目の特効ツボを面でとらえてさする
「新聞の細かい字が読みづらい」「遠くの看板が見えない」「視界の隅に、チラチラとほこりが浮かんで見える」といった目の症状にお悩みのかたが、昨今増えています。
その大きな原因の一つは、生活スタイルの変化でしょう。
スマートフォンが普及し、外でも屋内でも小さな画面とにらめっこ。
職場ではパソコン、家ではテレビばかり。
このような生活が、一般的になっています。
加えて、現代はストレス社会です。
多くのかたが仕事や人間関係に悩みを抱えながら、日々を過ごしています。
これらによって、目の組織に何が生じるのか。
それは、「血流の停滞」です。
近くの物ばかり見ているせいで、目の筋肉である眼筋はこり固まり、血液の流れが停滞。そこに精神的なストレスが加わり、さらに流れを悪化させます。
血液は全身の各組織に栄養素や酸素などを供給し、逆に毒素などを排出する重要な役割を担っています。
目の周りや内部にも、多くの血管が張り巡らされています。
当然、どこかで血液の循環が滞れば、目の組織にも栄養素や酸素が十分に行き渡らなくなるでしょう。
また、眼球内は房水という水分が満たされており、その圧力によって、目の形状と健康状態は良好に保たれています。
血流が悪くなると、この房水の流れまで悪化してしまうのです。
血液と房水の流れの停滞が、視力の低下や目の老化を進行させます。
緑内障や白内障、黄斑変性(網膜の中心にある黄斑に障害が生じ、物が見えにくくなる病気)といった重篤な眼病の引き金にもなります。
私が治療に用いる、鍼やマッサージといった手法は、全身にあるツボを重点的に刺激することで、血流の滞りを解消し、流れを促進することが可能です。
とはいえ、一般の人がツボの位置を正確にとらえるのは、なかなか難しいでしょう。
そこで、私が患者さんに勧めているのが「顔さすり」です。これは、ツボを点ではなく面でとらえ、指で顔をさする方法です。
目の特効ツボが数多く存在する場所は、顔です。
顔は衣服で覆われておらず露出しているため、刺激する場所や時間を問いません。
顔を手の指でさする顔さすりは、最も簡単かつ効果的なセルフケア法といえます。
視力が0・4→0・7!視界の黒いゴミも消失!

脳点をほぐしたら、症状別に顔の特定のツボをさすります。
それぞれの症状に対応するツボの場所は、下記画像をご覧ください。
症状別ツボ刺激のやり方


起床後や目が疲れたと感じたときに、毎日1~3回を目安に行う
ツボへの刺激は、人差し指と中指で行います。
ツボに当てて、左右あるいは上下に10回程度小刻みに動かしながらさすります。
そのとき、強くさすり過ぎないように注意しましょう。
「痛気持ちいい」と感じる程度の強さが最適です。
1ヵ所につき10秒ほどでできるので、起床後や目が疲れたと感じたときに、毎日1~3回を目安に行ってください。
血管や臓器の働きを調整している自律神経のバランスも整うので、その点からも血流の促進効果が期待できます。
この顔さすりによって、近視や老眼をはじめ、目の機能が回復したかたはおおぜいいらっしゃいます。
Aさん(60代・女性)は、顔さすりを始めて2ヵ月で、0・4から0・7に視力が上がりました。
加えて、白内障の進行も抑えられているとのこと。
視界の片隅にちらつく黒いゴミが気になっていたBさん(60代・女性)は、顔さすりで飛蚊症の症状が大改善。
視界も明るくなったと喜んでいました。
そのほかにも、緑内障が改善して欠けていた視野が回復したかた、眼圧が下がったかたもいました。
顔さすりは、すぐに始めることができます。
まずは1ヵ月ほど、続けてみてください。
解説者のプロフィール

内田輝和
1949年生まれ。倉敷芸術科学大学教授。関西鍼灸柔整専門学校卒業。鍼メディカルうちだを岡山と東京に開設。『10秒顔さすりで老眼、近視、緑内障はよくなる』(主婦の友社)など、著書多数。
●鍼メディカルうちだ
http://medical-uchida.com/
それでは、顔さすりのやり方をご紹介しましょう。
まず、顔をさする前に、後頭部の髪の生え際(襟足)から指3本分上にある脳点というポイントを刺激します。
頭蓋骨の出っ張りのちょうど真下に当たる場所です。
私は施術をするなかで、目に不調を抱える人の多くが、後頭部がかたくなっていることに気がつきました。
ここがかたくなっていると、脳への血流が阻害されます。
視覚は脳の認知機能と密接な関係があるため、脳へ流れる血液が滞ると、視力にも悪影響が及びます。
よって、まずは、ここを指でさすってほぐすことが重要なのです。