糖尿病の人は足の内側がこりかたまっている!
私が所長を務める「坂本均整施術所」には、糖尿病で悩む患者さんも、多くいらっしゃいます。
そうした患者さんに施術をしていると、特定の箇所に反応が現れることがあります。
その箇所とは、右足裏の内側です。
足の親指(母趾)の裏側辺りから、土踏まずの側面にかけて、非常にかたくなっている人が多いのです。
押すと強い痛みを感じるかたも少なくありません。
そこで、患者さんには、右足のその部分を、自宅でももんでもらうように勧めています。
それが、「足の親指ほぐし」です。
このセルフケアを毎日続けると、血糖値が下がりやすくなります。
では、そのやり方を説明しましょう(下図参照)。
刺激するのは、右足だけです。
目安となるツボは、「太白」と「公孫」という、二つのツボです。
太白は、足の内側の真横の面にあり、足の親指のつけ根にあるふくらみの後ろに位置します。
そこにあるくぼみが、太白です。
公孫は、太白の指1本分、くるぶしのほうに進んだところにあります。
イスに座ったら、右足をイスか、左の太ももにのせてください。
床にあぐらをかいた状態でもかまいません。
太白と公孫を結んだ右足の側面のラインを押していきます。
ライン上に手の親指を置き、押し込んで指圧します。
指をずらしながら、そのライン上を押していきましょう。
刺激の強さは、「痛気持ちいい」と感じる程度です。
10~15秒押すのを、数回くり返しましょう。
特に痛みを感じるところがあったら、重点的に押すようにしてください。
冒頭で触れたとおり、糖尿病の人は、この部分がかなりかたくなっていることが多いのです。
もんでいるうちに、かたさがほぐれるので、やわらかくなるのを目指しましょう。
足の親指ほぐしは、1日に何回行ってもかまいません。
テレビを見ながらでもできますから、時間を見つけて、くり返し行いましょう。
足の親指ほぐしのやり方

右足だけの刺激で消化器系の働きを高める
では、なぜ、この刺激が、血糖値を下げるのに役立つのでしょうか。
東洋医学では、体中を巡っている生命エネルギーを「気」と呼び、その気の通り道を「経絡」と呼んでいます。
私たちの体の中には、十数本の経絡が巡っています。
ある経絡の気の流れが滞ることで、その経絡に関連する臓器などに不調が出ます。
そこで、経絡を刺激し、気の流れをよくすると、臓器などの不調が改善されるのです。
太白と公孫のツボが属しているのは、脾経という経絡です。
東洋医学でいう「脾」とは、西洋医学のいわゆる脾臓とは異なります。
脾は、胃といっしょになって働き、飲食物の消化や吸収をつかさどり、「後天の精」を作り出すとされています。
後天の精とは、「先天の精」と対になった言葉です。
先天の精とは、両親から受け継いだ、生命エネルギーの源。
その受け継いだ精は、生きているうちに消費されていくため、加齢とともに減っていきます。
それを補うのが、後天の精というわけです。
脾は、口腔、食道、胃、膵臓、小腸、大腸といった消化器全般の働きを促すことで、生命エネルギーを補完すると考えられます。
つまり、脾経を刺激することで、消化器全般の働きを高めることができ、インスリンの分泌をつかさどる膵臓の働きも、改善しやすくなるわけです。
なお、右足だけを刺激するのは、均整術独特の考え方です。
均整術では、体のバランスを整えることを重視します。
そして、体全体のバランスを取るために、あえて体の片側だけを刺激するという方法を、しばしば用います。
そうした刺激法がより効果的であることが、長年の施術データの蓄積からわかっているため、右足に限定しています。
ですから今回も、効果を上げようとして、両足を刺激する必要は全くありません。
刺激は右足だけに留めてほしいのです。
足の親指ほぐしは、糖尿病の症状が軽症、中等度の人なら、継続して行うことで、効果が期待できます。
血糖値が気になるかたは、毎日根気強く行ってみてください。
解説者のプロフィール

坂本実穂
坂本均整施術所所長
●坂本均整施術所
http://www.sakamoto-body.co.jp