ピント調整力が改善し見え方がクリアに一変!
老眼や近視の患者さんに、私がお勧めしているセルフケアがあります。
「100円メガネ」を使う視力回復法です。
100円メガネとは、100円ショップで売っている老眼鏡です。
老眼とは、目のピント調整力が低下して、近くの物が見えにくくなる目の老化現象です。
目のレンズに当たる水晶体は、毛様体筋という筋肉の働きで、厚くなったり薄くなったりして、近くの物や遠くの物にピントを合わせています。
毛様体筋は、体のほかの筋肉同様、老化によってこり固まってきます。
すると、近くの物を見るときにレンズを厚くすることができず、文字などが見えにくくなるのです。
100円メガネをかけて遠くを眺めると、視界がぼんやりします。
これは、毛様体筋が緩んだ状態です。
こうして、1日のうち数分でも、毛様体筋を緩める習慣をつけることで、柔軟性が回復し、ピント調整力が改善します。
最近は、パソコンやスマートフォンの普及で、若い人にも老眼のような症状を訴える人が増えてきました。
手もとを長時間凝視することも、毛様体筋が固まる原因となります。
俗にいう「スマホ老眼」です。
スマホ老眼の人にも、100円メガネ視力回復法は効果的です。
やり方は、簡単です。
老眼鏡をかけて、1日5分ほど、1~3m先をぼんやり眺めるだけです。
見よう見ようと、がんばってはいけません。
あくまでも「ぼんやり眺めて」ください。
視界がぼんやりしているのが、毛様体筋が緩んでいる状態だからです。
老眼鏡の度の強さは、中程度の「+2」が最適です。
「弱・中・強」と表示された老眼鏡の場合は、「中」を選びます。
先ほど申し上げたように、これから購入するなら、100円ショップの老眼鏡で十分です。
手もとに+2度の老眼鏡があったら、もちろんそれを使用してもかまいません。
読書やパソコン作業、スマートフォン操作の合間に行うと、そのあと、見え方がクリアになるのを実感できると思います。
タイミングとしては、できれば寝る前に行うと、睡眠中に毛様体筋の疲労が回復しやすくなるので、お勧めです。
100円メガネ視力回復法は1日1回就寝前がお勧め

水晶体がかたくならず白内障を予防できる
100円メガネ視力回復法は、近視にも効果があります。
近視の場合も、毛様体筋が緊張し、かたくなっています。
遠くを見るときに毛様体筋が動かず、水晶体が薄くならないため、よく見えないのです。
「近視の人は、ぼんやり遠くを見るといい」とよくいわれます。
しかし、誰もが視界の開けた環境に住んでいるとは限りませんし、実際には近くの物も視野に入ります。
そうなると、毛様体筋を完全に休ませることはできません。
近視の人が老眼鏡をかけると、1~3m離れた物を見ることで、遠くを眺めるときのように、毛様体が緩みます。
ふだん、近視用のメガネやコンタクトレンズをしている人は、その上からかけてください。
ピントが合わない状況を、老眼鏡によって強制的に作ることで、毛様体筋を緩められます。
老眼鏡をかけて1~3m先を5分間ぼんやり眺めたあとで老眼鏡を外すと、毛様体筋の柔軟性が回復するため、視界がクリアになっているはずです。
老眼鏡を外してよく見えるということは、逆にいうと、日ごろ、ピント調整力が低下しているということです。
100円メガネ視力回復法を続けることで、毛様体筋の柔軟性がアップし、近くも遠くも、よく見えるようになります。
この方法は、お子さんが行っても効果的ですが、顔の幅が老眼鏡をかけられる程度になってからにしましょう。
仮性近視には特に効果を発揮するので、ぜひ役立ててください。
100円メガネ視力回復法は、白内障の予防にも有効です。
白内障は、水晶体がかたくなって白濁し、視力が低下する病気です。
毛様体筋の緊張が解けて、柔軟性が回復すると、水晶体の厚みの調整もスムーズになります。水晶体がかたくなりづらいので、白内障を予防できるのです。
そのほか、疲れ目の予防・解消にも効果的です。
「今日は目が疲れたな」という日には、寝る前に老眼鏡をかければ、スーッと入眠でき、翌朝の目の状態もよくなるでしょう。
ただし、目の病気やトラブルで通院中の人や、斜視や弱視の治療中の人は、医師に相談のうえで行ってください。