【症状別に効く】歩数と歩き方が判明!基本は1日8000歩・20分の速歩き

【症状別に効く】歩数と歩き方が判明!基本は1日8000歩・20分の速歩き

昼間お勤めをしている人は、平日に外出や散歩の時間を取ることが難しいかもしれません。駅までの道を速足で歩く、職場の一つ手前の駅で降りて歩く、エレベーターやエスカレーターは使わない、などを心がけるといいでしょう。【解説】青栁幸利(東京都健康長寿医療センター研究所運動科学研究室長)


5000人を15年調査し判明した最適歩数と時間

運動が、健康増進や病気予防に欠かせないことは、よく知られています。
しかし、これまでは、「どんな運動を、どれくらいしたらいいのか」という指標がありませんでした。

近年の研究で、共通の「ものさし」ができました。
「1日に8000歩、そのうちの20分は速歩き」というものです。

根拠となったのは、「中之条研究」です。
これは、私の故郷である群馬県吾妻郡中之条町まちで行った、大がかりな調査を基にした研究です。

具体的には、2000年から15年にわたって、高齢者5000人に対し、日ごろの運動の頻度や時間、生活の自立度、睡眠時間、食生活などに関する膨大なアンケート調査を行いました。

そのうち500人には「身体活動計」を携帯してもらい、毎日の身体活動状況をモニターしたのです。
身体活動計とは、1日の歩数や、そのなかに占める速歩き時間などがわかる小型の器具です。

歩数計を高度にしたようなもので、家電量販店などで普通に売られています。
こうして、身体活動と病気の発生について、細かな追跡調査を行った結果、さまざまな病気の予防に必要な1日の「歩数」、それに占める「速歩き時間」という客観的なデータを導き出すことができたのです。

それが、「1日平均8000歩を歩き、そのなかに速歩き20分が含まれれば、多くの病気を予防できる」という事実でした。

→「中之条の奇跡」の記事はコチラ

表のように、「2000歩・速歩きなし」でも寝たきりを予防でき、「4000歩・速歩き5分」だけでも、うつ病を防ぐことができます。
「5000歩・速歩き7・5分」なら、寝たきりとうつ病に加え、脳卒中と心臓病、認知症、要介護状態を回避でき、「7000歩・速歩き15分」なら、動脈硬化と骨粗鬆症、一部のガンを予防できます。

そして、「8000歩・速歩き20分」で、糖尿病、高血圧、脂質異常症まで防ぐことができるとわかったのです。
ここで疑問となるのは、「速歩き」の定義でしょう。

速歩きは、「中強度の運動」を意味します。
具体的には、「歌は歌えないけれど、なんとか会話はできる」という程度の運動です。

その程度の運動であれば、ジョギングや山登りなど、歩行以外の運動でもかまいません。

単にたくさん歩くより速歩を含めるのが重要

健康効果を得るには、単にたくさん歩くことより、「そのなかにどれだけ速歩き(中強度の運動)が含まれているか」が重要になります。
例を一つご紹介しましょう。

ある老舗旅館の女将さんは、朝5時から夜の9時まで忙しく動き回り、毎日1万3000歩も歩いていました。
しかし、和服でしずしずと歩くため、中強度の運動は含まれませんでした。

このかたは、70歳のときに転倒し、骨折しました。
骨粗鬆症になっていたのです。

常に屋内にいるため、日光(紫外線)に当たらないことも、骨粗鬆症になった原因の一つでした。
骨が作られるために必要なビタミンDは、日光に当たることで合成されるからです。

そこで、女将さんに「1日1回、買い出しに出る」という宿題を出し、実行してもらっています。
「1日8000歩、そのうち20分は速歩き」は、1日1回、家の外に出ることで達成できます。

私たちは、家のなかでも、かなり歩いています。
それに1時間程度、速歩きを意識した外出を心がけてください。

昼間お勤めをしている人は、平日に外出や散歩の時間を取ることが難しいかもしれません。
駅までの道を速足で歩く、職場の一つ手前の駅で降りて歩く、エレベーターやエスカレーターは使わない、などを心がけるといいでしょう。

そして、週末は家でゴロゴロせず、用事を作って外に出ましょう。
映画館に行くと、観ている間は座っているだけですが、そこへの往復で歩くことになります。

それでいいのです。
また、買い物も、なるべく歩いていきましょう。

車で行くなら、店の入り口から遠い場所に駐車すると、多く歩けます。
歩く距離や運動量をふやすというより、生活スタイルを変える意識を持ちましょう。

歩くことに限らず、中強度の活動を日常生活に散りばめ、それを定着させるイメージです。
「1日8000歩、そのうち20分は速歩き」の達成度を把握するには、身体活動計が便利です。

前述したように、普通に市販されており、さほど高価ではありません。
活動の目安や励みになるので、お勧めします。

悪天候のときや、真夏や真冬などは、空調設備のあるショッピングモールや地下街などに行くと、歩数をかせげます。
また、歩けない日があってもかまいません。

1〜2週間で帳尻を合わせるつもりで、「今日歩けなくても、明日歩けばいい」とのんびりかまえてください。
歩きすぎも禁物です。

翌日に疲れが残ったら、やりすぎです。
疲労が残るほどの運動は、免疫力を下げ、病気を誘発します。

「1日8000歩、そのうち20分は速歩き」は、あくまで目安です。
無理のない範囲で、歩数と運動量を調整しましょう。

→「うつ・認知症」を予防する速歩の解説はコチラ
→「糖尿病・高血圧」を予防する速歩の解説はコチラ

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【血圧を下げる】ポリフェノールの健康効果が最大級「レモンコーヒー」 近視・老眼も防げる

【血圧を下げる】ポリフェノールの健康効果が最大級「レモンコーヒー」 近視・老眼も防げる

レモンコーヒーは、ポリフェノールの玉手箱。コーヒーにはクロロゲン酸、レモンにはエリオシトリンなどが含まれています。一緒に飲むことで、コーヒーとレモンのポリフェノールが併せて取れるので、よりいっそう健康効果が高まるでしょう。【解説】板倉弘重(芝浦スリーワンクリニック名誉院長・日本ポリフェノール学会理事長)


【歯周病菌の除菌方法】3DSとは?歯周病が原因の様々な病気を予防する注目の歯科技術

【歯周病菌の除菌方法】3DSとは?歯周病が原因の様々な病気を予防する注目の歯科技術

ムシ歯や歯周病は、口の中にいる細菌が原因で起こります。ご存じのように、ムシ歯や歯周病は歯を失う最大の原因となります。そこで注目されているのが、ムシ歯や歯周病の原因菌を除菌する「3DS」(デンタル・ドラッグ・デリバリー・システム)という技術です。【解説】花田信弘(鶴見大学歯学部探索歯学講座教授)


【糖尿病対策の食事】糖質は減らさず味方にする!食後高血糖を防いで肥満を撃退するコツ

【糖尿病対策の食事】糖質は減らさず味方にする!食後高血糖を防いで肥満を撃退するコツ

糖質を敵にするか、味方にするかは、食べ方次第です。糖質は悪者ではありません。問題なのは、糖質を取った後、血糖値が急激に上昇する食後高血糖です。糖質は、食べ方のコツさえ知っていれば、血糖値を急激に上げることなく、糖質をおいしく取ることができるのです。【解説】足立香代子(臨床栄養実践協会理事長・管理栄養士)


【食後高血糖の改善】なんとキウイを加えると血糖値スパイクを予防できると判明

【食後高血糖の改善】なんとキウイを加えると血糖値スパイクを予防できると判明

糖質制限ダイエット中は「糖質を食べたい」と思いながらも、無理に我慢することになります。この「我慢」がクセモノです。それが続かなくなったときには、糖質のドカ食いをしがちだからです。そこで私がお勧めするのは、糖質制限に果物、特にキウイを役立てることです。【解説】足立香代子(臨床栄養実践協会理事長・管理栄養士)


【ダイエット効果】おやつもOK!糖質を味方にする痩せる食事の極意 ポイントは“足し算”

【ダイエット効果】おやつもOK!糖質を味方にする痩せる食事の極意 ポイントは“足し算”

「間食はいけない。我慢すべき」というのも「引き算食べ」の発想。それを続けていると、食欲が爆発するときがやってきて逆効果です。ここでは「足し算食べ」を実践するための具体的なヒントをいくつかご紹介しましょう。【解説】足立香代子(臨床栄養実践協会理事長・管理栄養士)


最新の投稿


【肝臓ってどんな臓器?】急性肝炎と慢性肝炎の違い 健康診断の数値の見方や働きを専門医が解説

【肝臓ってどんな臓器?】急性肝炎と慢性肝炎の違い 健康診断の数値の見方や働きを専門医が解説

肝臓は、よく「体内の一大コンビナート」にたとえられます。栄養素の分解、合成、代謝、貯蔵、有害物の解毒、重要な消化液である胆汁の生成など、細かく分けると数百もの働きを担っており、まるで各種の工場や倉庫が集まったような機能を果たしているからです。【解説】髙橋弘(麻布医院院長ハーバード大学医学部内科元准教授)


【血圧を下げる】ポリフェノールの健康効果が最大級「レモンコーヒー」 近視・老眼も防げる

【血圧を下げる】ポリフェノールの健康効果が最大級「レモンコーヒー」 近視・老眼も防げる

レモンコーヒーは、ポリフェノールの玉手箱。コーヒーにはクロロゲン酸、レモンにはエリオシトリンなどが含まれています。一緒に飲むことで、コーヒーとレモンのポリフェノールが併せて取れるので、よりいっそう健康効果が高まるでしょう。【解説】板倉弘重(芝浦スリーワンクリニック名誉院長・日本ポリフェノール学会理事長)


【ひざの痛み】ツボを揉むより簡単!足の“親指”を刺激するだけで血流アップ 冷えも腰痛も消えた!

【ひざの痛み】ツボを揉むより簡単!足の“親指”を刺激するだけで血流アップ 冷えも腰痛も消えた!

足の裏には、親指を頭、親指のつけ根を首として、かかとへと向かって、全身の内臓や器官に対応する「反射区」が、人体図のように並んでいます。LTF療法は、ふくらはぎなどの足、足の指、手の指をもんだり刺激したりすることで、血液循環をよくし、痛みや不調を取り去る方法です。【解説】原田秀康(国際足健法協会会長)


【体験談】しびれるほどの足の冷えが足の親指刺激で和らいだ!こむら返りもなくなった

【体験談】しびれるほどの足の冷えが足の親指刺激で和らいだ!こむら返りもなくなった

私は、7年前に脳梗塞で倒れ、その後1年半ほど歩くことができませんでした。足の親指刺激を日課に加えてからは、しびれるような足の冷えが徐々に和らぎ、靴下をはかなくても眠れるようになりました。最近では、ふらつかずにしっかり歩けるようになっています。【体験談】杉井小夜子(無職・84歳)


【腸内環境を改善】宿便と有害物質を排出して腸を大掃除する「解毒スープ」とは

【腸内環境を改善】宿便と有害物質を排出して腸を大掃除する「解毒スープ」とは

解毒スープを飲んで2時間もすると、体がポカポカしたり、尿意を催したりといった、なんらかの変化を実感できるでしょう。便秘がひどい人の場合は、便通への効果に時間がかかることもありますが、根気よく続けてください。【解説】堀田忠弘(堀田医院院長)