骨盤内の血流がよくなり子宮内膜症が改善!
人間の体は、非常に不思議なものです。
体の各部位はそれぞれ独立して機能しているように見えて、実は互いに影響し合っているのです。
健康プロデューサーの杉本錬堂氏は、このような体の関連を解き明かし、独自のメソッド(天城流湯治法)を確立して、多大な成果を上げておられます。
私はそのメソッドを学び、患者さんの治療に取り入れています。
そのうちの一つが、「わきもみ」です。
私の専門は産婦人科ですが、治療では足・骨盤・あごの3ヵ所を整えることを重要視しています。
この3ヵ所は体を支える土台。
どれか一つでも狂うと、すべてのバランスがくずれるからです。
足やあごにズレが生じると、骨盤にもゆがみが出て、その中にある子宮や卵巣にまで悪影響が及びます。
わきもみを行うと、不思議なことに、ふくらはぎの外側の緊張が緩みます。
ふくらはぎの外側の筋肉が緊張するということは、歩くときに小指(第5趾)が使えていないということです。
小指が変形して内側に入ると、薬指(第4趾)のつけ根にある生殖器の経絡(生命エネルギーの一種である気の通り道)を圧迫します。
そのため、指を使って歩けていない人は、排卵力が弱まり、妊娠しにくくなるといった弊害が起こってきます。
わきもみでふくらはぎの緊張が緩めば、体の土台の一つである足を整えることに役立ちます。
さらには不妊症の改善にもつながっていくでしょう。
杉本氏によると、ふくらはぎは子宮と関連しているので、わきもみでふくらはぎの緊張を緩めることは、子宮の不調全般に好影響があると考えられます。
実際、子宮が冷えている人は、ふくらはぎの血流やリンパ液の流れが悪くなっています。
ふくらはぎの筋肉が緊張していると、足先へ流れた血液が停滞し、その結果、骨盤内の環境が悪くなるのです。
逆に、ふくらはぎの血流がよくなれば、骨盤内の血流もよくなり、子宮筋腫、子宮内膜症などの改善も期待できます。
食いしばりがなくなって心身の病気に効く!
わきをもむと、あごもほぐれます。
血液循環がよくなって、首からあごにかけての緊張が緩むのです。
あごの緊張が緩むと、夜間の食いしばりも改善します。
食いしばりは、歯の欠損や睡眠の質の低下を招くだけでなく、体に多くの悪影響を及ぼします。
噛み合わせが悪い状態で食いしばっていると、頸椎(背骨の首の部分)に影響が出て、体のバランスがくずれます。
口の中の空気の含有量が減るため酸素不足となり、それが内臓の不調にもつながります。
脳への信号もうまく伝わらなくなるため、痛みを感じるセンサーに異常が生じたりもします。
アメリカでは、線維筋痛症(全身や広範囲に激しい痛みが生じる疾患)の患者さんに、食いしばりなどのかみ合わせ障害の人が多いこともわかっています。
本来、就寝時は自律神経のうちの休息時に優位になる副交感神経が働き、疲れた体をリセットしてくれます。
ところが、就寝時に食いしばっていると、緊張時に優位になる交感神経が働き続け、自律神経のバランスが乱れます。
そうなると、心身ともに十分な休息が取れなくなり、精神面やホルモンバランスの異常などが起こります。
ですから、わきをもんであごの緊張を緩めることは、食いしばりの改善につながり、精神疾患、内臓疾患、ホルモンが関係する疾患といった、あらゆる不調の予防・改善に役立つのです。
最後に、私の患者さんで、わきもみを行って子宮筋腫が改善した例をご紹介しましょう。
Aさん(38歳・女性)は、私のところへ来られたとき、子宮に約4cm大の筋腫がありました。
そこで、Aさんには漢方薬や骨盤調整に加えて、わきもみを毎日行ってもらいました。
すると、8ヵ月くらい経ったころ、急に生理のような出血があったそうです。
検査をしてみると、筋腫がなくなっていました。
おそらく、筋腫が瘀血(滞った血液)として排出されたのだと思います。
わきは自分で無理なくケアできる場所なので、皆さんもぜひわきもみをお試しください。

佐々木綾
産婦人科医
特に、ホルモンバランスの乱れから起こる更年期障害には、即効性があります。
激しい冷えやのぼせ、めまい、イライラなども、わきもみを行うことで軽快します。
杉本氏によると、あごは鼠蹊部とも関連しているので、あごの緊張が取れれば、生殖器の分泌物の流れもよくなります。
粘膜の乾燥が防げると、カンジダ症などの感染症の予防にもつながるでしょう。