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特に危険な腸の糖化

特に危険な腸の糖化 "腸コゲ" は老化の元凶で脳に悪影響

腸コゲが進むと、まず、腸の働きが悪くなり、栄養素の分解・吸収が正常に行われなくなります。糖化した腸管からは、アレルギーの原因物質であるアレルゲンが侵入しやすくなるため、とくに食物アレルギーが起こりやすくなります。【解説者】森田祐二(札幌アンチエイジングラボラトリー所長・同志社大学アンチエイジングリサーチセンター研究)

糖質が体内の糖化を招き炎症と機能低下を起こす

近年、病気や老化を引き起こす原因として、大きな注目を集めているのが「糖化」という現象です。
糖化とは、食事で摂取した糖質が、体内のたんぱく質と結びついて固まり、体温によって熱せられて起こる反応です。

ホットケーキを作るとき、こんがりとした褐色になるのも、糖化の一例です。
ホットケーキに含まれる「砂糖」が、卵や牛乳などの「たんぱく質」と結びつき、糖化しているのです。

活性酸素による酸化が「体のサビ」といわれるのに対して、体内で起こる糖化のことを私は「体のコゲ」と呼んでいます。
ホットケーキを想像してください。

ホットケーキのコゲは、褐色で表面が硬くなっています。
これと同じ現象が体内で起こったとき、私たちの体はいったいどうなるのでしょうか。

まず、糖化が起こった場所で、AGE(最終糖化産物)という物質が産生されます。
AGEの蓄積は、炎症を招き、組織の機能低下を引き起こします。

例えば、肌の糖化が進めば、ホットケーキのコゲと同様に、皮膚はくすんで褐色になり、硬くなって弾力を失っていきます。
肌はどんどん老いていき、シミやシワが増えます。

血管の糖化が進めば、血管壁に炎症が起こりやすくなり、動脈硬化が進行します。
それが、ひいては心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることになります。

これ以外にも、高血圧や糖尿病といった生活習慣病をはじめとして、白内障や骨粗鬆症など、さまざまな病気の誘因となります。

パスタよりもそば白米よりも玄米を選べ!

特に怖いのが、腸の糖化です。
私はこれを「腸コゲ」と呼んでいますが、腸コゲによる代表的な弊害には、次のようなものが挙げられます。

(1)栄養素の分解・吸収の悪化
(2)食物アレルギーの発生
(3)腸内細菌の悪化
(4)ビタミンB群などの合成量の低下
(5)便秘
(6)全身の臓器・器官への悪影響

腸コゲが進むと、まず、腸の働きが悪くなり、栄養素の分解・吸収が正常に行われなくなります。
糖化した腸管からは、アレルギーの原因物質であるアレルゲンが侵入しやすくなるため、とくに食物アレルギーが起こりやすくなります。

腸内も悪玉菌が多くなり、免疫機能が低下します。
腸内細菌はビタミンB群などの栄養素を産生しますが、その合成量も少なくなります。

便を送り出す腸のぜん動運動が悪化し、便秘になりやすくなるでしょう。
老廃物や有害物質を排出しにくくなり、老化を進行させます。

また、「腸脳相関」という言葉がありますが、腸と脳とは深い関連性があることがわかっています。
腸内環境の悪化は、脳にも悪影響を及ぼすとともに、全身の臓器の機能にも影響するでしょう。

このように、腸コゲは、まさに病気と老化の元凶といえるのです。
では、腸コゲを抑えるためには、どうすればいいのでしょうか。

なによりも先決なのは、糖質の摂取量を減らすことです。
糖化は、糖質が多くなるほど起こる現象なので、糖質のとり過ぎは禁物。

ご飯やパン、麺類、ケーキ、菓子類は控えめにしましょう。
急激に血糖値を上げない食品を選ぶことも必要です。

GI値は、ブドウ糖の血糖上昇率を100とした場合に、それぞれの食品による血糖値の上昇率を数値化したものです。
GI値が低い食品ほど血糖値が上がりにくいので、そうした物を選んでください。

例えば、白米よりも玄米、パスタよりもそばを選ぶといいでしょう。
低GIの代表的な野菜としては、ホウレンソウやモヤシが挙げられます。

また、AGEは食品中にも含まれるので、焼き色やコゲ色の強い物、ファストフード、加工食品のとり過ぎにも注意しましょう。
赤色が特徴的なビートやコーヒーは、AGEを処理する免疫細胞であるマクロファージの働きを助けるので、お勧めです。

ほかにも、アーモンドなどのナッツ類や、カモミールティーなどもいいでしょう。
腸からの糖質の吸収を、できるだけ遅らせるようにする工夫も必要です。

食事は、野菜から食べるようにして、ゆっくりと噛かみましょう。
私は、一口ごとに箸はしを箸置きにおくように習慣づけることを推奨しています。

そうすると、食事のスピードが自然と遅くなるからです。
1日の食事回数も重要です。

食事の回数が少なくなるほど、血糖値が急上昇し、糖化が起こりやすくなります。
その点から、食事は1日3食が最適です。

腸コゲを防ぎ、いつまでも若々しく健康な体を保つために、皆さんもできることから始めてみてはいかがでしょうか。

解説者のプロフィール

森田 祐二
東京医科大学卒業。札幌アンチエイジングラボラトリー所長・同志社大学アンチエイジングリサーチセンター研究員・医療法人社団医創会セレンクリニック東京院長。医師。
●医療法人社団医創会セレンクリニック東京
https://serenclinic.jp/

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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