【イソバイドに似た効果】メニエール病に良い食べ物は"夜のビール"と"朝の豆乳"

【イソバイドに似た効果】メニエール病に良い食べ物は"夜のビール"と"朝の豆乳"

メニエール病のめまいや耳鳴りの症状の改善にお勧めしたい食材は、ビールと豆乳です。なぜこの食品がメニエール病の改善、再発予防によいのか。ビールは、メニエール病の治療薬・イソバイドという利尿剤と同様の効果が期待できるからです。即効性があるのも特長です。【解説】二木隆(二木・深谷耳鼻咽喉科医院・めまいクリニック理事長)


メニエール病の原因や症状、改善方法について

 メニエール病の原因については、詳しいことはまだ解明されていません。
 ただ、メニエール病の発作時には、内耳(耳の奥にある器官)に内リンパ液がたまった「内リンパ水腫」になっていることがわかっています。
 内耳には、聴覚をつかさどる「蝸牛」と、バランスや平衡感覚をつかさどる「前庭」という二つの器官があります。それを潤しているのが内リンパ液ですが、この内リンパ液が、なんらかの理由で増えて水圧が上がると、蝸牛や前庭の神経が圧迫され、その結果、聞こえが悪くなったり、耳鳴りがしたり、めまいが起こったりするのです。これを改善するには、「内リンパ液の水圧を下げればよい」ということになります。
 そこでお勧めしたいのが、ビールと豆乳です。なぜこの二つの食品がメニエール病の予防・改善によいのか、一つずつ説明しましょう。

●ビールはメニエール病の治療薬イソバイドという利尿剤と同様の効果が期待できる

 ビールを飲むとトイレが近くなることは、ビール好きなら誰でも経験済みでしょう。この利尿作用が、実はメニエール病の症状改善に役立つのです。
 メニエール病の治療薬に、イソバイドという利尿剤があります。これを飲むと、尿がよく出て水分代謝が高まり、内リンパ液の排出が促されます。利尿作用のあるビールにも、同様の効果が期待できるのです。
 私が勤務医のころ、ビールでメニエール病を治した教授がいました。その教授は、耳が詰まって聴力が落ちてくると、小瓶1本ほどのビールを飲んでいました。すると、詰まりが取れて聞こえがよくなり、めまいの発作を抑えられるのだそうです。
 そんなあるとき、北海道からメニエール病の患者さんが来院しました。片方の耳がすでにメニエール病で、もう一方の耳にもメニエール病の症状が出ているというのです。
 診察した私は、このままでは両耳とも悪くなってしまうので、どちらかの耳に手術が必要だと思いました。
 その教授に患者さんを診てもらったところ、教授は患者さんにビールを飲むように勧めました。2ヵ月後、その患者さんから手紙が届き、悪くなりかけていたほうの耳がよくなったとのこと。結局、この患者さんは手術をせずに済みました。
 ビールのよいところは、即効性があることです。利尿剤は腸から吸収されるので、効果が出るまで時間がかかりますが、ビールは胃から吸収されるので、すぐに効きます。
 ビールは、症状に合わせて、治療的にも予防的にも使えます。飲む量としては、コップ2杯くらいまでがいいでしょう。飲み過ぎには、くれぐれも気を付けてください。

●豆乳は血管を強くする効果、突発性難聴や自律神経失調症を改善する効果がある

 内耳には細い動脈がたくさんあり、この動脈の弾力が失われると、内リンパ液の排出や交換が滞り、内耳に水がたまりやすくなります。
 この細い動脈の弾力を維持する食品としてお勧めしたいのが、豆乳です。
 豆乳には、女性ホルモンに似た作用を持つ物質のイソフラボンが、豊富に含まれています。女性ホルモンは、女性の体を守る大事なホルモンで、細い血管の弾力性を増強・再生して、血流をよくする作用があります。
 したがって、イソフラボンを取ると、内耳の細い動脈の弾力が増し、内耳の血流がよくなると考えられます。その結果、内耳に内リンパ液がたまるのを防いだり、排出を促したりする作用が期待できるのです。
 また、イソフラボンが突発性難聴の改善に効果があるという報告もあります。ある耳鼻咽喉科の医師が、慢性的な突発性難聴の患者26人に、大豆由来のイソフラボンのサプリメントを3ヵ月間飲んでもらいました。
 その結果、聴力は50%(26人中13人)、耳鳴りは84.2%(19人中16人)、めまいは100%(13人中13人)という高い改善率が得られたのです。
 この突発性難聴への効果も、細い動脈の弾力が増して、内耳の血流がよくなったためではないかと推測されます。
 めまいや耳鳴りのバックグラウンドには、しばしば自律神経失調症(内臓や血管の働きを調整する神経の不調によって起こる症状)があります。「シェロンテスト」という自律神経の安定度を調べる検査をすると、めまいのある女性の約7割に、自律神経失調症が認められます。
 自律神経が乱れて、全身の活動力を高める交感神経が過緊張になると、細い動脈がけいれんしやすくなり、内耳の血流を妨げます。それが、めまいや耳鳴りを引き起こすのです。
 女性ホルモンが急激に減少する更年期は、メニエール病の発症率も高くなる傾向があります。ですから、女性は特にイソフラボンの補給が必要です。
 イソフラボンは大豆製品に含まれていますが、豆乳なら飲むだけですから、毎日の習慣に取り入れやすいでしょう。
 朝コップ1杯の豆乳と、夜の適度なビール。耳鳴りやめまいのある人に、この習慣は役立つと思います。

二木 隆
1965年、京都大学医学部卒業。インターン終了後、京都大学医学部耳鼻咽喉科に入局。75年にメニエール病の研究で医学博士号を取得。現在、二木・深谷耳鼻咽喉科医院・めまいクリニック理事
長。日本めまい平衡医学会顧問。『めまい専門医が教えるめまいをスッキリ消す本』(PHP出版)などめまいに関する著書も多い。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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