MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【筋トレのすごい効果】糖尿病が改善 高齢者のヘモグロビンA1cも下がると判明

【筋トレのすごい効果】糖尿病が改善 高齢者のヘモグロビンA1cも下がると判明

糖尿病の治療の基本が、食事と運動であることは、みなさん十分にご存じでしょう。かかりつけの医師に「運動をするように」と言われているかたも多いのではないでしょうか。しかし残念なことに、実際の臨床では、糖尿病に対する運動療法の効果はあまり上がっていません。【解説】宇佐見啓治(うさみ内科理事長)

解説者のプロフィール

宇佐見啓治
うさみ内科理事長。1955年福島県郡山市生まれ。1982年福島県立医科大学を卒業後、同大学付属病院第二内科に入局。1988年より福島赤十字病院に約10年間勤務、1997年にうさみ内科開業。専門分野は内科全般。消化器、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満などの生活習慣病治療(特に運動療法)。所属学会は、日本内視鏡学会、日本肥満学会、日本糖尿病学会。日本内視鏡認定医、日本内科学会認定医、日本医師会スポーツ認定医、日本体育協会スポーツ認定医。ひょうたんで作る「ひょうたんランプ」作家の顔も持つ。作家名は「瓢太」。
●うさみ内科
http://website2.infomity.net/8342095/

ヘモグロビンA1cが8週間で2%以上低下

 糖尿病の治療の基本が、食事と運動であることは、みなさん十分にご存じでしょう。かかりつけの医師に「運動をするように」と言われているかたも多いのではないでしょうか。
 しかし残念なことに、実際の臨床では、糖尿病に対する運動療法の効果はあまり上がっていません。正しい運動療法が指導されていないからです。

 そのため、十分な運動療法が行われないまま、薬物療法に移行する患者さんが少なくありません。
 この状況をなんとかしたいと考えた私は、糖尿病の治療に筋トレを取り入れ、成果を上げてきました。

 勤務医時代のデータでは、2型糖尿病の患者さん62名に週3回の筋トレと食事療法を行ってもらったところ、4週間で空腹時・食後血糖値とも大幅に下がり、8週間でヘモグロビンA1cが平均2・4%低下しました(過去1~2ヵ月の血糖値がわかる数値で、6・5%を超えると、糖尿病の可能性大)。

 一般に、糖尿病の治療薬でも3ヵ月で0・8%程度の改善しかありませんから、筋トレの効果がいかに大きいかがわかります。
 しかし、「筋トレ」と聞くと、「そんなハードな運動は無理!」と思う人がいるかもしれません。

 しかし、私が勧めている筋トレは、たったの二つ。「スクワット」と「プッシュアップ」だけです。これを週3回、15~20分行うだけで、目覚ましい効果があるのです。

 実際の症例をご紹介しましょう。

●Aさん(39歳・男性)

 高血圧の治療で通院していたAさんは、2016年7月の血液検査で、今まで正常だったヘモグロビンA1cが、いきなり11・1%に上がっていました。「即入院」になってもおかしくない数値です。
 この時点から、Aさんに運動療法を指導し、食事にも少し気をつけてもらいました。すると、その翌月にはヘモグロビンA1cが9・7%になり、翌々月には6・6%に下がったのです。1年半たった現在も、6%前後で安定しています。また、100㎏を超えていた体重が、92㎏になりました。
 Aさんは病歴が浅い症例ですが、もっと長い慢性糖尿病患者さんの例もご紹介します。

●Bさん(44歳・男性)

 EDの治療で泌尿器科に行き、糖尿病を指摘されて、当院を受診しました。EDのような糖尿病の合併症は、発症するまでに5~10年はかかりますから、Bさんの糖尿病歴もそれくらいはあると思います。

 初診時のBさんのヘモグロビンA1cは11・8%と高く、本来は入院が必要ですが、体の状態が悪くなかったので、外来で運動療法を始めました。また、病気への意識を持ってもらうために、軽い糖尿病の薬(グリコラン)も処方しました。

 すると、2ヵ月ほどでヘモグロビンA1cが下がり、半年後には6%台になりました。この時点で、薬はやめて運動だけにし、1年たった現在、ヘモグロビンA1cは6・3%です。

 お二人とも若い患者さんですが、70代、80代という高齢の患者さんでも、筋トレで改善した例は、数多くあります。

筋トレにより数値が改善

やればやるほど筋肉に糖が取り込まれる

 一般的に日本では、糖尿病の運動療法として、ウオーキングが推奨されています。
 もちろん、ウオーキングのような有酸素運動でも、インスリンの抵抗性(インスリンが体内で効きにくくなっている状態)は改善しますが、効果が出るまでに時間がかかります。しかも、一日に1万5千~2万歩歩かないと、効果が出ません。

 しかし筋トレなら、きちんと行えば、1ヵ月後には効果が出ます。それは、以下のような理由によります。

①血中の糖が使われる

 運動をするとき、筋肉を動かす主なエネルギー源は、筋肉中に蓄えられたグリコーゲンです。これは、ブドウ糖が鎖のようにたくさんつながったもので、これを分解して、エネルギーのもとを作ります。
 このグリコーゲンがなくなったとき、筋肉は血中の糖を引き込んでグリコーゲンを再合成します。そのため、筋トレすればするほど、血中の糖が使われて、血糖値が下がるのです。
 しかも、グリコーゲンの再合成にインスリンは関与しませんから、インスリン分泌が低下した糖尿病患者でも、効果が期待できます。 

②筋肉が太くなる

 筋トレをすると、筋肉が引き伸ばされて小さな傷ができます。翌日体を休めると、その傷は修復され、その修復によって筋肉が少し大きくなります。
 それをくり返すことによって、筋肉は太く、大きくなっていきます。
 筋肉が大きくなれば、基礎代謝(安静時に消費するエネルギー)が上がり、エネルギーを燃やしやすくなります。それによって糖が消費され、太りにくい体になるのです。

 中高年以降、糖尿病患者が増えるのは、運動不足によって筋肉が萎縮するからです。
 血中の糖の8割は、筋肉で使われますから、筋肉が萎縮すれば、そのぶん糖が使われなくなり、糖尿病を発症しやすくなります。実際に、2型糖尿病患者の筋肉量は、健常人の半分程度しかありません。

 では、どの筋肉がいちばん減るのかというと、人体の中で最も大きい、太もも前部の筋肉(大腿四頭筋)です。
 私が勧める筋トレでは、スクワットで大腿四頭筋を、プッシュアップで胸の大きな筋肉(大胸筋)を鍛えます。こうした大きな筋肉を鍛えると、より効率よく基礎代謝が上がり、糖を消費しやすくなります。

 このように、筋トレは、非常に理にかなった糖尿病の運動療法です。しかも、「カッコイイ体になる」というおまけつきですから、糖尿病のかたに限らず、ダイエットや健康維持のためにも、ぜひやっていただきたいと思います。
 ただし、毎日すると筋肉が大きくなりませんから、1日おきにするといいでしょう。

糖尿病を撃退する筋トレ

勧めている筋トレは二つ。「スクワット」と「プッシュアップ」だけ

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
こうして手のひらを押していたところ、なんと今年3月の人間ドックではヘモグロビンA1cが6.3%と正常値にまで低下したのです。これで安心したのですが、私の母にはもっと凄い効果が表れました。インスリン注射を1日1回に減らせました。注射は体に大きな負担があるらしく、これには母も大喜びでした【体験談】小池幸子(会社員・56歳)
更新: 2019-03-19 18:00:00
主人の血糖値ですが、酢タマネギを食べ始めてわずか2ヵ月ほどで100mg/dlまで下がりました。服薬を続けても下がらなかったのに、酢タマネギを食べ始めてすぐに改善したことには驚きました。血圧も下がり、以前は降圧剤を飲んで最大血圧が200mmHgだったのが、今は130mmHg程度です。【体験談】伊林好子(主婦・76歳)
更新: 2019-02-22 18:00:00
マグネシウムは体内では合成できないため、必ず食品から摂取しなければいけない「必須ミネラル」の1つです。現代の日本人の食生活は、カロリーは満たされていても、マグネシウムが足りない『新型栄養失調』状態にあるのです。その結果、糖尿病や脂質異常症、肥満をきたしやすくなるのです。【解説】横田邦信(東京慈恵会医科大学客員教授)
更新: 2018-12-31 18:00:00
認知症というと高齢者の病気、と考える人も多いでしょう。近年、認知症は「脳の糖尿病」で生活習慣の改善で予防できることがわかりました。認知症は20~30代の頃の生活習慣、特に食習慣の結果でもあります。ですから早めに対処することが認知症予防には欠かせません。【解説】熊谷賴佳(脳神経外科専門医・認知症サポート医・京浜病院院長)
更新: 2018-11-12 18:00:00
ゴーヤに含まれる苦み成分の一つであるチャランチンには、インスリンと似た働きがあります。また、同じく苦み成分であるモモルデシンにも、血糖降下作用があることがわかっています。さらに、ゴーヤには糖代謝を活性化するビタミンB1や、糖の吸収を遅らせる食物繊維も豊富に含まれています。【解説】下津浦康裕(下津浦内科医院院長)
更新: 2018-10-20 12:00:00
最新記事
ストレスに強くなり、うつを防ぎ・治す食事とは、特別なものがあるわけではありません。あたりまえのことですが、栄養バランスのよい食事を1日3食きちんと食べることです。ただし、いくつかのポイントがあるのも事実です。【解説】功刀浩(国立精神・神経医療研究センター神経研究所)
更新: 2019-04-24 18:00:00
βグルカンの精製をさらに進めたところ、それまでとはまったく別の物質を発見しました。これが「MXフラクション」で、今のところマイタケからしか発見されていない成分です。【解説】難波宏彰(神戸薬科大学名誉教授・鹿児島大学大学院医歯学総合研究科客員教授)
更新: 2019-04-23 18:00:00
骨盤底筋を鍛えるための体操は、現在多くの医療機関で推奨されています。しかし、やり方をプリントされた紙を渡されるだけなど、わかりずらく続けにくい場合がほとんどです。そこでお勧めしたいのが、おしぼり状に巻いたタオルを使った「骨盤タオル体操」です。【解説】成島雅博(名鉄病院泌尿器科部長)
更新: 2019-04-22 18:00:00
首がこったとき、こっている部位をもんだり押したりしていませんか? 実は、そうするとかえってこりや痛みを悪化させてしまうことがあります。首は前後左右に倒したりひねったりできる、よく動く部位です。そして、よく動くからこそ、こりや痛みといったトラブルを招きやすいのです。【解説】浜田貫太郎(浜田整体院長)
更新: 2019-04-21 18:00:00
現代人は遠くをあまり見なくなったせいで眼筋と呼ばれる目の筋肉が衰えています。食生活も乱れがちなので目の周りの血行もよくありません。これらが目の諸症状を引き起こすのです。一度身についた生活習慣を変えることは容易ではありません。そこでお勧めなのが目のエクササイズです。【解説】福辻鋭記(アスカ鍼灸治療院院長)
更新: 2019-04-20 18:00:00

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt