医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営

【糖尿病が改善】ウォーキング後の「チーズ」摂取で筋力がアップ!

【糖尿病が改善】ウォーキング後の「チーズ」摂取で筋力がアップ!

「ウォーキング後にチーズなどの乳製品を食べると、筋力がアップするうえに、生活習慣病の予防・改善にも役立つ」ことが、私たちの研究で判明しました。さらに最近の研究では、インターバル速歩後に乳製品をとると、実際に糖尿病や動脈硬化が改善することもわかりました。【解説】能勢博(信州大学大学院医学系研究科教授)


長く運動を続けているとその効果が頭打ちになる

「ウォーキング後に、チーズなどの乳製品を食べると、筋力がアップするうえに、生活習慣病の予防・改善にも役立つ」ことが、私たちの研究で判明しました。
この運動法を、わかりやすく「チーズウォーク」と呼ぶことにします。

このチーズウォークの話をする前に、私たちが考案し、長年指導してきた「インターバル速歩」について触れておきましょう。
 
インターバル速歩とは、ややきついと感じる「速歩き」3分と、散歩程度の「ゆっくり歩き」3分を5セット(計30分)行う運動法です。

これを週4回、5ヵ月以上続けると、筋力と持久力が大幅に向上。
最大で20%アップした人もいます。

さらに、高血糖、高血圧、肥満の人の割合が、いずれも20%減少するなど、優れた運動効果があることがわかっています。

近年は、海外の医療機関でも、研究・活用されています。

しかし、このインターバル速歩を長年続けていると、その効果が頭打ちになる人が出てきました。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病も、ある程度までは改善するのですが、それ以上よくならないのです。

そこで私は、そういった人たちに、インターバル速歩をしたあとに、チーズやヨーグルトなどの乳製品を食べてもらうことを考えました。
乳製品には、筋肉を増やす良質のたんぱく質やミネラル類が豊富に含まれているからです。

これが、チーズウォークの指導を始めるきっかけとなりました。

ところで、生活習慣病の原因は、筋力の低下と深く関係しています。
そのことについて、少しお話ししましょう。

細胞のなかには、エネルギーの産生を行う「ミトコンドリア」という重要な器官があります。
運動不足や加齢によって筋力が著しく低下する(これを「サルコペニア」と呼ぶ)と、このミトコンドリアが少なくなり、残っているミトコンドリアの機能も低下します。

すると、体の各所で慢性炎症と呼ばれる炎症反応が起こってきます。
 
慢性炎症は、全身で起こる微弱で持続的な炎症です。
実は、この炎症が生活習慣病の原因になっていることが、医学的にわかっています。

例えば、慢性炎症が脂肪細胞に起これば糖尿病を招きます。
免疫細胞に起これば動脈硬化や高血圧、脳細胞に起これば認知症、ガン抑制遺伝子(ガンを抑制する遺伝子)に起こればガンを招くことになるのです。
 
したがって、生活習慣病を予防・改善するには、まず筋力をしっかりつけて、ミトコンドリアの活性を高めることが大事なのです。

糖尿病患者のインスリンの効きがよくなった!

では、チーズウォークの効果について、お話ししましょう。

私は、6ヵ月以上インターバル速歩を続けていて効果が薄くなった人たちを、インターバル速歩のみのグループ(運動群)と、インターバル速歩後にチーズとヨーグルトを食べるグループ(チーズ群)とに分け、筋力などの比較・検討をしました。
 
その違いは明白でした。
5ヵ月後、運動群は筋力に変化がなかったのに対し、チーズ群は筋力が平均8%もアップしていたのです。

運動を続けていて筋力の維持ができていた人が、さらなる筋力アップを図れたわけですから、運動をしていない人なら、より効率のいい筋力アップが期待できます。
 
またチーズ群だけは、慢性炎症を引き起こすという二つの遺伝子(NFKB1・2)の活性を、それぞれ平均で29%・44%も抑制していました。

これはチーズウォークで、生活習慣病を招く慢性炎症が抑えられるということです。
つまり、糖尿病や高血圧、動脈硬化、ガン、認知症などを予防・改善する可能性が示唆されたのです。

さらに最近の研究では、インターバル速歩後に乳製品をとると、実際に糖尿病や動脈硬化が改善することもわかりました。
 
糖尿病患者さんの血糖値を連続測定したところ、食後の血糖値の上昇が20%抑えられました。
すなわち、糖を細胞に取り込むインスリンというホルモンの効きもよくなったことを意味します。
 
頸動脈(首の太い動脈)が25%やわらかくなったという結果も出ています。
血管がやわらかくなれば血流がよくなり、動脈硬化や高血圧の改善も期待できます。

最後に、私たちが指導するチーズウォークのやり方をご紹介しましょう。

まず、インターバル速歩を30分行います。その後、30〜60分以内に、チーズ1個(18g)と小カップのプレーンヨーグルトを2個(150g)食べます。
これで約12gのたんぱく質を摂取できます。

チーズのタイプは、プロセスチーズでもナチュラルチーズでもかまいません。
このとき大事なことは、糖質もいっしょにとることです。
糖質をとると、インスリンの分泌が促されます。

インスリンはたんぱく質の合成を促進する働きもあり、筋肉を大きくしてくれるのです。
ですから、チーズといっしょにクラッカーや果物などの糖質を少量とるといいでしょう。
 
なお、チーズウォークは週に4回を目標にし、行った日を記録することをお勧めします。
皆さんも、チーズウォークで効率よく筋力をアップし、ダイエットや生活習慣病の予防・改善に役立ててください。

運動後に乳製品を食べ、筋力アップ、骨強化を狙う運動法

運動後60分以内にチーズとヨーグルトを食べ、同時に糖質を少量とる

能勢 博
1952年生まれ。京都府立医科大学医学部卒業。京都府立医科大学助教授などを経て現在、信州大学大学院医学系研究科・疾患予防医科学系専攻スポーツ医科学講座教授。ウォーキングの常識を変えたといわれる「インターバル速歩」の提唱者。信州大学、松本市、市民が協力する中高年の健康づくり事業「熟年体育大学」で、約10年間で約6000人以上に運動指導。著書に『いくつになっても自分で歩ける!「筋トレ」ウォーキング』(青春出版社)など。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


予防医学の専門家が推奨!甘酒寒天の健康効果と有効な食べ方

予防医学の専門家が推奨!甘酒寒天の健康効果と有効な食べ方

食物繊維はメッシュ状の構造で、その網目に水分を保持することで、腸の中で多くの作用を生み出します。寒天はこの網目が、ほかの食物繊維よりもずっと細かいのです。寒天1gが保持する水分量は100g、つまり100倍の保水力を持ちます。【解説】杤久保修(神奈川県予防医学協会中央診療所予防医療部部長・横浜市立大学名誉教授)


私は「干しブドウ酢」を始めて2ヵ月で血圧が下がり始めた!正常値で安定中

私は「干しブドウ酢」を始めて2ヵ月で血圧が下がり始めた!正常値で安定中

酢に漬けることで干しブドウが軟らかくなるので、とても食べやすく感じました。 こうして干しブドウ酢を食べていたところ、すぐにお通じがよくなりました。このころには肌の調子もよくなり、化粧ののりがよくなりました。肝心の血圧が下がり始めたのは、干しブドウ酢を食べ始めて2ヵ月ほどたったころです。【体験談】小林玲子(主婦・76歳)


40代で始まっている!?認知症を起こす「脳の糖尿病」チェックリストと対策

40代で始まっている!?認知症を起こす「脳の糖尿病」チェックリストと対策

認知症というと高齢者の病気、と考える人も多いでしょう。近年、認知症は「脳の糖尿病」で生活習慣の改善で予防できることがわかりました。認知症は20~30代の頃の生活習慣、特に食習慣の結果でもあります。ですから早めに対処することが認知症予防には欠かせません。【解説】熊谷賴佳(脳神経外科専門医・認知症サポート医・京浜病院院長)


血圧高めの夫の健康管理に私が取り入れたのは【バナナ酢】夫婦合わせて12kg減!

血圧高めの夫の健康管理に私が取り入れたのは【バナナ酢】夫婦合わせて12kg減!

バナナ酢を飲み始めて暫くすると、以前は60kg弱だった体重が、今は56kg前後に。夫の血圧も安定しています。以前は、降圧剤を飲んだ状態で最大血圧は130mmHg台でしたが、最近は、日によっては120mmHg台まで下がるそうです。【体験談】久保田亮子(仮名・パートタイマー・69歳)


1日1さじ、2週間で効果「発酵玉ねぎ」が善玉菌を激増させる!!

1日1さじ、2週間で効果「発酵玉ねぎ」が善玉菌を激増させる!!

発酵タマネギの魅力はおいしさだけではありません。健康面でも糖尿病を改善する、肥満を改善する、便秘を改善する、アレルギーやうつ症状を緩和するといった、まるで万能薬のような効果を期待できます。正確に言えば、発酵タマネギを食べて腸内で作られる物質に、優れた健康効果があります。【解説】藤田紘一郎(東京医科歯科大学名誉教授)


最新の投稿


自律神経が整うと睡眠の質がよくなった!頭皮セラピーのリラックス効果

自律神経が整うと睡眠の質がよくなった!頭皮セラピーのリラックス効果

私の場合、いろいろなプログラムを受けた後、交感神経の数値は下がっても、副交感神経にはほとんど変化がありません。施術直後でこの状態なのですから、普段はもっと緊張しているのだと思います。施術を受けた後、あくびが何度も出たのは、交感神経の緊張が取れ、リラックスした証拠だと思います。【体験談】西野博子(仮名・主婦・53歳)


起床時の「キーン」という耳鳴りが「昆布水」で改善し、高かった血圧も落ち着いた!

起床時の「キーン」という耳鳴りが「昆布水」で改善し、高かった血圧も落ち着いた!

病院での検査の結果、メニエール病と診断され、難聴になっていることもわかりました。めまいは、処方してもらった薬を飲んだら、なんとか治まりました。耳鳴りはその後も続きました。いちばん気になるのは、朝起きたときです。いつも耳の中で、キーンという音がしていました。【体験談】岩佐優(料理店経営・66歳)


【脳の疲労を解消するコツ】睡眠時間は長すぎもNG!寝る姿勢はあおむけ?うつぶせ?

【脳の疲労を解消するコツ】睡眠時間は長すぎもNG!寝る姿勢はあおむけ?うつぶせ?

あまりに寝過ぎると、レム睡眠が急激に増え、ノンレム睡眠がほとんど起こらなくなります。睡眠中は、十分な酸素供給が行われないため、脳は酸素不足の状態です。そんな状態のところに、脳が活発に働くレム催眠が増えると、脳は疲労回復どころか、かえって疲労してしまいます。【解説】保坂隆(保坂サイコオンコロジー・クリニック院長)


夜間頻尿改善のために食べた「干しブドウ酢」トイレの回数が減って効果を実感

夜間頻尿改善のために食べた「干しブドウ酢」トイレの回数が減って効果を実感

効果はすぐに実感しました。食べ始めて2~3日で、夜のトイレの回数が2回に、1~2週間で1回に減ったのです。この変化には、自分でも驚きました。私は、毎朝職場で重機をチェックし、点検表をつけています。今は、老眼鏡を使うのは薄暗い曇りの日だけで、晴れた日は老眼鏡を使っていません。【体験談】佐藤徳雄(重機オペレーター・71歳)


歪んだ体を正す「正座あおむけ」でひざ痛が軽減!過剰な食欲も正常に

歪んだ体を正す「正座あおむけ」でひざ痛が軽減!過剰な食欲も正常に

15秒ですらきつかった姿勢の維持も、1分以上維持できるようになりました。徐々に、しかし確実に、体は変わっていきました。腰痛はすっかり消え、右ひざの痛みもいつの間にか消えていたのです。おなかの冷えからくる腰痛もなくなりました。【体験談】朝倉啓貴(派遣インストラクター・49歳)