就寝時につければぐっすり眠れる!
現代人の多くは、仕事や人間関係で大きなストレスを感じながら、日々生活しています。
慢性的なストレスは、私たちの自律神経のバランスをくずし、重度の冷えを招きかねません。
このようなストレスによる冷え(ストレス冷えについてはこちらの記事参照)は、日常的におしりをよく温めることで防ぎ、改善することができます。
そして、その方法として勧めているのが「しり巻き」です。
しり巻きといっても、特別なものはいりません。
使用するのは、市販されている腹巻きです。
これを、おなかから股関節にかけて、おしり全体を覆うようにしてつけます。
腹巻きは、通常よりも丈たけが長いものを選んでください。
衣料品店やスーパー、インターネットなどで、「ロング腹巻き」といった名称で販売されているので、ご存じのかたも多いでしょう。
最低でも、長さが35cm以上のものを選んでください。
素材は、どんなものでもかまいません。
ご自身が実際に身につけてみて、気持ちがいいと感じるものがいいでしょう。
素肌に直接ではなく、肌着の上から、あるいはズボンの上から身につけてください。
伸縮性のある薄手のものがお勧めです。
しり巻きは、できれば1日じゅう身につけるといいでしょう。
特に、腰痛などの慢性痛でお悩みの場合、季節を問わず、仕事や家事の最中も身につけることをお勧めします。
冬はもちろんのこと、夏場でも冷房によって、屋内では体が冷えやすくなります。
特にオフィスの場合、スーツ姿の男性に合わせて室温が設定されているので、薄着の女性などは冷えやすく、要注意です。
しり巻きは、スカートの下につければ目立たないので、ぜひ仕事中も身につけるようにしましょう。
また、手足が冷えてよく眠れない人は、就寝時も身につけると安眠できるはずです。
実際に私は、20年以上も毎日、四六時じゅうしり巻きをつけています。
診察中ももちろんつけているので、いつでも全身ポカポカです。
腰痛やしびれが改善し表情も明るくなった
しり巻きをつけると、静脈の通り道であるおしりと同時に、太もものつけ根まで効率よく温められます。
太もものつけ根は、太い動脈である大腿動脈が、体表近くを走っている部位です。
動脈とは、心臓から送り出された血液を、全身へ行き渡らせる大きな血管のこと。
よって、動脈が冷えると、冷えた血液が全身を巡り、体温の低下を招くのです。
しり巻きをつければ、動脈と静脈を同時に温められ、そのダブル効果によって、効率的にストレス冷えを解消し、痛みを取り除くことができます。
では、実際に、しり巻きによって症状が改善した例をご紹介しましょう。
58歳の女性Aさんです。
2年前から通院されているAさんは、腰よう椎ついヘルニアによる座骨神経痛に悩まされていました。
強い痛みに加えて、しびれもありました。
Aさんは毎日とても忙しく、仕事をしながら親の介護もしていたところ、ある日、ご自身が脳梗塞で倒れてしまったのです。
幸い、後遺症は免れたものの、複数の病気にかかったストレスと過労からか、大きな不安感に襲われて、夜も眠れなくなったといいます。
そのとき、すでに複数の薬を服用していたので、薬を飲むこと自体がストレスになっていました。
そこで、勧めたのが、しり巻きです。
しり巻きを始めてから1週間後、再び来院した彼女は、腰痛やしびれが起こる頻度がへってきたと大変喜び、表情も明るくなっていました。
Aさんの場合、病気や介護、仕事による過度なストレスによって、いつも交感神経が過剰に緊張していたのでしょう。
血流が悪化して、体がとても冷えていたはずです。
このため、痛みを鋭敏に感じやすくなる悪循環に陥っていました。
そして、しり巻きでストレス冷えを解消したことによって、この悪循環を断ち切ることができました。
今でも月に1回通院されますが、腰痛はほとんど感じないまでに回復しています。
78歳の男性Bさんは、脊柱管狭窄症による慢性的な腰痛としびれに悩まされていました。
もともと高血圧症を合併しており、動脈硬化で血流も悪化していました。
そこで、しり巻きをするよう勧めました。
それから毎日、しり巻きを続けたおかげで、痛みとしびれは徐々に改善。
全く症状がなくなったわけではないものの、ご本人は8割方改善した、とおっしゃっていました。
このように、しり巻きが重度の症状を改善させる一助になった例は、いくつもあります。
皆さんも、今日からしり巻きを始めて、痛みのない生活を取り戻しましょう。
しり巻きのやり方
