MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【糖尿病が改善】1食を「玄米」にするだけ 疲れた膵臓も元気になると実験で判明

【糖尿病が改善】1食を「玄米」にするだけ 疲れた膵臓も元気になると実験で判明

琉球大学医学部附属病院では、病棟や外来の糖尿病・肥満症診療で玄米食を勧め、優れた成績を上げています。玄米を食べることで、脂っこい肉料理よりも、野菜や豆、海藻などを好むようになり、摂取エネルギーが自然に減ったことが挙げられます。血糖値が高い人は、玄米を食べてください。【解説】益崎裕章(琉球大学大学院医学研究科教授)

食事制限やメニュー指定をせずに血糖値が下げる

琉球大学医学部附属病院では、病棟や外来の糖尿病・肥満症診療で玄米食を勧め、優れた成績を上げています。
玄米食で糖尿病が改善した一例を、紹介しましょう。

下のグラフをご覧ください。
40歳の男性Aさんは、食後血糖値がときどき140mg/dLを超えることがあり、糖尿病の薬を服用していました。
食後の短時間に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」は、血管を傷つけて動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなるといわれます。

そこで私は、「3食のうち朝食だけ、主食を白米から玄米にしてください」と指導しました。
すると、食後血糖値はみるみる降下し、すっかり基準値内で収まるようになったのです。

その後も数値の安定が続いたため、糖尿病の薬を中止しました。
今は、食事だけで血糖値をコントロールしています。

皆さんのなかにも、健康診断で高血糖を指摘され、栄養指導を受けたかたは多いでしょう。
おそらく、摂取エネルギーを抑えて、栄養のバランスを考えるように、といわれたのではないでしょうか。
しかし、先ほどのAさんは、「朝食の白米を玄米に替える」だけで、血糖値が改善し、薬をやめることができました。
私は、食事制限やメニュー指定などはしていません。

なぜAさんは、白米を玄米に替えただけで、糖尿病が改善したのでしょうか。

白米を玄米に替えたAさんの血糖値の推移

依存性が高い脂っこい物を好まなくなる

まず、玄米を食べることで、脂っこい肉料理よりも、野菜や豆、海藻などを好むようになり、摂取エネルギーが自然に減ったことが挙げられます。

人類は、飢餓と闘ってきた歴史が長いため、本能的に高エネルギーの動物性脂肪を好む傾向にあります。
そして、高脂肪食を食べ続けることで、「食べずにはいられない」という状態に陥る人が増えています。

高脂肪食への欲求は、タバコや酒、麻薬などに対する依存性を上回ることがわかっています。
「ダメだと思っても、脂っこい物を食べてしまう」のは中毒(依存症)なので、意志の力で阻止するのは困難です。

私たちの研究室は、玄米のぬか部分に含まれるγ‐オリザノールという成分が、脳の視床下部に働きかけ、動物性脂肪に対する嗜好性と依存性を緩和することを突き止めました。
視床下部は、意志とは無関係に内臓や血管、ホルモン分泌などを調整する自律神経の中枢で、「本能をつかさどる部位」とされます。

つまり玄米を食べると、本能的に脂っこい物を好まなくなるのです。

この研究は、世界的権威のあるヨーロッパの糖尿病学会誌『Diabetologia』2017年8月号に掲載されました。

また、玄米に含まれるγ‐オリザノールは、膵臓のβ細胞を保護する作用によっても、高血糖を改善します。
膵臓のβ細胞は、血糖値を下げるインスリンを分泌していて、この細胞が減ると、糖尿病になります。

私たちの研究グループは、二つの実験を行いました。

一つめの実験では、マウスに「高脂肪食のみ」を与えた場合と、「高脂肪食+γ‐オリザノール」を与えた場合を比較しました。
その結果、前者では膵臓のβ細胞が破壊されましたが、後者ではβ細胞の減少を食い止めることができました。

二つめの実験では、β細胞を破壊したマウスにγ‐オリザノールを投与し、経過を観察しました。
すると、β細胞の回復が見られたのです。

糖尿病は、一度発症すると治りにくいといわれますが、玄米が膵臓の機能回復の一助になるとわかりました。
さらに、腸内環境の改善という点からも、玄米が糖尿病に与える影響は少なくありません。

玄米には、食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は腸内の善玉菌のえさとなるので、善玉菌が増えて悪玉菌が減ります。

善玉菌が増えると、腸内では発酵現象が起こり、体にいい物質がたくさん作られます。
その代表が短鎖脂肪酸です。

短鎖脂肪酸は、大腸細胞のエネルギーになるほか、一部が血流に乗って全身を巡り、さまざまな効果を発揮します。
その作用は、血糖値の改善をはじめ、食欲抑制、抗炎症、抗アレルギー、発ガン防止など、多岐にわたります。
玄米をとると、短鎖脂肪酸の血中濃度が格段に上がることがわかっています。

主食が白米やパンで、脂身の多い肉や揚げ物を好み、体重が多めで、血糖値が高い人は、玄米を食べてください。
3食のうち1食でけっこうです。この方法でストレスなく食生活を改善して減量し、糖尿病が改善した人はたくさんいます。

ぜひお試しください。

解説者のプロフィール

益崎裕章
1989年、京都大学医学部卒業。96年、同大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。2000年から3年間、ハーバード大学医学部に留学。09年より現職。日本糖尿病学会研修指導医・専門医。日本肥満学会理事。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
体重100kgの人なら3kg、80kgの人なら2.5kg程度の減量で、条件付きですが糖尿病の改善は可能です。体重が3%減少すると、ヘモグロビンA1cが3%程度下がることがわかったからです。例えば、ヘモグロビンA1cが9%の人なら、だいたい6%程度まで下がります。【解説】吉田俊秀(島原病院 肥満・糖尿病センター長)
こうして手のひらを押していたところ、なんと今年3月の人間ドックではヘモグロビンA1cが6.3%と正常値にまで低下したのです。これで安心したのですが、私の母にはもっと凄い効果が表れました。インスリン注射を1日1回に減らせました。注射は体に大きな負担があるらしく、これには母も大喜びでした【体験談】小池幸子(会社員・56歳)
主人の血糖値ですが、酢タマネギを食べ始めてわずか2ヵ月ほどで100mg/dlまで下がりました。服薬を続けても下がらなかったのに、酢タマネギを食べ始めてすぐに改善したことには驚きました。血圧も下がり、以前は降圧剤を飲んで最大血圧が200mmHgだったのが、今は130mmHg程度です。【体験談】伊林好子(主婦・76歳)
マグネシウムは体内では合成できないため、必ず食品から摂取しなければいけない「必須ミネラル」の1つです。現代の日本人の食生活は、カロリーは満たされていても、マグネシウムが足りない『新型栄養失調』状態にあるのです。その結果、糖尿病や脂質異常症、肥満をきたしやすくなるのです。【解説】横田邦信(東京慈恵会医科大学客員教授)
認知症というと高齢者の病気、と考える人も多いでしょう。近年、認知症は「脳の糖尿病」で生活習慣の改善で予防できることがわかりました。認知症は20~30代の頃の生活習慣、特に食習慣の結果でもあります。ですから早めに対処することが認知症予防には欠かせません。【解説】熊谷賴佳(脳神経外科専門医・認知症サポート医・京浜病院院長)
最新記事
まずチェック項目で自分の足の指がどんな状態かチェックしてみましょう。はだしになって、自分の足の指をよーく見てください。足の指をチェックして気になる項目があっても、あきらめることはありません。「きくち体操」でこれから足の指を育てていけばよいのです。【解説】菊池和子(「きくち体操」創始者】
私は、60歳の今も左右の視力は1・0を保っています。これまでメガネの世話になったこともありません。老眼知らずの状態をキープしている秘密は、私が毎日行っているトレーニング「目のスクワット」にあるのです。毛様体筋をほぐす効果があります。【解説】本部千博(ほんべ眼科院長)
体重100kgの人なら3kg、80kgの人なら2.5kg程度の減量で、条件付きですが糖尿病の改善は可能です。体重が3%減少すると、ヘモグロビンA1cが3%程度下がることがわかったからです。例えば、ヘモグロビンA1cが9%の人なら、だいたい6%程度まで下がります。【解説】吉田俊秀(島原病院 肥満・糖尿病センター長)
これまで、入院患者さん向けの、いわゆる「リハビリ体操」はありましたが、外来の患者さんが希望するような体操はありませんでした。そこで私たちは、血圧を上げる要因である、末梢の「血管抵抗」を減らす筋トレを考案することにしました。【解説】金子操(自治医科大学附属病院リハビリテーションセンター室長・理学療法士)
1日の疲れを取るには、就寝時間や睡眠時間ではなく、「眠りに就いて4時間以内に、深睡眠を取ること」がたいせつなのです。しかし現代人の多くは、深夜にテレビやスマホを見たり、ストレスで体の緊張が取れなかったりして、本来の睡眠リズムが狂い、深睡眠を取りづらくなっています。【解説】白濱龍太郎(睡眠専門医)