毒素排出を助ける全身の強壮法!
私のクリニックでは、個人に合わせた「オーダーメイド医療」を治療方針としています。
現れている症状が同じでも、同じ治療で同じ成果が上げられるとは限りません。
患者さんの体質や性格、考え方により、ベストな治療法は異なるものです。
一人ひとりに合わせて治療法を提案し、薬だけに頼るのではなく、患者さん自身が自然治癒力を高めて、病気を治す手助けをする。
それが、私の仕事と考えています。
そのために、西洋医学をはじめ、漢方や代替医療など、有用なものは積極的に治療に取り入れてきました。
いずれも、患者さんにお勧めする前に、必ず自分たちで試し、効果のほどを実感したものだけを推奨しています。
なかでも私の一推しは、「コンニャク湿布」です。
コンニャク湿布とは、ゆでて温めたコンニャクをタオルなどでくるんだもの。
これを、湿布を貼るように、体に当てるのです(詳しいやり方は下の写真参照)。
コンニャク湿布のやり方は、温めて、タオルで包んで患部に

肝臓の機能が向上し、新陳代謝を促す、全身の強壮法
肝臓が温められ、血流がよくなることで、肝臓の機能が向上し、解毒作用も高まります。毒素排出を助け、新陳代謝を促す、全身の強壮法です。
コンニャク湿布がよい影響を及ぼすと考えられる疾病は、ガン、高血圧、糖尿病、肝臓病といった慢性疾患から、冷え症、不眠、胃腸の不調、カゼ、アレルギー疾患、ひざ痛、腰痛などの関節痛まで、多岐にわたります。
病気というほどではなくても慢性疲労、倦怠感に悩まれている人には、特にお勧めです。
私自身、コンニャク湿布を行うたびに、その優れた疲労回復効果を実感しています。
ぐっすり眠れて、朝はスッキリと起きられるのです。
ひざ痛が改善!こむら返りも解消
体の中で冷えている部位は、基本的に、血流が滞っているところ、つまり状態の悪いところといえます。
そういう部位にコンニャク湿布を当てると、ほかのところより熱く感じるようです。
その際は、タオルをさらに重ねて包んでください。
続けているうちに、症状が回復してくれば、以前ほど、熱さを感じなくなるでしょう。
行う際のポイントとしては、コンニャクはビニール袋などに入れず、直接タオルを巻いて使うこと。
湿り気と温かさを、じかに感じることが大切なのです。
温める場所は、上の写真中Ⓐ(肝臓の辺り)とⒷ(へそ下の丹田と呼ばれる部分)です。
20〜30分かけてじっくり温めます。できれば、最後に冷たいタオルで1分間ほど冷やすと、より温かさが持続するようです。
さらに応用編としては、ⒶとⒷを温めたあとにうつぶせになり、同じコンニャクで、腎臓の辺りを、やはり20〜30分温めると、なお健康効果が高まります。
腎臓の位置は背骨の両側、ウエストのくびれから3㎝ほど上の辺りです。
時間に余裕があれば、行うとよいでしょう。
では、患者さんの例を、ご紹介しましょう。
40代の女性は、更年期障害と冷え、関節痛のため来院しました。
冷えると、ひざなど体の節々が痛むそうで、こむら返りを起こすこともしばしば。
疲れも相当たまっていて、月経前の不調にも悩んでいました。
このかたの場合、漢方薬の処方に加え、冷えがひどいため、コンニャク湿布をはじめ、靴下の重ねばきなどの冷え取りの方法を提案しました。
熱心にコンニャク湿布などを続けたところ、冷えが取れて、ひざなどの関節痛が改善。
こむら返りも起こらなくなりました。
疲れも回復しやすくなり、月経前の不調も楽になったと喜んでいました。
また、70代の男性は、肝硬変を患っていて、腹水やむくみが出ている状態で来院しました。
このかたには漢方に加え、ひどいときは利尿剤も処方しましたが、肝臓病ということもあり、コンニャク湿布を勧めました。
最初に試した際は、やはり肝臓に当たる部分が非常に熱く感じられたそうです。
それが、続けるうちに、さほど熱さを感じなくなりました。
そのころにはむくみがだいぶ改善し、体調もよくなりました。
肝臓と腎臓は、健康を保つうえで「肝腎要」です。
コンニャク湿布で温め、日ごろから意識してケアしてください。
解説者のプロフィール

戸舘亮人
ナチュラルファミリークリニック院長
これは、昔からよく知られた民間療法ですが、ときを経て伝わるということは、それだけ多くの人が効果を実感できたということではないでしょうか。