ロキソニン、デパス、ハルシオン、レンドルミンにも強い副作用が
「薬などの化学合成物質で、人は元気になれない。
人を元気にするのは、自然のものだけ」私は常々、患者さんにそう訴えています。
現代人は、薬、食品添加物、農薬などによって、血液がどんどん汚れて不健康になっているのです。
整形外科の現場でも、薬は多用されています。
代表的な鎮痛薬のロキソプロフェン(商品名=ロキソニン)は、胃腸障害(胃痛、嘔吐、下痢、胸やけなど)、肝障害、腎障害などの副作用が頻繁に起こります。
日本では市販もされているので、簡単に手に入ります。
しかし、アメリカでは副作用が多いので、処方する医師は少ないといわれています。
痛みを訴える患者さんに対して、睡眠導入や筋弛緩を目的に、ベンゾジアゼピン系の薬(商品名=デパス、ハルシオン、レンドルミンなど)を出す整形外科医もいます。
これは向精神薬の一種です。
依存性が強く、急にやめると、せん妄やけいれん発作などの禁断症状が出ることがあり、減薬も注意を要します。
飲み続けると脳の機能が落ち、認知症の原因にもなる怖い薬です。
そして、痛みに対して処方される薬で、特に注意してほしいのが、プレガバリン(商品名=リリカ)です。
この薬は、神経障害性疼痛や線維筋痛症(全身や体の広範囲に激痛が起こる症状)の治療薬として、なかなか取れない痛みに対し、整形外科でよく使います。
ひざ痛や腰痛でも、経過が長引く場合や、ほかの鎮痛薬が効かない場合に、処方されるケースがあります。
リリカは、末梢から脳の中枢への伝達経路をブロックして、痛みの感じ方を鈍くする薬です。
つまり、根本的な痛みの原因を取り除くものではありません。
しかも、中枢に作用するため、多くの副作用を伴います。
添付文書によると、線維筋痛症の患者さんの82・9%に副作用が出ています。
めまいは27・5%、傾眠は39・6%です。
そのほか、意識消失、心不全、肺水腫、腎不全、低血糖、間質性肺炎(肺の間質組織の線維化を起こす病気)、劇症肝炎(症状が現れて8週以内に意識障害が現れる重症肝炎)といった重じゆう篤とくな副作用もあります。
私は開業当初、数人にリリカを処方したことがあります。
そのときは全員に、ふらつき、めまい、頭痛、悪心といった副作用が現れました。
それ以来、リリカはいっさい使用していません。
新たに来られた患者さんがリリカを服用していた場合でも、断薬をお勧めしています。
リリカには、ベンゾジアゼピン系の薬と同様の麻薬性もあります。
服薬をやめると、極度の疲労感、意識障害、不安感などの離脱症状が現れることも少なくありません。
やめるときは医師の指示のもと、少しずつ減らすなど、慎重に行うことです。
ビビアント、エビスタも副作用が懸念
もう一つ、整形外科で出される薬で注意すべきは、骨粗鬆症です。
そのうえ、10年以上飲み続けると、骨の腫瘍ができることもわかっています。
女性の骨粗鬆症に対しては、女性ホルモンに似た働きをするエストロゲン製剤(商品名=ビビアント、エビスタなど)が出されることもあります。
これらは天然の女性ホルモンではなく、人為的に操作されたものなので、子宮や乳房への副作用が懸念されます。
薬は表面上よくなったように見えるだけで、決して病気を治したり、体を健康にしたりするものではありません。
健康になるには、血液をきれいにすることがいちばん。
それには、食生活の改善、よく噛か むこと、ゆったりとした呼吸を行うことなどを意識して行うほうが、薬を飲むより断然有効で安全です(下図参照)。
くすりをやめて健康になる対策

痛みはすべて、体の滞りが原因
また、痛みはすべて、体の滞りが原因です。
急性期以外なら、局所を温めたり、滞っている部分をほぐしたりすることが、根本的な改善策になります。
私は健康プロデューサーの杉本錬堂氏が考案された、「天城流湯治法」という手当て法を学び、各症状に合わせた手技を患者さんに指導しています。
脊柱管狭窄症で足に痛みとしびれがあった80代の女性は、リリカなど5種類の薬を数年間飲み続けていました。
しかし、薬を少しずつやめてもらい、天城流の手技を行ってもらったところ、約2週間で10年来の痛みとしびれが改善しました。
骨粗鬆症の患者さんには、薬をやめてもらい、玄米を中心に、野菜、海藻、小魚などをバランスよくとる食生活と、よく噛むことを行ってもらいます。
その結果、半年後には多くの人の骨量が1~3%上がり、骨の質もよくなっています。
薬に頼るより、根本的に治す方法があることを、ぜひ知ってください。
解説者のプロフィール

平野 薫
1987年、九州大学医学部卒業、同整形外科教室入局。新日鐵八幡記念病院などを経て、2010年、ひらの整形外科クリニックを開院。東洋医学や天城流湯治法などを加えた独自の治療で成果を上げている。