MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
高血圧やめまいに【黒豆の煮汁】利用法とその効能を医師が解説

高血圧やめまいに【黒豆の煮汁】利用法とその効能を医師が解説

黒豆の煮汁が血圧に効くのは、コレステロールや中性脂肪を減らす成分や、抗酸化作用の強い成分が多く、血液をサラサラにするからです。また、尿の出をよくする作用、血管の筋肉をゆるめる成分、血管を拡張する成分も含まれており、それらの総合的な作用で、血圧が下がるのです。【解説】野崎豊(ノザキクリニック院長)

煮汁にすると効果が最も高くなる

 人は年を取ると、いろいろなところが弱ってきます。春には目がかすみ、夏になると耳にセミが鳴き、秋には歯が落ち、冬は頭に霜をいただく──。
 先人はうまいことを言ったもので、昔からこの春夏秋冬がそろうと、「老人」と言われました。そんな老人や老人になりかけた人たちに、ぜひ飲んでいただきたいのが、「黒豆の煮汁」です。
 黒豆の煮汁は、漢方ではもともと長寿の薬で、老化を予防する効果があります。
 実際に、黒豆の煮汁を飲んで、目や耳の症状が改善したり、歯が丈夫になったり、白髪が黒くなったりという例は、たくさん報告されています。

 私の患者さんにも、黒豆の煮汁を飲み続けるうちに、真っ白だった髪が黒くなった人がいました。
 黒豆といえば、丹波黒が有名です。私は丹波黒の産地、兵庫県から依頼されて、30年ほど前から黒豆の研究をするようになりました。
 その研究の中で、黒豆の健康効果は、煮汁にすると最も高くなることがわかり、黒豆の煮汁を勧めるようになりました。私の処方で黒豆の煮汁を飲んでいる人は、数万人を下らないと思います。
 黒豆は栄養の宝庫で、さまざまな栄養成分が詰まっていますが、煮ると、その7割は汁に溶け出します。黒豆の煮汁を飲めば、それらの成分を効率よく取り込めます。

 黒豆の煮汁に溶け出している成分の中で、特に注目したいのは、アントシアニンやイソフラボン、サポニンといった成分です。
 それぞれの主な効用は、以下のとおりです。

●アントシアニン
 目の網膜に作用して、緑内障やかすみ目を予防します。
●イソフラボン
 骨粗鬆症や、老人性の認知症を防ぐ効果があります。
●サポニン
 抗ウイルス作用や、脂肪の吸収を抑える抗肥満作用があります。

 そして、これらいずれの成分にも、老化を防ぐ抗酸化作用、抗ガン作用、血液をサラサラにする作用があります。
 このほかにも、糖尿病を予防するトリプシンインヒビター、記憶力向上や抜け毛予防に役立つレシチン、腸内環境を整えて免疫(病気に抵抗する働き)を強化するガラクトオリゴ糖などの有効成分も含まれています。
 最近では、黒豆の煮汁が、漢方でいう「五臓六腑」のすべてに効くことがわかってきました。つまり、全身のどの臓器にも、健康効果をもたらすのです。

黒豆の煮汁の作り方

血圧が安定しふらつきが起こりにくくなる

 黒豆の煮汁の効果は、私が勧めた患者さんだけでなく、見知らぬかたからも、「こんなによかった」と、わざわざご報告いただくことがあります。

 そういう声で多いのが、血圧の改善効果です。血圧は自分で測れるので、効果がわかりやすいのでしょう。「血圧が下がった」「薬がいらなくなった」という人が続出しているのです。
 私の妻も、200mmHg近かった最大血圧が、黒豆の煮汁を飲んで1週間もしないうちに、120mmHgくらいに下がりました(正常値は140mmHg以下)。

 また、薬を飲んでいるのに、血圧が高くなったり低くなったりして困っていた人が、黒豆の煮汁で安定するようになり、薬が不要になった例や、だんだん薬が効かなくなって薬が増えてきたという人が、薬を減らせたという例など、枚挙に暇がありません。

 そして、血圧が急に上がったり下がったりすると、ふらつきやめまいを起こすことがあります。黒豆の煮汁で血圧が安定すれば、そうした血圧の乱高下がかかわるめまいも改善に向かうでしょう。
 黒豆の煮汁が血圧に効くのは、コレステロールや中性脂肪を減らす成分や、抗酸化作用の強い成分が多く、血液をサラサラにするからです。

 また、尿の出をよくする作用のあるカリウム、血管の筋肉をゆるめるマグネシウム、血管を拡張するビタミンEなども含まれており、それらの総合的な作用で、血圧が下がるものと考えられます。
 黒豆の煮汁の作り方は、水につけておいた黒豆を弱火で煮るだけと簡単です(作り方は図参照)。漢方薬と同様に、朝起きたときや、空腹時に飲むと、吸収がよくなります。

 基本的に人肌に温めて飲みますが、糖尿病の人は、温めずに飲むほうがいいでしょう。糖尿病に効果のあるトリプシンインヒビターは、熱に弱いからです。
 煮た後の豆にも、3割の成分が残っています。大豆たんぱくはほとんど豆に残っているので、豆も食べてください。
 ただし、煮汁と違って、豆にはカロリーがありますから、糖尿病や肥満の人は、豆を食べた分、ごはんを減らすなどの注意が必要です。
 なお、黒豆の煮汁にはカリウムが多いので、腎臓の悪い人は医師と相談の上で飲んでください。大豆アレルギーのある人は、煮た後の豆を食べるのは避けたほうが無難でしょう。

解説者のプロフィール

野崎 豊
ノザキクリニック院長。日本東洋医学会代議員。専門は内科、小児科、アレルギー科。漢方薬やアロマセラピー、ハーブなどを取り入れた診療に定評があり、黒豆研究の第一人者でもある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この記事のエディター
関連記事
必ずしも4つの野菜だけで作る必要はありません。どんな野菜にもファイトケミカルが含まれていますから、そのときどきに応じて、他の野菜を加えるといいでしょう。【回答】髙橋弘(麻布医院院長・医学博士 ハーバード大学医学部元准教授)
ファイトケミカルは、植物が作り出す天然の成分で、従来から知られている5大栄養素にはない、抗酸化作用や抗がん作用、免疫の増強・調整作用があります。ファイトケミカルは野菜スープにすることによって、有効成分をムダなく摂取することがでます。【解説】高橋弘(麻布医院院長・医学博士・ハーバード大学医学部元准教)
食事療法は、内科の病気だけに有効なわけではありません。耳鳴りや難聴といった耳の症状に対しても、食事は大きな影響を与えます。ふだんの食生活を見直すだけでも、症状の緩和につながるでしょう。【監修】北西剛(きたにし耳鼻咽喉科院長)【料理・スタイリング】結城寿美江(料理研究家)
日本人は欧米と比較して食物繊維の摂取が少ない傾向にあります。加えて、その摂取量は年々減少しているのです。私は、ダイズやアズキなどの豆類や、玄米や麦・雑穀などの穀類を特に意識してとることを指導しています。【監修】岩瀬正典(白十字病院副院長・糖尿病センター・臨床研究センター長)【料理】金丸絵里加(管理栄養士・料理研究家)
私は18年前からバナナに注目して、さまざまな実験や研究を続け、病気の予防や改善に役立つ多くの健康作用があることを確認してきました。私自身、毎日バナナを食べていますが、10年ほど前からは、私のクリニックにいらっしゃる患者さんの食事療法としても、バナナを取り入れています。【解説】水谷剛(東浦和内科・外科クリニック院長)
最新記事
熱中症は7月8月の日中に最も多く見られます。熱中症は、乳幼児から高齢者まであらゆる年代で起こる病気です。なかでも高齢者は重症化する場合が多いのです。また服薬や持病のある方も熱中症にかかりやすいリスクがあるといえるでしょう。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
熱中症は私たちの日常生活の中での注意や工夫で予防することができます。たとえば、服装です。また、水分補給についても、実は「水分」だけを補給するのではいけません。そのほかに、エアコン等の空調の使い方のコツなどをご紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
手洗いの時間の目安は、おおよそ30秒。次のような手順で洗っていくと、少なくともそれくらいの時間が必要であることが実感できるでしょう。
新型コロナウイルスには、まだ特効薬やワクチンはなく、感染しないための予防法を徹底することが重要です。自分一人ひとりができる感染症対策のポイントをチェックしてみましょう。
コンブを水に漬けて冷蔵庫で10日ほど発酵させ、乳酸菌と酵母を培養する「コンブ酵母」が話題になっています。コンブ特有のにおいが軽減し、旨みが濃くなるので、そのまま飲んでも、料理に使ってもよし!食生活に取り入れる人が急増中です。コンブ酵母の作り方と、コンブ酵母の活用レシピをご紹介します!【レシピ】COBOウエダ家

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル