MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【便秘対策の名医】スルッと出る!オリーブオイルを使った和食「地中海式和食」

【便秘対策の名医】スルッと出る!オリーブオイルを使った和食「地中海式和食」

腸の調子がよくない人は、実年齢よりも老けて見えることが多いようです。これは、消化器内科医として、これまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた私の実感です。お勧めしたいのが、「地中海式和食」です。「地中海型食生活」と「和食」、それぞれの欠点を補い、長所を合わせた食べ方です。【解説】松生恒夫(松生クリニック院長) 

腸内細菌だけでは 腸の健康は守れない

 意外に思われるかもしれませんが、腸の調子がよくない人は、実年齢よりも老けて見えることが多いようです。これは、消化器内科医として、日々多くの患者さんを診察し、これまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた、私の実感です。

私たちが食べた物は、消化器を通る過程で消化・吸収され、血流に乗って全身を巡ります。ですから、栄養素を体内に取り込む小腸と、不要な物を排泄する大腸が不調だと、血液が栄養失調になったり、血液に老廃物が混ざったりして、全身の細胞が老化してしまうのです。

 特に、皮膚の細胞は血管の末端にあるため、血液の栄養状態が端的に現れます。「顔色が悪い」「皮膚にハリがない」といった見た目は、すなわち血液の状態、ひいては腸内環境を表しているのです。
 最近、テレビや雑誌などで、「腸内フローラ(腸内細菌叢)=腸内環境」という説明を目にしますが、これは間違いです。腸内フローラは、腸内環境の一要素にすぎません。腸内細菌だけに着目していては、腸の健康は守れません。

 腸内環境は、次の三つの要素で構成されています。
❶食事因子(何を食べるか)
❷腸管機能(腸管がしっかり動いているか)
❸腸内フローラ(腸内細菌の状態)

 そう考えると、腸内環境を改善するには、腸に好影響を与える食品を摂取することと、腸の働きをよくする食べ方も、大きなポイントだといえるのです。

オリーブオイルを1日大さじ1杯とろう

 そこでお勧めしたいのが、私が考案した「地中海式和食」です。「地中海型食生活」と「和食」、それぞれの欠点を補い、長所を合わせた食べ方です。

 ここでいう和食とは、一汁三菜をそろえた食卓を指します。一汁三菜というと大変そうですが、ご飯とみそ汁、納豆や漬物などの発酵食品(植物性乳酸菌)、野菜の煮物やおひたし、これに焼き魚があれば完璧です。

 ただ、和食には、砂糖を使って甘辛く味つけする料理があります。その際、砂糖をオリゴ糖に替えるといいでしょう。オリゴ糖は小腸で吸収されにくく、血糖値への影響が少ないうえ、大腸では善玉菌の代表であるビフィズス菌のエサとなり、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を改善します。 

 地中海型食生活は、野菜と魚、エキストラバージン・オリーブオイルをふんだんに使い、肉と乳製品は控えめです。また、デザート以外には砂糖を使わず、老化予防に効果的な食事といえます。 

 エキストラバージン・オリーブオイルには、32種類ものポリフェノールが含まれています。現在使われている食用油のなかでは、老化の元凶物質である活性酸素を除去する作用が、最も高いことがわかっています。

 ポリフェノールには、動脈硬化、糖尿病、骨粗鬆症、アルツハイマー病、リウマチ、大腸ガンや乳ガン、潰瘍性大腸炎の予防効果が判明しています。

 便秘の人にもお勧めです。エキストラバージン・オリーブオイルを大さじ1〜2杯とることで、便秘が改善されるケースが少なくありません。
 全身に有効なので、健康な人でも1日大さじ1杯(15ml)程度とるといいでしょう。

納豆+オリーブオイルはお勧め!

地中海式和食で全身の老化を抑制

 地中海式和食の特徴を挙げると、以下のようになります。
1野菜と魚介類を中心とした食生活。
2発酵食品を含む一汁三菜の典型的な和食に、オリーブオイルをプラスする。
3料理に使う砂糖をオリゴ糖に替える。

 私自身も毎日、地中海式和食を心がけています。
 例えば、私は納豆を食べる際、添付のたれとオリーブオイルを入れます。クリーミーな食感で、食べやすくなります。
 マグロの刺し身にオリーブオイルをかけてカルパッチョにしてもいいですし、豆腐にオリーブオイルと塩コショウをかけるとチーズのような味わいです。

 エキストラバージン・オリーブオイルは、加熱してはいけないと思っている人が多いようですが、黒煙が出るほど熱しなければ、炒め物などに使ってけっこうです。

 地中海式和食では、主食となる穀物もしっかりとります。
 お勧めは、麦飯です。特に、最近話題のもち麦は、水溶性食物繊維であるβグルカンの含有量が多いのが特長です。米ともち麦を2対1の割合で合わせて炊くと、おこわに近い食感になり、おいしく食べられます。腸の不調に悩む人は、3食のうち1〜2食の主食を、もち麦ご飯にすることをお勧めします。

 人は皆、老化から逃れることはできません。しかし、その老化の速度を緩めることはできます。全身の老化を抑制するために、地中海式和食で、腸の機能を健康に保ちましょう。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この記事のエディター
関連記事
納豆を毎日食べるようになったとき、最初に実感できるのは、便通の改善でしょう。それもそのはず。納豆には、腸内環境を整えるための働きや成分がそろっているからです。腸内において納豆菌は、活性酸素を分解する酵素と、善玉菌のえさとなる栄養分を作りだし、善玉菌の増加を強力にサポートします。【解説】河埜玲子(済生会松阪総合病院医師・料理家) 
日本の発酵食品(しょうゆ、みそ、日本酒など)を作る上で、こうじはなくてはならないものです。こうじは、蒸した米や麦、大豆などに、こうじ菌という微生物を繁殖させたものでこうじ菌が作った栄養成分がぎっしり詰まっています。こうじについては多少の知識がありますので、少しお話しさせてください。【解説】浅利妙峰(糀屋本店女将) 
「いつもおなかが張って苦しい」「下腹がポッコリ出ている」という人は、「大腸下垂」の可能性が非常に高いと言えます。便秘やガス腹を引き起こす大腸下垂の予防・改善には、腹筋、骨盤底筋を鍛えましょう。私がお勧めするのは、雑巾がけやおしりの上げ下げなどです。【解説】金子実里(金子病院副院長) 
人間本来の解毒作用による毒素の排出は、75%が便からで、20%弱が尿からといわれています。残りが汗、毛髪、爪からの排出です。ですから、健康を考える上で「便をスムーズに出す」ことは非常に重要だといえるのです。【解説】堀田忠弘(堀田医院院長)
食べ始めて4日ほどたった頃、劇的な変化がありました。1日おきだったお通じがなんと1日2回になったのです。朝食をとると、すぐトイレに行き、日中にもう1回お通じがあります。便秘解消のおかげか、吹き出物がなくなり、肌がきれいになりました。また、寝起きに起こっていた鼻づまりもなくなりました。【体験談】藤田久美子(主婦・60歳)
最新記事
熱中症は7月8月の日中に最も多く見られます。熱中症は、乳幼児から高齢者まであらゆる年代で起こる病気です。なかでも高齢者は重症化する場合が多いのです。また服薬や持病のある方も熱中症にかかりやすいリスクがあるといえるでしょう。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
熱中症は私たちの日常生活の中での注意や工夫で予防することができます。たとえば、服装です。また、水分補給についても、実は「水分」だけを補給するのではいけません。そのほかに、エアコン等の空調の使い方のコツなどをご紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
手洗いの時間の目安は、おおよそ30秒。次のような手順で洗っていくと、少なくともそれくらいの時間が必要であることが実感できるでしょう。
新型コロナウイルスには、まだ特効薬やワクチンはなく、感染しないための予防法を徹底することが重要です。自分一人ひとりができる感染症対策のポイントをチェックしてみましょう。
コンブを水に漬けて冷蔵庫で10日ほど発酵させ、乳酸菌と酵母を培養する「コンブ酵母」が話題になっています。コンブ特有のにおいが軽減し、旨みが濃くなるので、そのまま飲んでも、料理に使ってもよし!食生活に取り入れる人が急増中です。コンブ酵母の作り方と、コンブ酵母の活用レシピをご紹介します!【レシピ】COBOウエダ家

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル