酢とニンジンの複合的な作用が目に効く!
酢とニンジンには、いずれにも幅広い薬効があります。
ニンジンを酢漬けにすることで両方の効果を相乗させ、しかも無理なく手軽にとることができます。
それが、今回ご紹介する「酢ニンジン」です。
酢ニンジンは、さまざまな症状の改善が望めますが、なかでも目のトラブルには特効です。
ニンジンの、目に対する効能は、昔から知られていました。
栄養学的には、豊富に含まれるβカロテンがその根拠です。
βカロテンは、体内に入るとビタミンAに変わります。
ビタミンAは、別名「目のビタミン」。
目に潤いを与え、よく見えるようにする働きがあるのです。
不足すると、ドライアイや眼精疲労、かすみ目、夜盲症などの原因になることがわかっています。
実は、ビタミンAは網膜(目の水晶体から入った光が映像を結ぶ膜)を構成する成分でもあります。
ビタミンAの摂取は、網膜を正常に保つのに役立つため、先に述べたような目の症状に効果があるのは、当然といえるのです。
βカロテンの高い抗酸化作用も、目の健康維持に効果を発揮します。
抗酸化作用というのは、酸化を抑える働きです。
体内に発生した活性酸素は、強い酸化力を持つため、過剰に発生すると、老化や病気の原因となります。
体内の酸化を防ぐことは、この活性酸素から細胞を守り、老化や病気を防ぐことにつながります。
抗酸化作用の高いβカロテンを積極的に摂取すれば、全身の血管の若返りに役立ちます。
目の毛細血管の血流も改善されるので、組織の隅々まで、十分に酸素と栄養が行き渡ります。
ちなみに、ニンジンにはカリウムや食物繊維など、むくみを取り老廃物の排出を促す成分も含まれています。
これも血液循環をよくする一助になるでしょう。
また、酢も血流を促進することが、研究によりわかっています。
これらの複合的な作用により、酢ニンジンには、目のトラブルを改善する効果が大いに期待できます。
加齢による代表的な目の症状に老眼や白内障がありますが、これらの改善にも、酢ニンジンは有効です。
老眼は、毛様体という目の筋肉の衰えが原因で起こります。
毛様体は、目の中でレンズの役割をする水晶体の厚みを調整していますが、毛様体が衰えると、そのピント合わせがうまくいかなくなるのです。
ニンジンのβカロテンには、この毛様体の弾力性を回復させる効果があります。
また、白内障は、加齢などが原因で水晶体が白濁し、視力が低下する病気です。
進行すれば手術を余儀なくされますが、初期の段階なら、網膜の血流をよくして、水晶体の酸化を抑えることで回復も可能です。
酢ニンジンは抗酸化作用があり血流を促すので、白内障を改善するのにも効果的でしょう。

ぜんそくや手足の冷え頻尿にも効く万病薬
東洋医学では、血流の滞りが改善すると、「肝」の状態がよくなります。
ここでいう肝とは概念上のものです。
臓器としての肝臓だけでなく、目の機能や、筋肉、血液循環の調節機能などが含まれています。
つまり、東洋医学では、目と肝は密接にかかわっています。
そして、酢とニンジンが血流を改善し、肝に働きかけることは、漢方の専門書により古くから伝えられてきました。
現代の栄養学的な観点と同様の効能が、何千年も前から、経験的に認められてきたのです。
中国でいう酢は、主に黒酢を指します。
酢は全身に作用して血流を促しますが、特に効果が示されるのが、肝臓と胃です。
酢は肝臓の状態をよくして、解毒能力を高めます。
また、黄疸(肝障害により肌が黄色くなる症状)の改善にも効果があります。
また、胃腸の消化を助け、機能を正常にします。
そのほか、頭痛や生理痛、イライラ、ヒステリーなどを鎮静・緩和する作用があります。
一方でニンジンも、血流促進に加え、胃の消化・吸収を助けるのに有効です。
さらに、目をよくする、免疫機能を高めて病気への抵抗力をつけるなど、多くの効果があるとされています。
東洋医学では、まず胃腸を健やかにすることが、すべての治療の基本です。
その意味で、ニンジンは万病の薬として、ぜんそくや手足の冷え、頻尿、精力低下の改善薬としても実際に使われてきたのです。
酢にニンジンを組み合わせた酢ニンジンの利点は、これらの効能が相乗するだけではありません。
酢の作用で、体内でのニンジンの栄養の吸収がよくなるのです。
酢ニンジンは、そうした点でも、理にかなった食べ方といえます。
そして、酢ニンジンは、ダイエット食としても最適です。
酢もニンジンも胃腸の機能を改善し、消化を助けてくれるので、脂肪の分解や排出が促されるからです。
水太りよりは、脂肪過多で固太り体質の人に向いています。
つい暴飲暴食しがちなタイプでも、酢ニンジンを常食していれば、食欲を鎮め、自制心を働かせることができます。
この点でも、肥満の抑制に役立ちます。
このように、古今東西で認められた多彩な健康効果が、凝縮された酢ニンジン。
食べ物ですから、1日にとる量にきまりはなく、50gでも100gでもかまいません。
少量ずつでも継続して食べることで、きっと体の変化を実感できるでしょう。