【漢方薬剤師が解説】「黒ごま酒」の効能と作り方―めまいを改善し、肌や髪の老化を防ぐ

【漢方薬剤師が解説】「黒ごま酒」の効能と作り方―めまいを改善し、肌や髪の老化を防ぐ

漢方では、めまいを「眩暈」と言います。眩は目の前が暗くなること、暈は体がゆらゆら揺れるさまを示します。【解説】井上正文(前橋・小暮医院・漢方相談室)


1500年前から愛飲された薬酒

 漢方では、めまいを「眩暈」と言います。眩は目の前が暗くなること、暈は体がゆらゆら揺れるさまを示します。
 めまいの原因は完全には解明されていないようですが、漢方では、大きく分けて次のように考えられています。

①体内に水のよどみが生じたときに起こるめまい。人体を構成している五臓(肝・心・脾・肺・腎)の脾の働きが低下し、頭の中に栄養が十分回らないのが原因で、しばしば吐き気を伴います。

②五臟のうち、肝と腎の力が足りなくなって起こるめまい。足腰の力が弱って、体がフワフワ、ゆらゆらします。

③人間の生命活動を支えている気(一種の生命エネルギー)・血(血液)・水(血液を除く水分)のうち、気・血が不足して起こるめまい。疲れて立ちくらみを起こしたり、体に力が入らなくなったりします。

 この中で、②と③のめまいによく効くのが、黒ゴマ酒です。
 ゴマの中で、漢方の煎じ薬に使われるのは黒ゴマだけです。この黒ゴマを使った黒ゴマ酒は、1500年前の中国の医薬書にすでに記載されています。
 黒ゴマのように黒いものは、腎に入り、腎の力を強める作用があるのです。
 腎は、解剖学でいう腎臓の働きだけでなく、ホルモンバランスや免疫機能(病気に対抗するしくみ)など、生命活動の根幹をなす働きを持っています。この腎が弱ると、生命力が低下して足腰が弱ってきます。そういう足腰の弱まりに伴うめまいに、効果があるのです。
 また、黒ゴマの作用として、血を補う働きがあります。漢方では、血を蓄えているところは肝です。黒ゴマは肝の血を増やし、肝を強化するのです。
 このように、黒ゴマは肝と腎を補い、血を増やす作用があるため、②や③のめまいに効くのです。
 それを補強するのが酒です。酒は「薬を運ぶ船」と、漢方ではとらえられています。船が大事なものを乗せて運河を移動していくように、酒には気を動かす作用があるのです。
 私の漢方相談室のある地域は農村地帯で、夏はどこの家も草取りに追われます。その中には、家の周りも畑もなめしたようにきれいに草を刈る人がいます。
 そういった、きちょうめんな人に多いのが、②や③のめまいです。

 Kさん(68歳・女性)も、そんな一人でした。畑仕事が忙し過ぎることが原因で、めまいが起こるようになりましたが、耳鼻咽喉科の検査でも脳の検査でも異常は見つからず、「漢方で治せないか」と相談に来られました。
 舌を見ると、赤みが強く表面が乾き、肝と腎が低下しているのがわかりました。そこで、Kさんに合った漢方薬を処方するとともに、自宅で黒ゴマ酒を作って飲むように勧めました。
 3ヵ月ほど黒ゴマ酒を飲み続けたころ、Kさんのめまいは消え、シワの深かった肌がふっくらし、髪もツヤツヤになってきました。近所の人から「元気になったね」と、よく声を掛けられるようになったそうです。
 黒ゴマ酒で肝や腎が強化され、気血が足りるようになると、めまいが治まるだけでなく、元気が出て髪や肌も若返ってくるのです。

黒ゴマ酒の作り方

 黒ゴマ酒は、次のように作ります。

❶黒ゴマをフライパンに入れ、焦げつかないようにヘラでかき混ぜながら強火で炒る。香ばしい香りがしてきたら火を止め、冷めるまでよくかき混ぜる。

❷ゴマが完全に冷めたら、耐熱性の広口瓶に移して、35度の焼酎1Lを注ぐ。

❸広口瓶を、ふたをせずに鍋に入れ、瓶が半分ぐらいひたる量の水を鍋に注ぐ。鍋を火にかけ、沸騰したら火を止め、そのまま自然に冷ます。

❹冷暗所で一晩寝かせれば、翌日から飲める。黒ゴマ酒はそのまま冷暗所で保存する。
 黒ゴマ酒は、さかずき1〜2杯分の上澄みをコップに入れ、ぬるま湯で10倍に薄めて飲みます。好みでハチミツなどの甘味を加えても構いません。

 黒ゴマ酒は1日2回飲むといいでしょう。アルコールが含まれているので、車の運転前は飲まないでください。お酒に弱い人、お酒が飲めない人は、飲む前に黒ゴマ酒を十分湯せんし、アルコールをよく飛ばします。
 黒ゴマ酒の底に残った黒ゴマにも、カルシウムや食物繊維などの栄養分が含まれています。取り出してよく絞り、みそ汁やラーメンなどに入れて食べれば、余すところなく黒ゴマの食効を堪能できます。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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