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原因は【骨盤の冷え】夜間頻尿、間質性膀胱炎、過活動膀胱の症状も改善

原因は【骨盤の冷え】夜間頻尿、間質性膀胱炎、過活動膀胱の症状も改善

女性が膀胱炎や頻尿、尿失禁などに悩んでいる場合、骨盤が冷えているケースが多いものです。というのも、骨盤の冷えは、これらの泌尿器系の疾患を引き起こす誘因の一つであるからです。症状を悪化させる原因の一つは、冷えにあります。【解説】奥井識仁(よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック院長)


解説者のプロフィール

奥井 識仁
よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック院長。東京大学大学院修了後、ハーバード大学留学。泌尿器科、婦人科、外科の修練を経て、骨盤外科医として活躍中。著書に『図解 はじめての女性泌尿器科』(ハート出版)などがある。
●よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック
http://www.uro-gyn.net/

骨盤が冷えていると泌尿器系の疾患を招く

女性が膀胱炎や頻尿、尿失禁などに悩んでいる場合、骨盤が冷えているケースが多いものです。
というのも、骨盤の冷えは、これらの泌尿器系の疾患を引き起こす誘因の一つであるからです。

人間はかつて、4足歩行をしていました。その名残で、脳から遠ざかるほど血管が細くなっています。
尾骨や仙骨が支配している骨盤部分になると、血管が先細りしてくるため、どうしても血流が滞りやすいのです。

血行が悪くなれば、当然、骨盤も冷えがちとなり、結果として、泌尿器系の疾患を招きやすくなります。
とはいえ、まだ若いうちは、こうした疾患はそれほど頻繁には起こりません。

20代女性の場合、性ホルモンがたっぷりあり、膀胱などを支えている骨盤底筋もしっかりしているので、骨盤の血流が良好です。

また、腸内に善玉菌の乳酸菌がたくさんいるので、膣内にも乳酸菌がたくさん棲んでおり、免疫力が高い状態に保たれています。

乳酸菌の多い膣内にバイ菌が入ってきても、乳酸菌がバイ菌を退治してくれるので、近くの尿道を介して、そのバイ菌が膀胱へ侵入することがありませんから、膀胱炎になる可能性が低いのです。

強いバイ菌が侵入してきたときだけ、菌が膀胱に届き、炎症を起こすことがありますが、それはあくまでも例外です。
ところが、更年期を過ぎると、事情が大きく変わってきます。

性ホルモンは少なくなり、出産や運動不足によって、骨盤底筋が傷ついたり、弱くなったりしています。
骨盤底筋の筋力が低下し、加齢によって骨盤の血流が悪くなると、骨盤底筋が支えている骨盤内の臓器が、膣から落ちてしまう症状が起こることがあります。

それが、子宮脱、直腸瘤、膀胱瘤といった症状で、これらを併せて、骨盤臓器脱と呼びます。
この病気になると、膀胱が刺激を受けて、トイレが近くなり、尿がもれやすくなります。

また、加齢によって膣の乳酸菌もへっているので、膣にバイ菌が侵入すると、たちまち膀胱炎が起こってしまいます。
これが急性膀胱炎で、1日に10回以上、トイレに行きたくなるかたもいるのです。

このような場合、ほとんどの病院で処方されるのが、抗生物質です。
しかし、抗生物質はバイ菌だけではなく、大事な乳酸菌も殺してしまいます。

すると、膣内の免疫力が低下し、次にバイ菌が侵入してきたとき、より感染が起こりやすくなります。
炎症によって起こったむくみも、血流が低下しているために、なかなか治りません。

むくみが神経を圧迫して、強い痛みも生じます。しかも、乳酸菌が死んでしまうと、こうした膀胱炎がくり返されることになるのです。
これは、漢方でいうところの「瘀血けつ」で、骨盤内が冷えによってうっ血している状態です。

この状態に陥っているとき、抗生物質を服用してもよくなりません。

夜間頻尿から解放され朝まで熟睡できる!

症状を悪化させる原因の一つは、冷えにあります。
ですから、骨盤を温めて冷えを取る必要があるのです。私がお勧めしているのが、湯たんぽ療法です。

湯たんぽ療法とは、その名のとおり、湯たんぽをおなかに当てる療法です。
朝起きたときと、夜寝るときに、30分間ほど、恥骨からへその下辺りに湯たんぽをのせておくだけです。

これで骨盤を効果的に温められます。夜中に尿意を感じて目が覚めてトイレに行く人は、その後、湯たんぽをおなかに当てると、ゆっくり熟睡できるでしょう。
今では、お湯を沸かして湯たんぽを作らなくても、電子レンジでチンすれば、すぐに使えるものも市販されています。

そうした便利な湯たんぽを使うのも、一つの方法です。ちなみに、慢性膀胱炎の一つである間質性膀胱炎も、頻尿を伴う病気です。
間質性膀胱炎とは、膀胱のなかに炎症が起こる病気で、膀胱に尿がたまってくると、焼けるような激しい痛みを感じます。

そのため、尿がたまる前に排尿しようとして、トイレの回数が激増します。
また、自分の意志とは関係なく、膀胱が勝手に収縮してしまう病気である過活動膀胱でも、頻尿や夜間頻尿、尿失禁が生じます。

過活動膀胱は加齢にしたがってふえ、70歳以上では、約3割以上のかたがこの病気にかかっていると推定されています。
トイレの前に、尿をもらしてしまうケースも少なくありません。

これら頻尿や尿失禁の症状は、いずれも骨盤底筋の衰えと、冷えによる血流悪化が大きく影響しています。
つまり、これらの予防策としても、湯たんぽ療法がお勧めです。

湯たんぽ療法以外では、免疫力を上げるため、新ビオフェルミンS錠R(乳酸菌入り整腸剤)などを服用し、乳酸菌を補給することが大事です。
むくみ取りには、漢方の八味地黄丸がお勧めです。

なお、骨盤の冷えは、男性にも多いものです。男性の場合、骨盤が冷えると、前立腺炎、前立腺肥大症、男性更年期障害などが起こりやすくなります。
湯たんぽ療法は、女性に限らず、男性にも推奨できます。

※湯たんぽを使う際は、低温ヤケドにじゅうぶん注意しましょう。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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