改善、ひいては脳梗塞の予防にも、起き抜けに水分を補給することが肝心といえます。

そこでお勧めなのが、朝、コップ1杯の白湯を飲むことです。白湯は、一度沸騰させた水、つまりお湯です。
お茶やコーヒーでもよさそうなものですが、朝一番に飲む水分としては、これらは適しません。含まれているカフェインに利尿作用があるため、水分を体内に保持するどころか、排出を促すことになってしまうからです。

牛乳のような、水以外の飲料も、ここでは不適当です。また、水は水でも、冷たいものだと体を冷やしてしまうので、やはり白湯がベストでしょう。

特に高齢の人は、気づかないうちに脱水症状を起こしやすいので、この朝1杯の白湯飲みを、ぜひ心がけてください。まさにそれは、「命の水」といってもいいのです。

③「合谷」指圧のやり方

合谷とは、手の甲側の、親指と人差し指の骨のつけ根にあるツボです。このツボへの指圧は、優れた降圧作用があることがわかっています。
合谷を指圧した後に、腹式呼吸をするのがポイント。やり方は、画像を参照してください。

血圧を調節しているのは、私たちの意志とは無関係に働く、自律神経です。自律神経には、興奮しているときに優位に働く交感神経と、リラックスしているとき優位に働く副交感神経の二つがあり、両者は拮抗して働いています。

合谷指圧を行うと、汗をかくほど温まり、血行がよくなります。このため上半身の血管が拡張して、血圧が下がります。
加えて、直後に腹式呼吸を行うと、心身がリラックス。副交感神経が優位となります。このとき、さらに血管が拡張し、血圧がより下がりやすくなるというわけです。私が高血圧の患者さんに行うと、即座に20~30mmHgほど血圧が下がることも、まれではありません。

合谷指圧は、低血圧の人が行うと、血圧が下がりすぎて、めまいを起こしたりすることがあります。気分が悪くなったら、ただちに中止してください。いい換えれば、それほど降圧効果のある特効療法なのです。

④首タオルのやり方

外から帰ってもマフラーは巻いたまま

寒いときでも、首の周囲を温めておくと、手足までポカポカになるものです。この「首を温める」という防寒対策には、医学的な根拠があります。
首を温めると、「AVA(動静脈吻合)」という特殊な血管が拡張されます。これは、動脈と静脈を結ぶバイパスのような血管で、AVAが開くと、体幹部で温められた血液が大量に末端に流れ込みます。

そのため、隅々まで血流が行き届き、体を温めてくれるのです。体が温まれば血流がよくなり、血圧が安定します。
しかし、一度閉じてしまったAVAが再び開くには、10~40分もかかってしまいます。つまり、首周りは常に温めておいたほうがよいのです。
そうしたわけで、外出時はマフラーを、室内ではタオルを巻くといいでしょう。タオルは吸汗性もあり、洗い替えも気軽にできるのでお勧めです。

ところであなたは、冬場に外から帰ったら、部屋に入るなりすぐに、マフラーを外していませんか。
首は、温度の変化に特に敏感な部分です。帰宅直後、暖房がきき始める前の室内は、空気が冷えきっています。こうした冷たい空気に首をさらすだけで、血圧は急上昇するのです。冬は室内に入っても、マフラーやタオルを、巻いたままでいましょう。

夏は夏で、室内は冷房により相当に冷えています。炎天下の外出から室内に戻り、急にエアコンに当たると、冷気が強く皮膚を刺激し、これも血圧上昇の一因となります。やはり、常に首にタオルを巻いておけば、安心というわけです。

⑤横向き寝のやり方

家族から、「イビキがうるさい」といわれている人は、ぜひ改善に努めましょう。周りに迷惑なだけでなく、血圧にも悪影響があるのです。
眠っているとき、数秒から数十秒という間、呼吸が止まる病気があります。「睡眠時無呼吸症候群」です。そうと診断はされていなくても、イビキが大きくて、いつも寝不足ぎみの人は、その可能性が高いでしょう。

なぜ血圧に悪いのかというと、呼吸が一時的に停止している間、体が酸素不足になるため、血圧が瞬間的に急上昇してしまうのです。実際に、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、血圧が高い人が多く見られます。

また、断続的に無呼吸になることで、脳がその度に覚醒してしまい、安眠が妨げられます。だから、睡眠時間はきちんと確保していても、起床時に、ぐっすり寝た気がしません。慢性的な睡眠不足になるのは、そのためです。

この疾患に悩む人には、肥満の傾向があります。というのも、肥満の人は、のどや舌のつけ根周辺に脂肪が多くついています。あおむけに寝ているうちに脂肪がのどの奥に落ち込み、空気の通り道がふさがって、イビキをかきやすくなるのです。
よって、睡眠時無呼吸症候群の治療に最も有効な手立ては、患者さんがダイエットすることです。しかし、そう簡単にやせられたら、苦労はありません。

そこで試してほしいのが、横向きの姿勢で寝ること。あおむけと異なり、上気道がふさがれにくいので、呼吸がしやすくなります。呼吸が止まる頻度が少なくなれば、血圧が急上昇する局面も、それだけへるというわけです。

スタートラインに立ち一つでも実行しよう!

さて、これまで挙げた五つの小ワザのうち、あなたが「これなら取り組める」と思えたのは、どれでしょうか。
今日から、一つでも始めてください。ここが、高血圧改善へのスタートラインです。まずスタートラインに立ち、一つでも実行することが大事なのです。


※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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