妻の花粉症も私の大腸ポリープも再発せず!
私のクリニックでは、食事療法を治療の柱に据え、料理教室や講座を開催し、患者さんに栄養指導を行っています。
体は食べた物からできています。食事の内容は、非常に重要です。
私たちの栄養指導の基本は、玄米菜食です。
玄米には、多くの栄養素と有効成分が含まれています(下の図解参照)。
それらは、高血圧・動脈硬化・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病や、便秘、ガン、認知症、花粉症・アトピー・ぜんそくなどのアレルギー症状に対し、強力な予防・改善効果を発揮します。
また、免疫機能を活性化して細菌・ウイルスなどからの感染を予防。
老化も防止し、肌のシミ・シワを防ぎます。
私が玄米菜食に着目したきっかけは、妻の花粉症でした。
妻は、40代で花粉症を発症。
鼻水や目のかゆみに悩まされ、セキが止まらず呼吸困難になることもありました。
毎年、花粉の季節になると外出を控え、毎日の食材も、宅配業者に頼っていたほど。
そんなひどい状態が、13年間も続いていました。
しかし、玄米菜食という食事法を知り、妻が試したところ、たった10日ほどで、症状が明らかに治まったのです。
感激した私も早速、実践。1日のうち、2食を玄米菜食に切り替えました。
それが今から17年前、53歳のときです。
妻の花粉症は、それから発症していません。
当時の私は肥満ぎみで、身長168cmに対し、体重が74kgもありました。
若いころ、毎日のように大量の肉を食べていたせいか、尿酸値が高く痛風を患い、何度も発作に見舞われました。
45歳のときには、大腸ポリープを2回摘出しました。
これほど疲弊した体でしたが、玄米菜食を始めたところ、自然にやせ始め、3ヵ月で7kgも体重が落ちました。
痛風は起こらなくなり、大腸ポリープも再発していません。
以後も少しずつ体重が減り、70歳を迎えた今、64kgをキープしています。
クリニックでの診察、付属の介護老人保健施設への訪問をこなしながら、農園を運営。
同窓会では、友人から、「なんでそんなに元気なのか」と尋ねられるほどです。
玄米に含まれる有効成分

認知症や誤嚥性肺炎、肝機能障害にも有用!
クリニックの入院患者さんや、施設の入居者のかたにも、治療の一環として玄米食を提供しています。
おかずのほうは、肉や魚を出す日もありますが、主食は必ず玄米です。
個々の状態に合わせてやわらかく炊くなど工夫をしているので、皆さん、よく召し上がります。
高齢のかたも、食事を残されるケースはわずかです。
年を重ねるにつれ食が細くなり、筋力も衰えるため、高齢者の便秘問題は深刻です。
しかし、私のところでは、玄米のおかげで改善する人が増えています。
また、歯科医師に協力してもらい、皆さんの口腔ケアを行っていますが、一般的な高齢者に比べて、口臭や体臭が少ないと驚かれます。
腸がいい状態に保たれているためでしょう。
ほかにも、高血圧や糖尿病、肝臓病、認知症、誤嚥性肺炎、アトピー、ぜんそくなど、玄米で改善が見られた疾病は、枚挙にいとまがありません。
特筆すべきは、介護保険における要介護度が改善する人が、続出していることです。
一般に要介護度は、悪化することはあっても、改善はまれです。
しかし、今年でいえば、要介護度が1ランク改善した人が7名、2ランク改善した人が6名も現れました。
そのなかには、97歳と93歳のかたもいらっしゃいます。
寝たきりや車イスの状態から立ち上がり、歩くことが可能になった人も3名います。
米ぬかを食べるに当たってはいくつか注意点があります。
腐敗防止や殺菌のため、必ず煎って火を通してください。
また、玄米は農薬の影響を受けやすいため、無農薬や減農薬の米を選んでください。
私のクリニックでも、安全な米を契約農家から仕入れています。
米穀店から米ぬかを分けてもらう場合は、食用にする旨を伝え、できるだけ農薬の少ない玄米のぬかを購入しましょう。
1日の摂取目安量についても考えました。
玄米1合は、約160g、ご飯にすると茶碗2杯分。
そこから取れる米ぬかは、約16gです。
玄米を食べつけない人には、1合分は多いかもしれません。
また、米ぬかを一度に多量にとると、おなかが緩くなることがあるので、10g程度=大さじ2杯強が適当でしょう。
玄米のフィチン酸には、鉄の吸収を阻害する作用があり、これを問題視する人もいます。
しかし私は、玄米の優れた排毒作用は、それを差し引いても余りあると考えています。
例えば、肝機能障害のある人は、肝臓に鉄分がたまりやすいのですが、玄米食が非常に有用です。
玄米のイノシトールが肝機能を改善すると同時に、フィチン酸が過剰な鉄の排出を助けてくれます。
食物は「一物全体」つまり、まるごといただくことで、その機能が最も高まるといいます。
そうした意味でも、米ぬかを食べることはお勧めです。
解説者のプロフィール

島村 善行
島村トータル・ケア・クリニック院長
●島村トータル・ケア・クリニック
http://stcc.jp/wordpress/