番茶シップとは
私のクリニックでは、最先端の西洋医学だけではなく、東洋医学や自然療法を積極的に導入した統合医療も行っています。 この自然療法の代表の一つであるマクロビオティック(玄米菜食を中心とした食事療法)では、番茶が頻繁に使われます。優れた健康効果のあることが、昔から知られているからです。
ここでは、疲れ目をはじめ、緑内障(視神経に障害が起こり視野が狭くなる病気)、白内障(目のレンズに相当する水晶体が濁る病気)、老眼、加齢黄斑変性(網膜の中心の黄斑が加齢とともに変性し視力が低下する病気)などの改善や、視力アップなど、目に対して有効な自然療法である「番茶シップ」をご紹介しましょう。
番茶シップは、煮出した番茶に少しの塩を入れ、そこに浸したタオルで目を温めるだけの療法です。たったこれだけで、目の血行を促進する効果と、目を引き締める効果があります。
温かい番茶に浸したタオルを目に当てると、その温熱効果によって、目や目の周辺組織が温められ、血行が促進されます。
番茶シップの効果
また、マクロビオティックの考え方では、食品は体を温める物と体を冷やす物に分けられますが、番茶は前者です。番茶シップによって、番茶の成分が皮膚から浸透すれば、体内から冷えを取る効果が期待できます。
目と、その周辺組織が温められ、血流がアップすれば、固まった筋肉がほぐれ、動きが正常化します。その結果、疲れ目や、疲れ目が悪化して起こる眼精疲労、そしてドライアイ、老眼に強力な効果を発揮します。
疲れ目は、眼球を支える6本の筋肉(外眼筋)が硬直し、筋肉疲労を起こすことが原因です。パソコンやスマートフォンなどを長時間使い続ければ、目のピントを同じ距離で合わせ続けることになり、当然、目には大きな負荷がかかります。
番茶シップで目を温め、外眼筋などの血流を促進して筋肉の硬直をほぐせば、疲れ目は深刻化せずに改善するでしょう。
老眼は、加齢によって水晶体の弾力が低下し、さらに水晶体の厚みを変える筋肉である毛様体筋の筋力が衰え、水晶体の厚みの調節がうまくできずに起こります。
このように老眼は老化現象のため、根治はできません。しかし、番茶シップは、目やその周辺組織の血行を促進することにによって、老眼の進行を遅らせます。番茶シップで、老眼鏡が不要になったという人もいるほどです。
また、番茶には、渋味成分のタンニンが豊富に含まれています。タンニンには収斂作用(組織や血管を縮める働き)があり、目やその周囲の組織が引き締められます。
この作用により、目にたまった余分な水分が排出され、眼圧を左右する房水と呼ばれる目の体液が調節されます。その結果、緑内障を改善へと導くのです。
番茶シップの作り方とやり方

水晶体の白濁が軽快!
ここで、番茶シップが効果を上げた症例をいくつか紹介しましょう。
1人目は、加齢黄斑変性に悩む60代の女性です。
その女性は視力が0.2まで悪化し、裸眼での自動車免許の更新を危ぶまれました。どうしても裸眼でクリアしたいと考え、一念発起して、番茶シップを行ったのです。
そうしたところ、3ヵ月後には視力が0.8まで上昇しました。念願かなって、裸眼で運転免許の更新に成功したのです。
2人目は、白内障に悩む76歳の女性です。この女性は、10年以上前に白内障を発症し、2010年に来院したときには、肉眼でも黒目の白濁がわかるほどになっていました。
眼科医からは手術を勧められていましたが、手術を拒否していました。当院で治療をしながら、自宅では番茶シップを中心とした自然療法に取り組んでもらったのです。
1年ほど番茶シップを続けてもらったところ、水晶体の白濁が軽減しました。2012年には眼科で日帰り手術を受けましたが、白内障が改善していたため、体への負担が軽い日帰り手術で済ますことができたと喜んでいました。番茶シップで、水晶体の濁りが軽減した貴重な症例といっていいでしょう。
3人目は、眼圧の高さに悩む32歳の男性です。
この男性は、20代から両目の眼圧が上昇し、点眼薬による治療を5年ほど続けていました。しかし、思うように眼圧は下がりません。当院に通院し、治療のかたわら、自宅で番茶シップを行いました。
熱心な取り組みの結果、20mmHg以上あった眼圧が、1年後には、16~18mmHgに低下したのです(正常値は10〜20mmHg)。ご本人は、「失明の危機を回避できた」と喜んでいました。
目の悩みを持つ人は、番茶シップを試すといいでしょう。
解説者のプロフィール

三浦直樹
みうらクリニック院長。1968年、大阪府生まれ。兵庫医科大学卒業。「難病といわれてもあきらめない」をモットーに、手技療法、カウンセリングや催眠療法などを、必要に応じて西洋医学と組み合わせながら治療を行っている。