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【医師解説】グルテンアレルギーの改善の鍵「小麦断ち」

【医師解説】グルテンアレルギーの改善の鍵「小麦断ち」

ジョコビッチ選手はプロテニスプレーヤーとなったあとに、「グルテン不耐症」であることが判明。小麦を含む食品を抜くことで動きが格段によくなり、体力・集中力・気力が増強されたそうです。私はこれを読んで、私は最近ふえている患者さんの症状は、小麦が原因ではないかと思ったのです。【解説者】堀田忠弘(堀田医院院長)

これまでと違った症状を訴える人が2014年ごろから驚くほど増えた

最近、私の患者さんのなかで、これまでと違った症状を訴える人がふえてきました。
特に多いのが、胃腸の不調(下痢やおう吐)、体がだるい・疲れやすいといった症状、関節痛、頻尿、頭痛、頭重感などです。

それ以外にも、全身に広がる発疹とかゆみ、じんましん、長引くセキ、味覚異常、モヤモヤ感、耳閉感、冷え症、むくみ、肥満、不眠、イライラ、無気力、不正出血、生理痛、高血圧、甲状腺機能低下症、心筋梗塞、鼻炎などがあります。
こうした症状が、2014年ごろから驚くほどふえてきたのです。

不思議に思っていたところ、ある本にヒントが見つかりました。

プロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ著『ジョコビッチの生まれ変わる食事』という本です。

小麦食品を抜いたらテニス王者に君臨!

この本によると、ジョコビッチ選手は実家がピザ屋で、幼いころからピザを食べ続けてきたそうです。

ところが、プロテニスプレーヤーとなったあとに、「グルテン不耐症」であることが判明。
グルテンとは、小麦などに含まれるたんぱく質のことです。
そのたんぱく質を体がうまく処理できず、心身にさまざまな不調が現れるのです。

そこで、小麦を含むパンやパスタ、ピザなどの食品を食べない食事法を2週間徹底して行いました。
すると、しだいに体が軽くなり、活力が湧いてきて、14年間悩まされてきた鼻づまりまで治りました。

1週間もすると、大好きだったパンやピザもほしくなくなったそうです。

ジョコビッチは、それまで試合時間が長引くと、たびたび倒れたり、集中力が途切れたり、感情の制御ができなくなったりしていました。

それが、小麦を食べないことで、動きが格段によくなり、体力・集中力・気力が増強されたそうです。

そして、食事制限を開始した翌年には世界ランキング1位となり、現在も世界ナンバーワンの座に君臨し続けています。

これを読んで、私はピンときました。
ここ最近ふえている患者さんの症状は、小麦が原因ではないかと思ったのです。

遺伝子の異なる小麦は安全確認がされていない

前述した症状を訴える患者さんに聞いてみると、やはりほとんどの人がパンやうどん、お好み焼きなどの小麦食品を好んで食べていました。
そして、それらを食べないように指導すると、症状が見事に改善していったのです。
まさに、ジョコビッチのように、驚くべき変化でした。

下痢やおう吐、体のだるさ、関節痛、頻尿、頭痛などを訴えていた人が次々よくなったのです。
最も重大な問題は、今、私たちが口にしている輸入小麦のなかに、遺伝子構造の変わった小麦が混ざっている可能性があるということです。
つまり、かつての小麦とは全く違うものが入ってきていると、私には思えるのです。

もともと小麦の品種改良は、人口の増加に伴う食糧不足を解決することが目的でした。
実際、病気や日照りに強く、生育期間が劇的に短い小麦が開発されると、食糧不足に悩む人々の救済に役立つと称賛されました。

品種改良によって収穫高がふえると、農家は当然、新しい小麦に飛びつきました。
そうしたなかで、品種改良によって遺伝子構造の変わった小麦が作られ、日本にも輸入されてきているとしたら、ここ最近急激にふえている症状についても納得できます。

遺伝子構造が異なる食品は、極めて不自然な、人類が食べたことのないものです。
それが体内に入ると、人体にさまざまな悪影響を及ぼすことはじゅうぶん考えられます。

ところが、こうした小麦は、動物実験による安全確認も行われないまま、世界じゅうに供給されています。
今、人が食べることで人体実験を行っているようなものです。

小麦粉を体に入れると、なにが起こる?

では、このような小麦が体に入ると、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。
まず一つは、大幅に構造の変わった小麦のたんぱく質(グルテン)をとると、小腸の空腸という部分に慢性炎症が起こります。

小腸は栄養を吸収する臓器なので、そこに炎症が起こると、未消化のグルテンを腸から血液中にどんどん取り込んでしまいます。
それによって、グルテンアレルギーが起こるのです。

グルテンアレルギーの症状は、冒頭で挙げたように多岐に渡ります。
特に多いのは、下痢、おう吐などの胃腸症状。
また、肌のかゆみやセキなどのアレルギー症状を引き起こします。

関節痛は、関節でアレルギーが起こっている状態、頻尿は、膀胱粘膜でアレルギーが起こっている状態だと、私は考えています。
血液中に異物が入るわけですから、関節リウマチなどの免疫異常が起こっても不思議ではないでしょう。

また、グルテンアレルギーは膵臓を障害するため、糖尿病のリスクも高まります。
小麦は、消化・吸収されやすく、血糖値を急上昇させるため、インスリンの分泌量もふえます。

インスリンはブドウ糖を脂肪に変えるホルモンなので、肥満にもつながります。
そのほか、血糖値の上昇は脳の血流を悪くして、高血圧をも招きます。
さらに集中力が低下したり、短期記憶が不正確になったりして、軽度の認知障害を引き起こすこともあります。

このように、遺伝子構造の変わった小麦は腸に慢性炎症を起こすことで、グルテンアレルギーのリスクを高めて、さまざまな弊害をもたらすのです。

米を主食とする伝統的な和食にする

もう一つ、小麦の問題点は、依存性があることです。
小麦が体内に吸収されると、エクソルフィンというモルヒネ様の化学物質ができます。

これが麻薬と同じような中毒症状を引き起こし、パンやパスタなどの小麦食品を食べたいという欲求をおさえられなくするのです。
そのため、グルテンアレルギーがあっても小麦食品がやめられず、体調はますます悪化するという悪循環に陥ります。

これだけ危険な食べ物が世界じゅうで売られている今、自分で健康を守るしかありません。
体は食べたものでつくられるのですから、私たちが賢くなるしかないのです。

幸い日本には、和食というすばらしい伝統食があります。
和食は世界無形文化遺産にもなったように、それだけで完璧な健康食です。

米を主食とする和食を食べていれば、本来、そこに小麦を足す必要は少しもないのです。
また、江戸時代は1日2食が基本でした。

今は食べ物が汚染されているうえに、食べすぎています。
せめて、三度の食事以外は余計なものを食べないようにすることです。
そして、より健康を目指すなら1日2食を心がけましょう。

解説者のプロフィール

堀田忠弘
1946年、島根県生まれ。医学博士。堀田医院院長。杏林予防医学研究所上級認定医師。日本テレセラピー研究会会長。日本東洋医学会専門医。人の意識や潜在能力などに造詣が深く、これまでインド、ネパール、チベットに渡って修行した経験を、治療に生かしている。著書に『体と心から毒を消す技術』(マキノ出版)など。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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