体に大切な酵素を100種類以上持つ!
講演会などで、私が「砂糖は百害あって一利なし」というと、「どうしても甘い物が欲しいときはどうすればよいですか?」と質問されることがあります。
そのときは、即座に「甘酒!」と答えています。
米こうじから作る生甘酒は、「飲む点滴」といわれるほど栄養価の高い食品です(作り方は別記事参照)。
甘い物や糖類は、健康によくない一面がありますが、生甘酒はそれを補うに余りある栄養の宝庫なのです。
❶酵素を100種類以上含む
酵素は、栄養素の分解・合成・解毒・代謝など、体内で起こる化学反応に必須です。
なくなると寿命が尽きるといわれるほど大切なものです。
生甘酒の材料となるこうじ菌は、100種類以上の酵素を持つといわれています。
代表例として、糖質をブドウ糖に分解するアミラーゼ、たんぱく質をアミノ酸に分解するプロテアーゼ、脂質を脂肪酸に分解するリパーゼ、食物繊維をオリゴ糖に分解するセルラーゼなどがあります。
生甘酒は、まさに天然素材の酵素ドリンクです。
❷ビタミンB群が豊富
酵素の働きを助けるのが、ビタミンB群(補酵素)です。
B群は、エネルギーの産生を促し、疲労回復、健康な肌・髪づくりにも欠かせません。
現代人は、このビタミンB群が不足しがちですが、生甘酒にはビタミンB1・B2・B3、ナイアシン、葉酸など、ビタミンB群が豊富に含まれています。
❸全必須アミノ酸を含む
人間の筋肉や血管の細胞は、20種類のアミノ酸で構成されています。
そのうち人が自分で合成できず、食品からとる必要のある9種類を、必須アミノ酸といいます。
生甘酒には、この9種類が全部含まれています。
しかも、天然食品のなかで最も多く入っています。

免疫増強、脳の活性化 老化防止も期待できる!
❹オリゴ糖、食物繊維(不溶性、水溶性とも)を含む
人の健康にとって最も重要なのが、腸および腸内細菌の状態をよくすることです。
そのためには、腸内細菌が最も多くせい息する大腸まで、十分な栄養を届ける必要があります。腸内細菌が利用できる栄養は、糖質です。
たんぱく質や脂質ではありません。
そして、糖質のなかでも大腸まで届くのは、多糖類(でんぷん)、オリゴ糖、水溶性食物繊維の三つです。
生甘酒には、これらの成分がすべて含まれており、腸および腸内細菌を整える働きがとても強いのです。
❺ミネラル類が豊富
ミネラルは、骨や歯、血管の形成、神経伝達、体内のイオン調節などに必要な微量成分です。
生甘酒には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガンなどのミネラルが、まんべんなく入っています。
❻その他の栄養成分も豊富
生甘酒には、①〜⑤以外にも、さまざまな作用を持つ栄養成分が含まれています。
例えば、美白作用のあるコウジ酸、疲労回復作用のあるリンゴ酸、グラム陽性菌(腸内悪玉菌や黄色ブドウ球菌など)の阻止効果のあるアスペルギリン酸やゲオダイン、ウイルス感染を防ぐオリザシスタチンなどが代表です。
以上により、生甘酒には健康によい数々の効果があります。
有名なところでは、美肌、美白、保湿、美髪、ダイエット、疲労回復、滋養強壮、夏バテ防止などです。
しかし、私が最も重要ととらえるのが、腸および腸内細菌の環境を整える効果が強いことです。
それにより、便秘・下痢の解消、免疫の増強、脳の活性化、リラックス効果、あらゆる現代病の予防(アレルギー性疾患、自己免疫疾患、ガン、高血圧、糖尿病、うつなど)、老化防止などが期待されます。
ただし、生甘酒には多くの糖類(ブドウ糖)が含まれています。
血糖値を上げる作用が強いので、一度に大量に飲むのはよくありません。
大人で1日200mL程度までとし、数回に分けて飲むのがよいといわれています。
砂糖のかわりに、料理やお菓子作りに使うのもいいでしょう。
我が家では、自家製豆乳ヨーグルト(作り方は下記参照)に混ぜて「甘酒豆乳ヨーグルト」としてよく飲んでいます。
この1杯は、感動のおいしさです。


本間真二郎
1969年生まれ。札幌医科大学医学部卒業後、同大附属病院、旭川赤十字病院などに勤務。2001年より米国・国立衛生研究所にてウイルス学・ワクチン学の研究に携わる。帰国後、札幌医科大学新生児集中治療室室長に就任。08年、七合診療所所長になり、地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践。著書に『病気にならない暮らし事典』(セブン&アイ出版)。