「入院が必要なほど重い」と言われ大ショック
2年前の春頃のことです。体重がぐんぐん減り始め、86kgあった体重が、3ヵ月で10kgも落ちてしまいました(身長は160cm)。
「がんではないか」と心配になり、いつもお世話になっている、宇佐見啓治先生に診ていただきました。そのときの血液検査で、ヘモグロビンA1cが9・5%もあることがわかったのです(過去1~2ヵ月の血糖値がわかる数値で、6・5%を超えると、糖尿病の可能性大)。
当時はのどの渇きもひどく、先生から「これは入院が必要な糖尿病だ」と言われて、大ショックでした。
それまで、ヘモグロビンA1cが問題になったことはありませんでした。しかし、この受診の少し前に、仲のよい友人を亡くしたばかりでしたから、そのショックで、糖尿病という病が顔を出したのかもしれません。
宇佐見先生の話では、私のようにヘモグロビンA1cが高くても、筋トレをしっかりやれば、入院しなくても大丈夫とのこと。それを聞いて、「とにかく、がんばってみよう」と心に決めました。
それからは、毎週月曜日と金曜日に、宇佐見先生のクリニックで開かれている運動教室に通っています。先生から、水曜日も自宅でするように言われていますが、一人でするのはさすがにつらく、やっていません。
その代わり、運動教室には必ず出席しています。その回数は、もう254回目を迎えました。この2年半、一度も休んだことがありません。それが、私の自慢です。
運動教室では、スクワットとプッシュアップの筋トレを10回ずつ、交互に3セットずつ行います。しかし、この年齢ですから、最初は「きつい」なんてものではありませんでした。とても全部はできず、最後までできるようになったのは、30回目を過ぎてからです。
それにしても、これだけ回数をやっていれば、少しはらくになりそうなものですが、今でもやはりきついです。それでもがんばれるのは、この運動が、間違いなく自分のためになっているからです。
ぎっくり腰、ひざ痛も起こらなくなった
筋トレの効果は、思った以上に早く現れました。あんなに高かったヘモグロビンA1cが、翌々月には6・7%に下がり、その後ずっと、6・5%前後で落ち着いています。
一時、6・0%まで下がったこともありますが、私のような高齢者は、下がりすぎるのもよくないそうです。また、これはいいのか悪いのかわかりませんが、急激に落ちた体重も、元に戻りました。
さらに、ひざの痛みもなくなりました。私は体重が86kgあるので、何をするにもひざに負担がかかってつらく、特に、階段の上り下りは地獄のようでした。一段上るたびに、ひざ関節にギクッという痛みが走り、這うように上っていました。這うように上るのは今も同じですが、痛みはまったくありません。
また、以前はギックリ腰をよく起こしていましたが、それも起こらなくなり、腰痛とも縁が切れました。肩こりもないし、カゼをひいたりしても、治りが早くなったような気がします。ですから、83歳という自分の歳を忘れそうです。
さらに、精神面でも強くなったと思います。筋トレを続けてきたこのがんばりが、あらゆる面で生きていて、困難なことに直面しても「できないわけがない」という自信につながっています。
ただ、残念なのは、体重が少しも減らないことです。先生から、甘い物や果物はあまり食べないようにと注意されていますが、もともと甘い物が好きなうえに、福島は果物がおいしいので、つい食べてしまいます。これを改めていたら、もっとやせて、カッコいい体形になっていたかもしれません。
このように、これだけ体によい運動ですから、休んだら損します。体が動く限り、続けるつもりです。
年齢に関係なく効果が得られる(うさみ内科理事長 宇佐見啓治)
70代、80代という高齢の患者さんでも、筋トレをすることで、ヘモグロビンA1cや血糖値は改善します。塩田さんはその好例で、まじめに筋トレに取り組むことで、薬を使わなくても、糖尿病のコントロールができています。
「筋トレはきつい」と思うかたもいるかもしれませんが、初めはきつくても、続けていれば必ずできるようになりますし、それとともに、効果も確実に上がってきます。まずはできる範囲でいいので、ぜひトライしてみてください。