腎臓の悪い患者の改善症例が多数見つかる
私は、教会で牧師として活動する傍ら、開業した医院で医師として患者さんの治療に当たってきました。
特にガンの治療・研究には、大きな関心を持っています。
研究を続けるなかで出合ったのが、「官足法」でした。
官足法とは、足の裏をもむ健康法で、台湾の官有謀先生(故人)が考案したものです。
足には「反射区」という、体の各部位に対応するゾーンがあります。
ここを刺激することで、反射区に対応する体の部位に、刺激が伝わります。
対応する部位だけでなく、全身の血流が改善するので、臓器の機能を活性化し、体の持つ自然治癒力を高めることができるのです。
足の裏をもむ健康法は、巷にいろいろありますが、この官足法は、非常に強い刺激を与えるのが特徴。
少々オーバーな表現をすれば、拷問に近いほどで、あまりの痛さに失禁する人もいるといいます。
しかし、この方法により、多くの人の健康が回復しているのは事実です。
例えば、高血圧、糖尿病、腰痛、ひざ痛、緑内障、白内障、胃ガン、子宮内膜症、アトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患など、多くの症状・病気に効果を発揮します。
今号の特集テーマである腎機能アップに対しても、この、足の裏もみは有効です。
官先生の治療記録を調べると、腎臓の悪かった患者さんの改善症例が、たくさん見つかります。
では、なぜ、足の裏もみが、腎臓の機能回復・向上に役立つのでしょうか。
注目すべきは、その強い刺激です。体に強い刺激(侵害刺激)が加わると、痛み物質が作られます。
それが神経に伝わり、痛みとして感知されます。
産生される痛み物質は複数ありますが、なかでも私が着目したのは、サブスタンスPという物質です。
サブスタンスPには、血管拡張作用、血流改善作用、免疫増強作用があります。
ことに重要なのが、血流改善作用です。
私たちが悩まされる慢性疾患の、そもそもの原因は血流の悪化です。
血流が悪くなると、酸素や栄養素が、全身に行き渡らなくなります。
老廃物もスムーズに排出できません。
それが、臓器の機能低下を引き起こし、さまざまな慢性症状へとつながっていくのです。
足の裏もみのやり方

強く痛む箇所を重点的に刺激しよう
腎臓の場合も、同様です。腎臓は、血液をろ過して尿をつくり体外へ排出する、重要な役割を担っています。
血流が悪くなれば、腎臓には大きな負荷がかかります。
長年にわたり負荷の高い状態が続くと、腎臓が疲弊して、腎疾患を引き起こす一因になります。
足の裏もみで、腎臓に対応する反射区を刺激すれば、腎臓はもちろん、全身の血流が改善。
腎機能の回復・向上に、大いに役立ちます。
足の裏もみをする際は、指で押すよりも、市販のツボ押し用指圧棒などを用いるといいでしょう。
先がやや細くなった、木製の棒です。100円ショップなどでも売られています。
棒を使って皮膚表面を強く押すと、その部分が赤くなることがあります。
こうして炎症が起こった部分には、ブラジキニンやプロスタグランジンなどの炎症性物質が集まってきます。
これらにも、先に述べたサブスタンスPと同様に、血流改善などの作用があります。
加えて、炎症反応が起こると体内の白血球が活性化します。
これも、免疫力を上げるので、腎機能回復に効果的です。
ですから、「痛ければ痛いほど効く」というつもりで、できる範囲で強めに押しましょう。
腎臓の反射区と、足の裏もみのやり方は、上の図解を参照してください。
反射区を探すに当たっては、ピンポイントでとらえるより、そのゾーン辺りで強く痛む箇所を重点的に刺激するのがよいでしょう。
足の裏もみを行うタイミングは起床後がお勧めです。
私自身、痛い痛いと思いながら、毎朝、足の裏を刺激しています。おかげで目覚めはスッキリ。
今年で78歳になりますが、毎日、医院での診療や介護ホームへの往診、教会での説教、畑での農作業、そして治療法の研究にと、元気に忙しく過ごしています。
「足の裏をもんで腎機能がよくなるなら」と試すつもりで、ぜひ実践してみてください。
解説者のプロフィール

上田昌司
1939年、兵庫県生まれ。京都府立医科大学卒業。医学博士。74年、上田医院開業。医学生時代から、ガン治療について研究。ガン患者に食事指導をする一方で、官足法に出合い、その有効性から
研究を始める。牧師としても精力的に布教に従事。2014年に高島市新旭町に新旭キリスト栄光教会を設立。現在も医師と牧師の両輪で活動し、独自の研究と実践を続けている。