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【スタチン系薬剤】コレステロールを下げる薬は本当に必要?知ってほしい副作用

【スタチン系薬剤】コレステロールを下げる薬は本当に必要?知ってほしい副作用

コレステロール値の高い脂質異常症(高脂血症)は、高血圧と同様で、基準値を低く設定することによって作られた病気です。安易に薬を飲む必要はありません。最近では、コレステロール値が高い人のほうが長生きだというデータが発表されています。【解説者】松田史彦(松田医院和漢堂院長)

薬で下げても動脈硬化の予防効果はない!

コレステロールが体に必要な物質であることはだいぶ周知されてきました。
しかし、医療機関ではまだ、コレステロール値を下げる薬が出されています。

最初に申し上げておきます。
コレステロール値の高い脂質異常症(高脂血症)は、高血圧と同様で、基準値を低く設定することによって作られた病気です。

したがって、安易に薬を飲む必要はありません。
コレステロールは、あらゆる細胞の細胞膜の材料として人間の体に欠かせない物質です。

消化に必要な胆汁酸や、ホルモン類なども、コレステロールなしでは作れません。
また、HDLコレステロールを善玉、LDLコレステロールを悪玉と呼ぶのも間違いです。

どちらも体に必要なもので、役割が違うだけです。
このHDLとLDLのバランスも、血圧と同様、体の自然で精巧なしくみが、その人の最適な状態に自動調整しています。

最近では、コレステロール値が220~280mg/dLくらい高い人のほうが、長生きだというデータが数多く発表されています。
また、薬でコレステロール値を下げても、動脈硬化の予防効果は全くないという研究結果も出ています。

私は総コレステロール値が300mg/dLを超える患者さんも、極力コレステロール低下薬の処方以外で対応しています。
代表的なコレステロール低下薬に、スタチン剤(商品名=メバロチン、リピトールなど)があります。

この薬は、肝臓でコレステロールが合成される際に必要な酵素の働きをブロックして、LDLコレステロールの生成を抑制します。
そして同時に、コエンザイムQという物質の合成も阻害します。

コエンザイムQは、強い抗酸化作用があり体に必須です。
不足すると、エネルギーの産生が低下して、心筋の機能が落ちたり、免疫力が低下したりといった弊害があります。

スタチン剤には、肝障害、横紋筋溶解症(筋肉が血液中に溶け出す病気)、ミオパチー(筋線維の壊死)などの重篤な副作用があります。
それに加え、コエンザイムQまで不足するので、感染症やガンのリスクも高まります。

このようなリスクを負ってまで、スタチン剤を使う意味はありません。
コレステロール低下薬は、急にやめても、リバウンドはほとんどありません。

比較的、簡単にやめられる薬です。

抗凝固薬と抗血小板薬の併用は出血の危険性大!

心筋梗塞や脳梗塞の患者さんには、たいてい、スタチン剤のようなコレステロール低下剤とともに、血液を固まりにくくする抗血栓薬が処方されます。
抗血栓薬には、大きく二つの系統があります。

一つは、血液を凝固させる「フィブリン」という成分を阻害する「抗凝固薬」です。
不整脈や心不全などで血流が滞り、血液が固まりやすくなって起こるフィブリン血栓(血液の塊かたまり)を予防します。

代表的な薬は、ワルファリンカリウム(商品名=ワーファリンなど)です。
もう一つは、出血の際に血液を固まらせて止血する「血小板」という成分を阻害する「抗血小板薬」です。

主に動脈硬化による血小板血栓を予防する薬で、アスピリン(商品名=バイアスピリン)がよく使われます。
血液を固まりにくくするということは、一方で、出血を止まりにくくすることでもあります。

当然、抗凝固薬や抗血小板薬を飲むと、出血しやすく、かつ止まりにくくなります。
副作用として、眼底出血、鼻血、歯茎の出血、肺出血、消化管出血、血尿など、あらゆるところに出血傾向が出ます。

脳出血を起こせば、命にかかわります。
なお、抗凝固薬のワーファリンは、ビタミンKを含む納豆や野菜が禁忌です。

これはビタミンKがワーファリンの働きをじゃまするからです。
そこで近年、納豆を食べられる抗凝固薬が登場。

ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(商品名=プラザキサ)や、アピキサバン(商品名=エリキュース)という薬です。
しかし、これらの薬の添付文書には、警告として「本剤の抗凝固作用を中和する薬剤はない」と記されています。

添付文書には副作用が具体的に明記されている

つまり、出血したら止めることができないわけです。
このような怖い薬を安易に使うべきではありません。

抗凝固薬と抗血小板薬を併用すると、出血を起こす危険性が増すと研究でわかっています。
しかし、これらの薬を両方処方する医師が少なくありません。

心筋梗塞や脳梗塞を一度でも起こした患者さんは、「再発」という不安と恐怖を常に抱えています。
その不安から、患者さんは薬を飲み続けるのです。

しかし、梗塞の予防の裏には、出血の危険性が確実にあります。
ですから、これらの薬は最小限にするべきです。

現在、抗凝固薬と抗血小板薬の両方を処方されているというかたは、ほんとうに飲む必要があるのか、主治医に確認してください。
納得のいく答えをもらえないようなら、別の医師に代えたほうがいいでしょう。

血管の詰まりには、食事や運動やストレスなど、さまざまな要因がかかわっています。
そこから見直すことが、本来の予防です。

したがって、血液を安全にサラサラにする青魚を積極的に食べたり、運動を行ったりするなどの生活改善が必要です。
私は、不安が強くて、抗凝固薬や抗血小板薬をやめられない患者さんには、減薬しながら、青魚に含まれるEPAやDHAのサプリメントと、血流をよくする漢方薬(桂枝茯苓丸など)を飲んでもらっています。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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