温かい血液が全身を巡る効率的な健康法
肝臓を温めることは、とても効率的な健康法
肝臓には、非常に多くの役割がありますが、分解・解毒機能は、その代表です。
血液は全身を巡り、細胞に酸素と栄養を届ける一方で、老廃物を回収します。
回収された老廃物は、最終的に肝臓に運ばれて解毒され、それがまた心臓へと送り出されます。
肝臓の解毒作用が高まれば、それだけキレイで健康な血液が、体内を巡ることになるのです。
さらに、肝臓は、合成・代謝という重要な機能も備えています。
血液にのって運ばれてきた栄養素を、体内に取り込みやすい別の形に変えるのです。
この作業には、体に蓄えられたエネルギーが使われるため、脂肪が燃えて、体温が上がります。
肝臓を肌の上から温めることで、体の内側からも、発熱が促されるというわけです。
また、精肉売場でウシなどの生レバーを見ればわかるように、肝臓は、赤褐色をしています。
血流量が非常に多く、血液に富んだ臓器なのです。
ですから、肝臓を温めれば、より温かい血液が体じゅうを巡るので、一気に全身を温めることができます。
体の冷えは、血流の悪化と直結しています。
血流が悪ければ、必要な栄養素や酸素が体のすみずみまで届かず、不要なものが回収されないため、あらゆる機能が低下してしまいます。
健康な血液が、体内をスムーズにめぐるかどうかが、人の健康を左右するといっても、過言ではないのです。
そのため、解毒機能をつかさどる肝臓を温めることは、とても効率的な健康法といえます。
ドロドロの胆石が消え医師の私も驚いた!
肝臓を温める際、私は、腹巻きの上から使い捨てカイロを貼はる、「肝臓カイロ」をお勧めしています。
やり方は、図解を参考にしてください。
肝臓カイロの効果は、多様です。まずは冷え症の改善。
代謝がよくなってむくみが取れ、水太りも解消します。
やせやすい体質になるため、ダイエットにも効果があります。
皮膚の再生が活発になるので、美肌にも有効です。
更年期障害によるのぼせ、ほてりなども緩和されるでしょう。
また、肝臓では、眠り誘発ホルモンの元となる物質、トリプトファンも合成されるため、この産生が促進されれば、不眠の解消にもつながるのです。
肝臓カイロは、肝臓の血流を促進させるので、当然、肝臓それ自体の機能も高めます。
先日、70代の男性から、うれしいお手紙をいただきました。
このかたは、C型肝炎を患っているため、定期的に肝機能の検査を受けています。
あるとき、脚立から落ち肋骨にヒビが入ったため、接骨院で、遠赤外線による温熱治療を受けました。
しばらくして、いつもどおり肝臓の検査を受けたところ、ふだんなら100IU/L以上もある肝機能値(基準値はおよそ30IU/L未満)が、50IU/Lほどまで下がっていたそうです。
ところが、肋骨のヒビが治り治療が終わると、肝機能値が再び上がってしまいました。
このことから、男性は「肋骨の奥の、肝臓を温めるのがいいのだろう」と、腹巻きの上にカイロを貼り、熱心に温めました。
すると、肝機能値は再度下がって、50IU/L前後で落ち着くようになったとのこと。
その後、私が肝臓カイロを推奨していることを知り、「ぜひ広めてほしい」と、報告してくださったというわけです。
また、肝臓を温めると、胆汁の流れもよくなります。
胆汁は、脂肪の消化・吸収を助ける消化液で、肝臓で作られています。
その胆汁を濃縮する器官が、肝臓の下にある胆嚢です。
50代の女性患者さんは、肝臓カイロをしたら、胆嚢にたまっていた、胆泥というドロドロ状の胆石が消失しました。
これには私も驚きましたが、よどんでいた胆汁の流れがよくなったために、胆石が流れ出たのでしょう。
このように、肝臓を積極的に温めることは、さまざまな面から健康度の向上に役立ちます。
ぜひ、セルフケアとして肝臓カイロを活用してください。

石原新菜
イシハラクリニック副院長
私が腹巻きを愛用するようになったのは、研修医になって2年め、26歳のころです。
忙しさゆえの不眠、便秘、生理痛や生理不順などが重なり、当時の体調は最悪でした。
しかし、それらの原因が冷えにあると気づき、腹巻きで体を温める生活をするようにしたところ、健康を取り戻すことができたのです。
以来10年、冬はもちろんのこと、夏でも、腹巻きをしない日はありません。
おなかには、肝臓、腎臓、胃、小腸、大腸などの、生命維持に欠かせない臓器がたくさんあります。
なかでも、特に温めてほしいのが、肝臓のある辺りです(写真参照)。
肝臓を温めると、血流がよくなり、肝機能が高まります。