MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【漢方薬剤師】目がショボショボ、まぶしいを解消する「クコ湯」の作り方

【漢方薬剤師】目がショボショボ、まぶしいを解消する「クコ湯」の作り方

目の不快症状を改善するには、第一に目をできるだけ休めることが大切です。加えて、肝の働きを助けるクコの実で作る「クコ湯」をお勧めします。【解説】井上正文(薬剤師)

クコの実の効果について

 中国の伝統医学である中医学では、体に現れるさまざまな症状を、五臓(肝・心・肺・脾・腎)と六腑(胆のう・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)との関わりで考えています。
 ここ数年、急増している目の疲れやドライアイ、かすみ目などのトラブルも例外ではありません。特に目は「肝」と密接な関係があり、肝の働きが悪くなると、こうした不快症状に見舞われます。
 私たちの体内では、食事から取り入れた栄養を元に作られた血が巡っています。肝は血を蓄え、目に血を送っています。目は血から滋養を得て力を養い、ものをしっかり見たり、うるおいを保ったりしています。
 肝の働きが悪くなって目に血が行き届かなくなると、目の力も衰えて不調をきたすようになります。
 肝の働きが悪くなる原因は、睡眠不足や働き過ぎ、暴飲暴食、精神的なストレスなど、現代人の生活そのものの中にあります。
 肝の働きが衰えている上に、スマートフォンやパソコンの画面を見て目を酷使すると、不調に拍車がかかります。
 目の不快症状を改善するには、第一に目をできるだけ休めることが大切です。加えて、肝の働きを助けるクコの実で作る「クコ湯」をお勧めします。
 クコの実は疲労回復や老化防止などさまざまな薬効があり、薬膳料理によく用いられます。杏仁豆腐にちょこんと添えられている赤い実を、食べたことがある人もいるでしょう。
 クコの実は肝の働きを助け、肝の血が目に届くように調整します。これにより目の力が回復し、ドライアイや視力の低下、目のかすみなどさまざまなトラブルが解消します。

熱湯を注ぐだけでできる「クコ湯」の作り方

ふやかすことで消化吸収をよくする

 品質のよいクコの実は、鮮やかな赤い色をしており、大きさは小指の爪くらいあります。色が黒ずんでいるもの、小さ過ぎるものは避けましょう。賞味期限が明記されていることも確認してください。
 クコの実は、スーパーマーケットでも購入できますが、生薬(漢方薬の原材料となる天然物)を扱っている漢方薬局やインターネットのショップで入手するのがお勧めです。
 クコ湯は簡単に作ることができます。湯のみにクコの実10粒を入れ、かぶる程度の熱湯を注ぎます。そのまま30分ほど放置すると、硬いクコの実がふっくらとふやけます。こうすることで、消化吸収がよくなります。
 そして、そこに熱湯を湯のみの八分目まで注ぎます。これで、ほんのり甘いクコ湯の出来上がりです。ふやけて軟らかくなったクコの実を食べ、お湯を飲みます。
 目の疲れ、乾き、かすみ、視力低下など、なんらかの症状がある人は1日2回、朝晩の食前(30分~1時間前)に飲みます。食前が無理なら、食後でも構いません。これといった症状のない人も、目のトラブル予防に、1日1回、夕食前に飲むといいでしょう。

2週間ほどで効果を実感

 個人差はありますが、クコ湯の効果は2週間ほどで実感できるようになります。朝晩飲んでいる人は、より効果が早く出るようです。私の元には、クコ湯を飲んだ方から次のような感想が寄せられています。
「パソコン作業を1日続けても、目がショボショボしなくなり仕事がらくになった」「目が乾きにくくなった」「視界が明るくなった」「ものがくっきり見えるようになった」「日中、サングラスをかけなくても光がまぶしくない」などです。
 クコ湯の効果をより高めるには、クコ湯と菊花茶をブレンドしてもいいでしょう。
 菊花も肝に働きかける植物で、目にこもった熱を冷まして目の熱感を取ったり、目の乾燥や疲れを解消したりする効果があります。
 肝は精神や情緒の働きとも関係があり、肝の働きが衰えるとイライラしたり、気持ちが沈んだりします。菊花は、イライラや、落ち着かない気分を鎮める効果もあります。
 菊花茶を適宜作り、クコ湯と混ぜて飲むといいでしょう。菊花には苦味がありますが、甘味のあるクコ湯とブレンドすれば飲みやすくなります。クコの実、菊花茶は、冷蔵庫で保存しましょう。

解説者のプロフィール

井上正文
1978年、明治薬科大学卒業。薬剤師。1984年、群馬中国医療研究会設立に参加、2016年より群馬県前橋市の木暮医院の漢方相談室に勤務。漢方治療の臨床経験は30年以上に及び、講演活動も積極的に行う。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この記事のエディター
関連記事
目の血流は、目の健康に深くかかわっています。白目の血流がよい状態に維持されていることは、ピントや明るさを調節する目の筋肉の機能も間接的に保たれていることを意味します。【解説】浅川賢(北里大学医療衛生学部視覚機能療法学専任講師)
家でも、パソコンゲームをするときは「あご上げ」をすることを山本先生と約束しました。こうして「あご上げ」をやり続けたのです。すると、中学1年生のときの視力検査で、「メガネを持ってきてください」と言われた息子が、中学2年生以降は「見えていますね」と言われるようになりました。【体験談】里田敏代(仮名・主婦・47歳)
効果を感じたのは半月後です。前はパソコン画面にくっつくくらい顔を近づけていましたがそれもなくなり、細かい字が見やすくなりました。最近では「目がくっきりして印象がよくなった」と知人からも言われました。鏡で確認すると、確かにまぶたが持ち上がり黒目がよく見えるようになっていました。【解説】麻生悟(仮名・会社員・52歳)
眼球は表にむき出しになった器官です。その裏側の見えない部分は首の後ろの筋肉とつながっています。目のピントを合わせるには、毛様体筋だけでなく、それにつながる首の筋肉が十分動く必要があるのです。さらに首の筋肉は肩や背中に、背中の筋肉も股関節や足の筋肉など、下半身とも連動しているのです。【解説】山本卓弥(視力回復研究所代表)
目の疲れや見えにくさ、かすみ目など、目の症状を感じているかたは多いのではないでしょうか。そんなかたにお勧めしたいのが、手首にある「養老」というツボです。養老は、目の疲れ、痛み、ショボつき、かすみ目、ドライアイ、近視や老眼と、幅広い症状に効果があります。【解説】深町公美子(A-ha治療室代表)
最新記事
熱中症は7月8月の日中に最も多く見られます。熱中症は、乳幼児から高齢者まであらゆる年代で起こる病気です。なかでも高齢者は重症化する場合が多いのです。また服薬や持病のある方も熱中症にかかりやすいリスクがあるといえるでしょう。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
熱中症は私たちの日常生活の中での注意や工夫で予防することができます。たとえば、服装です。また、水分補給についても、実は「水分」だけを補給するのではいけません。そのほかに、エアコン等の空調の使い方のコツなどをご紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
手洗いの時間の目安は、おおよそ30秒。次のような手順で洗っていくと、少なくともそれくらいの時間が必要であることが実感できるでしょう。
新型コロナウイルスには、まだ特効薬やワクチンはなく、感染しないための予防法を徹底することが重要です。自分一人ひとりができる感染症対策のポイントをチェックしてみましょう。
コンブを水に漬けて冷蔵庫で10日ほど発酵させ、乳酸菌と酵母を培養する「コンブ酵母」が話題になっています。コンブ特有のにおいが軽減し、旨みが濃くなるので、そのまま飲んでも、料理に使ってもよし!食生活に取り入れる人が急増中です。コンブ酵母の作り方と、コンブ酵母の活用レシピをご紹介します!【レシピ】COBOウエダ家

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル