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【目薬】防腐剤や血管収縮剤入りに注意 老眼やドライアイには「目の温タオル」

【目薬】防腐剤や血管収縮剤入りに注意 老眼やドライアイには「目の温タオル」

充血や目の疲れも、その裏には目の病気が隠れているかもしれません。それを市販薬でごまかしてしまうと、あとで取り返しのつかないことになる場合があります。【解説者】林田康隆(Y’sサイエンスクリニック広尾院長・眼科専門医)

塩化ベンザルコニウムは殺菌力が強過ぎる防腐剤

皆さんは、ふだんご自分の目に、どれくらい関心を持っているでしょうか。
少々目の調子が悪いときは、市販の目薬で間に合わせていないでしょうか。

目がかすむ、充血するといった症状は、過労による疲れ目や老化による老眼だと思われがちです。
しかし、市販薬をさしてもよくならず、だいぶ経過してから眼科を受診される患者さんがあとを絶ちません。

なかには症状が悪化して、治療に難渋するケースもあります。
高齢になるほど、目は多くの危険にさらされ、病気になる危険性が高まります。

充血や目の疲れも、その裏には目の病気が隠れているかもしれません。
それを市販薬でごまかしてしまうと、あとで取り返しのつかないことになる場合があります。

もちろん、市販の目薬自体が悪いわけではありません。
しかし、市販の目薬は、幅広い症状に対応するため、いろいろな成分が配合されています。

その中には、目に悪い成分も、少なからず含まれているのです。
その一つが、「防腐剤」です。

市販の目薬には、カビや細菌の繁殖を防ぐため、多めに防腐剤が添加されています。
防腐剤が濃い目薬を頻繁にさすと、目のトラブルの原因になりえます。

特に、目の弱いかたや高齢のかたが頻繁に使うと、目が傷つき充血したり、アレルギー反応を起こしたりする場合があります。
防腐剤の中でも、殺菌力の強い塩化ベンザルコニウムには、注意が必要です。

最近では、防腐剤の濃度を薄くする傾向があり、防腐剤フリーの目薬も出ています。
ところが、薄すぎると長持ちしないため、長期間経つと、菌がすぐに繁殖してしまいます。

ですから、防腐剤の少ない目薬は、使用期間を厳格に守ることが鉄則です。
もう一つ気をつけていただきたい成分が、「血管収縮剤」です。

目の充血を取る目薬には、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリンなどの血管収縮成分が入っています。
目の充血は、主に炎症が原因です。

細菌やウイルスなどの外敵が侵入すると、体内の兵隊ともいうべき免疫細胞が集まり、外敵と闘います。
免疫細胞を送ろうと、局所の血管を拡張するため、目が充血するのです。

ですから、無理やり目薬で血管を収縮させると、兵隊を戦地に送れなくなってしまいます。
これでは、ただ症状にふたをするだけで、炎症を根本からは治せません。

充血を取る目薬をむやみに使うと、一時的に赤みは引きますが、根本が治っていないため、また充血します。
それをくり返すうちにだんだん薬が効かなくなり、症状が悪化するのです。

目に何かしらの症状を感じたら、自己判断せず、まずは眼科を受診してください。
そして、目薬は基本的に、眼科で処方された物であれば、まず間違いありません。

酸素や栄養が行き渡り老廃物が回収される!

私が、目薬を極力使わないために、日常の目のケアとしてお勧めしているのが、「目の温タオル」です。
タオルで目を温めると、目の表面を守る涙が保持でき、目の血流も改善します。

涙の表面は、蒸発を防ぐため、脂の層に覆われています。
この油を分泌しているのが、上下のまぶたの裏にある、マイボーム腺という皮脂腺です。

マイボーム腺は、加齢とともに脂が固まり、詰まりやすくなります。
そこで、タオルで目を温めると脂が溶け、分泌されやすくなるのです。

また、温めることで、目や周辺の筋肉がほぐれ、毛細血管の流れがよくなります。
それにより、酸素や栄養が供給され、老廃物が回収されるので、目は元気になります。

ですから、疲れ目やドライアイ、そして老眼対策として、目の温タオルは、とても有効です。
温タオルは、電子レンジで簡単にできます。

ただし、加熱後はヤケドしないよう、十分気をつけてください。
目に当てる時間は、10分が目安ですが、5分も経たずに冷めてしまうので、タオルが冷めたら温め直しましょう。

なお、目が充血しているときには、温めると炎症を助長するので、行わないでください。
目が充血したときは、まず眼科に行くべきですが、応急処置としては、保冷剤などで目を冷やすといいでしょう。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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