【慢性腎臓病(CKD)】食べていいもの・悪いもの カリウム制限とタンパク制限

【慢性腎臓病(CKD)】食べていいもの・悪いもの カリウム制限とタンパク制限

慢性腎臓病(CKD)を悪化させないためには、尿毒素をためないこと、そして炎症を抑えることがカギとなります。そのために心がけることとして、食事で腸内環境を整えることがとても重要です。腸が喜ぶ食生活が腎臓にもいかによいか、おわかりいただけると思います。【解説】内山葉子(葉子クリニック院長)


たんぱく質は量より質を見直すことが大事

慢性腎臓病(CKD)を悪化させないためには、尿毒素をためないこと、そして炎症を抑えることがカギとなります。
そのために心がけることとして、食事で腸内環境を整えることがとても重要です。

尿毒素は腸内細菌によって作られます。
その原料となるのはたんぱく質です。

一般的に、腎臓病の食事療法では、たんぱく制限が重要視されます。
しかし私は、たんぱく質の量より質を見直すことが大事だと考えています。

例えば、
①ハム・ウィンナー・ベーコンなどの加工肉②良質なエサを食べて育った牛肉や近海で捕れた魚③豆腐や納豆など植物性の食品、では同じ量のたんぱく質をとったとしても、質が全く異なります。

腸内環境を悪くして尿毒素を増やすのは圧倒的に①。
そして、②の動物性より③の植物性のほうが、腸への負担は少なくなります。

また、腎機能が衰えると、尿から排泄されるべきリンが排泄されず、血中濃度が上がります。
リンの濃度が上がると、動脈硬化を招いたり、骨の形成に支障を来したりします。

リンを調整する腎臓の負担を減らすためにも、リンのとり過ぎには注意しなければなりません。
リンを多く含むのも、たんぱく質です。

これも、動物性より植物性のほうが排泄されやすいということが、研究でわかっています。
なお、リンは市販の弁当や加工食品などにも入っているので、注意が必要です。

「pH調整剤」と表示されている食品添加物などが、リン(無機リン)に該当します。
このリンは、動物性のたんぱく質よりもさらに排泄されにくいのです。

微量でも腎臓への負担が大きくなります。
たんぱく質は、納豆や豆腐などの植物性を中心に、動物性なら近海の小魚などをとり、加工肉や加工食品はできるだけ控えるようにしましょう。

もちろん、便秘を防ぐことも重要です。
腎臓病になるとカリウム制限のため、生野菜を食べないという人がいます。

しかし、腎機能(GFR)がG3b(30〜44)までで、カリウム値が正常なら、制限する必要はありません。
むしろ野菜で食物繊維をとり、便秘にならないように注意すべきです。

カリウム値が高めの人の場合、野菜はゆでたり、煮たりして食べるか、生なら小皿に少量程度とるといいでしょう。
また、小麦(パン、うどん、パスタなど)、乳製品(牛乳、アイスクリームなど)、砂糖、スナック菓子などは、腸の炎症を引き起こしやすいので控えてください。

小麦はIgA腎症(腎臓にIg Aという物質が付着して炎症を起こす病気)との関連も指摘されています。
農薬を使った野菜や果物、遺伝子組み換え食品、化学調味料、食品添加物の多い加工食品も、腸内細菌にダメージを与えるので避けてください。

塩分も質が重要です。
とり過ぎは禁物ですが、ミネラル豊富な自然塩を適度にとることは、エネルギー維持のために必要です。

解毒作用のある梅干し(塩分制限がある場合は、梅肉エキス)やラッキョウ、乳酸菌を多く含むみそやぬか漬けなどの発酵食品もお勧めです。

腎機能が18から28へと大幅に回復した

では、腸にいい食事をとり、腎臓病の悪化を防いでいる症例を2例紹介しましょう。

●Aさん(72歳・男性)
Aさんは2年前にクレアチニン値が3.6mg/dL(男性の基準値は0.6〜1.1mg/dL)まで上がり、他院で透析を勧められていました。

腎機能は14.4(基準値は60未満)で、末期腎不全の状態でした。
しかし、カリウム値は正常だったので、私は生野菜を適量食べるようアドバイス。

砂糖を含む佃煮は梅干しに替え、パンや加工食品、それまで毎日食べていた甘いお菓子を控えてもらいました。
以前から飲んでいた経口吸着薬(クレメジン)と痛風薬は継続しています。

2年後の現在、Aさんのクレアチニン値は3.2mg/dLと少し改善。
腎機能は17に回復しました。

透析をすることなく、毎日元気に過ごしておられます。

●Bさん(68歳・男性)
Bさんは、ネフローゼ症候群(血中の低たんぱく状態)から慢性腎臓病となり、3年前に来院しました。

主なたんぱく質である血中アルブミンの値は1.3g/dL(基準値は3.9〜5.2g/dL)、へモグロビン値は7.8g/dL(男性の基準値は13〜17g/dL)、腎機能は18.47といずれもかなり低下した状態でした。

薬は自己判断でやめてしまい、食事は玄米食とイモ、野菜しか食べていないといいます。
そこで、遅延型アレルギー検査(食物摂取後、数時間から数週間後に現れるアレルギーの検査)で陽性だった卵、ショウガ、小麦を避け、質のいいたんぱく質を含む通常食に変えてもらいました。

貧血改善のため、玄米より消化のいい5分づき米で栄養補給を図り、増血剤の注射も行っています。
その結果、現在は貧血が改善し、へモグロビン値は12g/dLまで回復。

アルブミン値は2.6g/dL、腎機能は28.64まで戻りました。
この2人のように腎機能がG4(15〜29)やG5(15未満)まで進むと、本来は、腎機能の悪化は一気に加速します。

それが回復傾向にあるというのは奇跡的なことです。
腸が喜ぶ食生活が腎臓にもいかによいか、おわかりいただけると思います。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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