鼻づまり【副鼻腔炎・蓄膿症】痰が止まらない時は何科?痰の色は?後鼻漏の対策に

鼻づまり【副鼻腔炎・蓄膿症】痰が止まらない時は何科?痰の色は?後鼻漏の対策に

呼吸器系の炎症が8週間以上続くと「慢性気管支炎」と診断されます。それ以外の場合、上気道であるのどもしくは鼻副鼻腔の疾患の可能性があります。耳鼻咽喉科の専門領域で、内科では対処できない場合も。慢性鼻炎や蓄膿症を併発し止まらない痰(後鼻漏)を起こしているケースが多いのです。【解説】呉孟達(アレジオ銀座クリニック院長)


【お悩み】タンが止まらない

 タンが出続けて、困っています。粘液性で、ほかに症状はありません。病院で診てもらいましたが、異常はないと言われました。アレルギー性鼻炎はありますが、鼻水が出ないときでもタンは出てきます。私は、お酒やタバコはやりません。どうしたらよいでしょうか。(60代女性)

【回答者】呉孟達(アレジオ銀座クリニック院長)

呉孟達
1993年愛知医科大学大学院修了。その後、米国南イリノイ大学耳鼻咽喉科留学。帰国後、愛知医科大学医学部准教授、客員教授を務め、2008年にアレジオ銀座クリニックを開設。後鼻漏がさまざまな病気に関与していることに着目し、難治の病気の治療に効果を上げる。著書『知らざれる後鼻漏』(幻冬舎)が好評発売中。   

内科で治らない場合は耳鼻科に行くとよい

 ご相談の内容だけでは情報が少ないのですが、対処を決める上で大事なポイントが三つあります。

①症状は急性か慢性か
②タンの色調と形状
③タンの出る時間帯

 ①の急性か慢性かですが、ご相談から察すると、長年の悩みのようなので、慢性の症状ではないかと推測されます。
 仮に慢性のタンであった場合、一般的には、呼吸器の病気が疑われます。
 その場合、考えられるのは、ぜんそく、気管支炎、肺炎および腫瘍です。相談者さまは、病院の、おそらく内科を受診されていると思いますので、タンはこれらの疾患によるものの可能性は低いでしょう。

 通常、呼吸器系の炎症が8週間以上続くと、「慢性気管支炎」と診断されます。しかし慢性気管支炎ではない場合(あるいはその治療で治らなかった場合)は、上気道であるのど(咽頭、咽喉)もしくは鼻副鼻腔の疾患の存在にも目を向ける必要があります。
 上気道の診療は、耳鼻咽喉科の専門領域なので、そこに炎症があっても、内科では対応しきれない場合があります。この上気道の炎症も、タンの原因になります。その多くは、慢性の鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)を併発しているケースです。

副鼻腔炎による後鼻漏の可能性がある

 慢性的に鼻に炎症があると、大量の鼻水がのどの奥のほうに流れていきます。この病態を「後鼻漏」といいます。後鼻漏になると、鼻水がのどの奥にたまってタンが出たり、セキやのどの不快感などが生じることが多々あります。

 鼻水は、通常、少しずつのどの奥に流れており、自然に飲み込まれています。仮に、相談者さまはそれが異常な量になっている場合は、ほぼ間違いなく〝なんらか〟の鼻炎か副鼻腔炎があると思われます。

 ②のタンのタイプですが、タンは粘液性(粘り気)が強いほど炎症が進行していることが伺われます。また、色調は、透明からクリーム色、黄色、さらに黄緑色へと色が濃くなるほど、細菌感染の度合いが強くなり、早めの治療が必要になります。
 相談者さまはアレルギー性鼻炎があるようですが、通常、アレルギー性鼻炎の鼻水はサラサラしていることが多く、粘液性のタンが出続けていることを鑑みると、明らかに別の鼻副鼻腔炎の存在が疑われます。
 ちなみに、黒っぽいタンや血が混じったタン、ピンク色のタンが見られた場合は、炎症性のほかに腫瘍性疾患などにも注意を払う必要があります。

 ③は、タンの出る時間帯です。例えば、「気管支ぜんそく」の場合は、就寝後または夜明け前、「気管支拡張症」の場合は、起床時から昼過ぎまでよくタンが出ます。鼻副鼻腔炎の後鼻漏によるタンの場合は、ほぼ昼夜を問わずに一日中、出続けることが多いのです。

 以上のことから、内科の診療で病状がよくならない場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することが大事です。「タンだから呼吸器の病気」との思い込みは長患いのもとです。

鼻の病気が深刻な症状を引き起こすケースも

 一般的に、ぜんそくのある人は、鼻も悪いことがよくあります。セキが出て呼吸が苦しいと、病院(内科)にはすぐに行きますが、鼻が悪くてもあまり病院にかかろうとしません。

 なぜなら、鼻が悪くても、生死にかかわるようなことは少ないし、鼻が悪いことに慣れている人も多いからです。

 しかし、鼻の病気が重大な結果を引き起こすこともあります。最後に、相談者さまに似た事例を紹介しましょう。
 Aさん(74歳・女性)は15年前からタンが出て止まらなくなりました。それが原因で、急にタンがのどにひっかかって呼吸困難に陥り、意識不明のまま救急搬送されたことが2回ほどありました。

 内科でセキ止めの薬や消炎剤、漢方薬などいろいろ処方されて試したそうですが、症状はいっこうによくなりません。
 むしろ、カゼをひくたびに症状はますます悪化し、ここ数年はぜんそくのようなセキとともに、いつも息が苦しそうにゼイゼイ、ヒューヒューとしていました。また、夜はひんぱんにタンがのどに絡み、それを吐き出すために一晩に3~4回も目が覚めます。

 Aさんはそれまで内科治療のみでしたが、ふと「鼻も悪いのではないか」と思い、去年の5月に当院を受診されました。CT画像を撮ると、両副鼻腔にたくさんのポリープができていることがわかりました。

 Aさんの病気は、特殊なアレルギーで起こる好酸球性副鼻腔炎と判明し、投薬のほかに、9月に内視鏡下でポリープを取る手術を行いました。それから1ヵ月後には、タンもセキもほとんど出なくなり、15年ぶりに朝までぐっすり眠れたと、とても喜んでおられました。

 Aさんのタンやセキは、副鼻腔炎による後鼻漏が原因で起こったものです。副鼻腔炎や後鼻漏は、内科では十分に把握しかねますので、一度、耳鼻科を受診されることをお勧めします。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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