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【白澤卓二教授】免疫力を高め肥満を防ぐ 魔法の調味料「塩麹」

【白澤卓二教授】免疫力を高め肥満を防ぐ 魔法の調味料「塩麹」

日本には、伝統的な発酵食品が数多くあります。みそ、しょうゆ、酢、みりん、漬物、納豆、日本酒……。いずれも毎日の食事に欠かせないもので、日本の食文化は、こうした発酵食品に支えられていると言っても過言ではありません。【解説】白澤卓二(順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授)

代謝を高めて腸内環境も改善

 日本には、伝統的な発酵食品が数多くあります。みそ、しょうゆ、酢、みりん、漬物、納豆、日本酒……。いずれも毎日の食事に欠かせないもので、日本の食文化は、こうした発酵食品に支えられていると言っても過言ではありません。

 その中で、非常に大きな役目を果たしているのが「麹」です。麹は、蒸した米や麦、大豆などに麹菌を繁殖させたものです。麹がなければ、しょうゆもみそもみりんも酢も作れません。まさに「日本の発酵食品の母」ともいえる存在なのです。
 この麹のよさをダイレクトに活用できるのが「塩麹」です。塩麹は、麹に塩と水を加えて発酵させたもの。そのまま調味料として料理に使うと、さまざまなメリットが得られます。

①料理がおいしくなる
 塩麹には、アミラーゼやプロテアーゼなどの消化酵素が含まれています。これらが、食品のでんぷんやたんぱく質を分解して、甘味やうま味を醸し出し、食べ物をおいしくしてくれます。

②消化吸収がよくなる
 塩麹の消化酵素によって、食品の細胞がある程度分解されるので、消化吸収がよくなり、胃腸への負担が軽くなります。

③肥満予防や免疫力アップに役立つ
 塩麹には、ビオチン(ビタミンB7)を始めとするビタミンB群が豊富です。ビタミンB群は、糖質や脂質の代謝を高めてエネルギーの供給を円滑にし、脂肪や老廃物を排出する作用があるので、疲労の回復を早めたり、肥満を予防したりする効果が期待できます。また、でんぷんが分解されてできるオリゴ糖は、腸で乳酸菌のエサになり、乳酸菌を増やします。
 さらに、レジスタントプロテインという、消化されないたんぱく質も作られます。これは食物繊維と同じように、腸内で脂肪を捉えて排出するため、悪玉コレステロールを減らすことができます。
 このレジスタントプロテインやオリゴ糖の働きによって、腸内環境がよくなると、免疫力(病気に対する抵抗力)が高まり、さまざまな病気を予防できます。

④食品の保存性が高まる
 発酵は、腐敗と原理が同じで、菌が食品の栄養をエサにして繁殖します。その発酵の過程で、有害な腐敗菌の繁殖が抑えられ、腐敗しにくくなるのです。

老化を促進する物質を排除

 このように、塩麹には有用な働きがたくさんあります。加えて、私が塩麹に特に期待しているのが「減塩」です。塩麹を食卓塩の代わりに使えば、簡単に塩分の摂取量を減らせます。

 塩分の取り過ぎが、生活習慣病の大きな原因であることは、誰もが知るところで、高血圧や胃ガン、脳血管障害の発症に、塩分が深く関与しています。しかし、いくら減塩キャンペーンをしても実効性に乏しく、減塩は生活習慣病をコントロールする上での大きな課題でした。
 そこで、食卓塩の代わりに塩麹を使うのです。塩麹には麹が入っているので、その分、体内に取り込まれる塩分量が少なくなります。また、麹によってうま味が増すので、少ない塩味でもおいしく感じられます。

 それだけではありません。食卓塩を塩麹に置き換えることで、食卓塩を台所から駆逐できます。食卓塩のように精製された塩は、99%以上が塩化ナトリウムです。これが悪者で、生活習慣病のリスクを高めます。
 塩麹は、天然塩よりもさらに天然バランスのよい食品です。麹菌という生きたカビ菌が、絶妙なバランスで、天然の体によい物質を生み出します。それが、実はアンチエイジングにもつながるのです。

 私は抗老化・健康長寿という観点から食の研究を進めていますが、抗老化を阻む大きな原因が、人工的な食品です。精製された塩や砂糖、合成保存料、防腐剤、化学調味料、各種添加剤……。こうした人工的な食品が体内に入ると、体が酸化され、老化が進みます。その中でも、特に悪さをするのが、食卓塩と白砂糖です。

江戸時代から使われる発酵食品

 調味料は、一度に使う量は少なくても、毎日三度の食事で使うので、累積するとその影響は計り知れません。それを台所から排除するだけでも、かなりアンチエイジングを推進できるのです。
 そのときに大きな役目を果たすのが、塩麹のような発酵食品です。塩麹を使うと、減塩になるだけでなく、防腐剤や保存料、化学調味料なども減らせます。先に書いたように、発酵によって保存性が高くなり、うま味や甘味が増すからです。

 塩麹は、江戸時代にはすでに、塩の代わりに使われていました。化学調味料も冷蔵庫もなかった時代は、こうした発酵食品を使って食品を保存したり、栄養価を高めたりして、病気を防いでいたのです。
 現代に生きる私たちは、江戸時代の生活に戻ることはできませんが、その知恵を生かすことはできます。ぜひ皆さんも賢い選択をして、台所からアンチエイジングを実践してください。

解説者のプロフィール

白澤卓二
順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。日本抗加齢医学学会理事。専門は、寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。『白澤卓二教授の100歳までボケない!太らない!朝のジュース&スープ』(マキノ出版)など、著書多数。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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