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【セロトニンが活性化】「断食」が心身にもたらす効果とは

【セロトニンが活性化】「断食」が心身にもたらす効果とは

心が不安定になると、病気はますます治りにくくなります。腸には、心を癒し、平常心や前向きな気持ちをもたらす神経伝達物質「セロトニン」が、多く存在します。断食で腸を休ませ、腸内環境を整えることは、セロトニンの活性を高めることにもつながります。【解説】西本真司(西本クリニック院長)

腸の難病を克服し薬をやめても再発なし

私のクリニックには、さまざまな難病のかたが多く来られます。
というのも、私自身が難病を克服したからです。

私は29歳のときに、潰瘍性大腸炎と診断されました。
これは、大腸の粘膜に炎症が生じて、腹痛や血便、激しい下痢などの症状が起こる難病です。

私もひどいときは、1日40回以上の下痢と血便に苦しみ、臨死体験をするほど危険な状態に陥ったこともありました。
しかし、試行錯誤をくり返し、7年で「完治」といえる状態まで回復できたのです。

通常は「一生薬を飲み続けなければならない」といわれているにもかかわらず、薬をやめても再発することなく、現在まで元気に過ごしています。
もちろん、再発を防ぐための取り組みは続けています。

病気を治し、遠ざける方法をいろいろ分析・実践し、体調維持に役立てているのです。
そして、効果があると判断したものは、治療の一環として患者さんにも勧めています。

その一つが「断食」です。
闘病中に、2〜3日から1週間にわたる断食療法も行いました。

クリニックでの断食セミナーのために、2010年6月から実験的に断食を開始し、2011年1月からは希望する患者さんといっしょに、3日間の断食を実践しています。

1〜2ヵ月に1回のペースで、現在までに計33回行ってきました。
断食は、潰瘍性大腸炎をはじめ、さまざまな難病の克服に役立つことを実感しています。

心を癒し前向きにする「セロトニン」が活性!

断食をすると、何がいいのか。第1に腸が休まることです。
潰瘍性大腸炎では、炎症を起こしている腸の負担を減らすことが、とても重要です。

食べ物が入ってこなければ、消化管は働かなくて済みます。
そして、消化にエネルギーを必要としない分、傷ついた箇所の修復にエネルギーが回されるのです。

また、炎症は「炎」という字が示すように、燃えることで起こる症状です。
燃料となる食物を体内に入れなければ、炎症は治まっていくでしょう。

最近は、陸の油(魚などに含まれるオメガ3系以外の油)をとりすぎると、炎症を起こしやすいことが、ある程度明らかになっています。
白砂糖など、精白されたブドウ糖が、口腔内で悪玉菌のエサになることもわかってきました。

断食をすれば、それらの摂取量が必然的に減るため、炎症が起こりにくくなるのです。
加えて、動脈硬化を予防・改善することも、病気を遠ざける重要なポイントです。

糖をとりすぎると、AGEsという糖化最終産物が増え、それが血管壁に悪影響を及ぼして、動脈硬化を引き起こすといわれています。
断食をすると、AGEsがエネルギー源として使われるため、動脈硬化の予防・改善に役立つのです。

もう一つ、病気の克服には精神面の安定も必要です。
難病の患者さんは病気を悲観し、マイナス思考に陥りやすいもの。

心が不安定になると、病気はますます治りにくくなります。
腸には、心を癒し、平常心や前向きな気持ちをもたらす神経伝達物質「セロトニン」が、多く存在します。
断食で腸を休ませ、腸内環境を整えることは、セロトニンの活性を高めることにもつながります。

私は過去に14回、断食中に自分のセロトニンのデータを測定しました。
それを見ると、断食によってセロトニンの活性が高まっていることは明らかです。

なお、セロトニンを活性化させるには、腸の状態を整えるほかに、リズム運動をすること、太陽の光を浴びることがよいといわれています。
断食と併せて、このようなことを実践している人は、心が安定し、難病を克服できます。

ただ、断食がすべての人に合うとは限りません。
断食をすると、一時的に抵抗力が下がったり、頭痛や吐き気などが起こったりするため、途中で断念せざるをえない人もいます。

特に、病気を抱えている人が3日以上の本格的な断食を行う場合は、危険を伴うので、必ず専門家の指導のもとで行ってください。
断食を行うなら、3食のうち2食を抜く「週1断食」が安全でしょう。

潰瘍性大腸炎の人であれば、寛解期(症状が落ち着いている時期)に、週1断食を行うのは、非常に意味のあることだと思います。
週1回の断食を何回かくり返すことで、腸が休まるので、炎症が鎮まったり、症状が改善したりする効果も、期待できるでしょう。

人間は、大きな病気にならないと、なかなか本気にはなれないものです。
私も食べることが大好きなので、病気になるまで、断食など考えたこともありませんでした。

おいしい物を食べたい気持ちは、よくわかります。
だからこそ、今は特に病気を持っていない人も、たまには断食をして、腸を休ませてあげてはいかがでしょうか。

そうすることで、健康な体と、食べる楽しみを持ち続けることができます。
なにより、断食後の食事のおいしさは、何物にも代えがたいものです。

また、断食することで、「食べない楽しみ」を知ることもできます。
断食中の心の静けさは、ほかでは得られません。

週1断食なら、3食のうち2食を抜くだけなので、すぐに実践できます。
ぜひ、食べる楽しみと、食べない楽しみの双方を味わってみてください

西本真司
近畿大学医学部卒業。自らの潰瘍性大腸炎の闘病体験を生かしたホリスティックな医療を実践。著書に『潰瘍性大腸炎は自分で治せる』(マキノ出版)など多数。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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