ひきわり納豆にアマニ油を加える
私が医師として持ち続けてきたテーマは、真の意味でのアンチエイジングです。
外見だけでなく、内臓や血液、腸内細菌に至るまで良好な状態であることが、病気や老化を予防すると考えています。
そのための手段・方法を画策する過程で出会ったのが、分子栄養学です。
分子栄養学とは、状況に応じて必要な栄養素をとり入れることで、病気を予防したり、健康を増進したりする考え方です。
分子栄養学を学ぶことで、私自身の食生活も大きく変わりました。
食生活の基本は、腸内環境を整えることです。良質な食品やサプリメントをとっても、腸が不健康で、吸収する力がなければ意味がありません。
また、腸内の善玉菌が減って悪玉菌が増殖すると、腸の動きが低下して便秘になったり、毒素が生成されて病気の原因になったりします。
ですから、腸を傷つけるグルテン(小麦に含まれるたんぱく質)や、カゼイン(乳製品に含まれるたんぱく質)を控え、腸内の善玉菌を増やす食材を積極的にとるように心がけています。
その条件を満たし、食卓によく登場するのが、特製の「酢納豆」です。
酢としょうゆ、アマニ油を混ぜた特製ドレッシングを納豆にかけ、混ぜた物です。
ふだん、仕事上の会食が多いので、家での食事はできるだけ野菜中心にしています。
また、糖質の多い白米や、グルテンを含むパンや麺類は控えます。
そのうえで、満腹感と満足感を得られる食事として、酢納豆はとても重宝します。
ある日の夕食をご紹介しましょう。
しらたきと、せん切りキャベツを麺に見立て、お皿に盛りつけます。
その上に、キムチと酢納豆をのせ、よく混ぜていただきます。
ここにコチュジャンをプラスすることもあります。
かみごたえがあって、満腹感が得られるので、夕食にはピッタリです。
ほかにも、酢納豆を豆腐にかけたり、ノリやレタスで包んだり、いろいろな楽しみ方をしています。
ちなみに私は、ひきわり納豆を使っています。
粒納豆に比べ、血液をサラサラにするナットウキナーゼや、骨を強くするビタミンKが多く含まれているからです。
トライアスロンの記録が伸びて世界選手権に出場
酢納豆や野菜中心の夕食が、「ちょっと物足りないな」と感じることもあります。
そんなときのために、手軽につまめる物を、発酵食品を中心として、いくつか常備しています。
まずは、手作りのピクルスです。
業務用の大瓶の穀物酢を買ってきて、大量にピクルスを漬けています。
穀物酢に、マヌカハニーやココナッツシュガーなどで甘みをつけ、野菜を漬け込むだけです。
このときの甘みも、白砂糖は使いません。
和風のピクルスも作ります。
この場合は、穀物酢にしょうゆとみりんを合わせた液に、野菜を漬けます。
漬け込む野菜はお好みでいいのですが、デトックス効果のあるタマネギは毎日食べるので欠かせません。
そのほか、ニンジンやダイコン、キュウリなどは、一年中手に入るので、常に漬けています。
夏になると、新ショウガやミョウガ、ナス、オクラなどを漬け、季節感を味わいます。
野菜の酢漬けなら、夜遅くに少しつまんでも、罪悪感を覚えずに済みます。
ほかにも、「甘い物が食べたい」と思ったときのために、豆乳と乳酸菌で作ったヨーグルトや、甘酒を一口大に凍らせたシャーベットなどを常備しています。これらも発酵食品です。
私はもともと、腸内環境が良好ではありませんでしたが、こうした食生活のおかげで、今は非常によい状態です。
乾燥など、肌のトラブルもありません。
余談ながら、私の趣味はトライアスロンで、多忙な仕事の合間を縫って、早朝や夜間にトレーニングをしています。
でも、疲れが残ることはありません。記録も伸びて、9月には世界選手権に出場する予定です。
今後も、酢納豆など、栄養価が高く腸に優しい食材を活用し、体調を整えていきます。
黒田 愛美
クリントエグゼクリニック医師。美容皮膚科、アンチエイジング内科医。トライアスリート。獨協医科大学医学部卒業。大手美容外科、スキンクリニック院長を経て、現職。
●クリントエグゼクリニック
http://www.clintexe.org