たんぱく質不足の患者さんが非常に多い!
東洋医学では古くから、食と健康の関係が重視されてきました。
私の治療院でも、鍼灸治療に加え、食養生を患者さんに指導しています。
私の勧める食養生は、高たんぱく・低糖質が基本です。
来院する患者さんの食事内容を詳しく伺うと、ご本人はちゃんと食べているつもりでも、実は栄養が十分ではありません。
特に、たんぱく質不足に陥っている場合が非常に多いのです。
不足すると、どういったことが起こるのでしょうか。
たんぱく質は、血や筋肉をつくる材料です。
筋力の低下は体のさまざまな部位に影響を及ぼします。
例えば、脊柱起立筋という背骨を支える筋肉群が衰えると、姿勢が前かがみになります。
気づかないうちに胸や胃が圧迫され、呼吸が浅くなったり、胃腸の働きが鈍ったりします。
その姿勢のまま顔を上げて生活すると、首と肩に負担がかかり、コリや痛みが生じます。
これは、ほんの一例に過ぎません。たんぱく質は体をつくる原料ですから、不足すると、多くの不調の原因となります。
たんぱく質をしっかりとることで、それまで原因不明とされた不定愁訴や、なかなか治らなかった症状が軽快するケースが多く見られるのです そこで、高たんぱく食の核としてお勧めしたい食品が、卵です。
卵は、ヒヨコとして成長するまで必要になる栄養が含まれた、ほぼ完全栄養食です。
ひと昔前までは、コレステロールの過剰摂取を避けるため、卵は1日1個まで、といわれていました。
困ったことに、今でも、これを常識として信じている人がおおぜいいます。
私は、この誤ったイメージを打ち消すために、患者さんには「1日10個食べても大丈夫」と説明しています。
しかし、無理して食べる必要はありません。おいしく食べられる範囲で、多めにとれば十分です。
たんぱく質をとるならダイズなどの植物性食品のほうがいい、という見方もあります。
けれども私は、かつて厳格な菜食主義を貫いていた経験から、人体における動物性食品の役割や重要性を実感しています。
ヒトは本来、肉食傾向の動物です。
体の構造に適した栄養を摂取するため、動物性食品は欠かせないのです。
慢性疲労や頭痛、ぜんそくにも効果あり
実際に、卵を多くとるようにして、健康効果のあった患者さんの例をご紹介しましょう。
20代の男性は、過敏性腸症候群を訴えて来院しました。
10代のころから腸が弱く、ストレスや疲れから、すぐに下痢をしていました。
慢性的なたんぱく質不足から、腸粘膜が弱っているようでした。
鍼灸治療と並行し、食養生を指導。
卵は、1日3個から始めて徐々に増やしたところ、「肉よりも卵中心で」というご本人の希望もあり、3ヵ月後には1日に10個食べるようになりました。
このころから下痢をすることがなくなり、過敏性腸症候群を克服できました。
70代の女性は冷え症に加え、ひざや腰の痛みがありました。
動物性食品をほとんどとっていないそうで、体力は低下し、爪はボロボロ。
そこで、市販のプロテインの摂取に加え、1日に卵を3個食べるよう助言したところ、1年後には爪が正常になり、冷え症が改善。
腰痛は解消し、ひざ痛も軽減しました。
リウマチが治ったケースもあります。
40代の女性は、産後に関節リウマチを発症しました。
専門医のもと、抗ガン剤にも使われる強い薬で治療していましたが、副作用が怖くなり、私の治療院を訪れました。
リウマチのような自己免疫疾患は、たんぱく質不足が原因ともいわれます。
鍼灸で症状を緩和しながら、プロテインと肉食に加え、1日5個の卵をとるようにしました。
すると半年ほどで、痛みや腫れが大幅に軽減。
現在では、薬なしで日常生活ができるまでになりました。
卵を3個以上とるようにして改善した症状はほかにも、虚弱体質、貧血、慢性疲労、ネコ背、肩こり、頭痛、生理痛など多岐にわたります。
不妊症の治療をしていた女性が子宝に恵まれた例も、少なくありません。
なにより、私自身が効果を実感しています。
私も若いころから過敏性腸症候群で、週に2~3回は、おなかを下していました。
ひどい冷え症で、アトピー性皮膚炎やぜんそくも患っていました。
しかし、卵を活用し、高たんぱく・低糖質の食事を実践し始めて、3年ほどかけて体質が改善されました。
今は、いずれの症状もなく、体が丈夫になったと感じています。
私は近年、自家用に養鶏をしていて、生みたての卵を、毎日5~6個食べています。
卵料理はバリエーションが豊富なので毎日食べても飽きません。
朝食を、スクランブルエッグにすることが多いですね。
皆さんもぜひ、食生活に卵をプラスして、健康度を高めてください。
野村哲也
はり・きゅう丙辰堂治療院院長・養鶏家
●はり・きゅう丙辰堂治療院
http://heishindou.com/