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【3種の酢で実験】血圧を下げるには「穀物酢」が最適!加熱で降圧作用アップ

【3種の酢で実験】血圧を下げるには「穀物酢」が最適!加熱で降圧作用アップ

「酢は体にいい」というイメージを持つ人は多いと思います。よく聞くのは、「血圧を下げる」「内臓脂肪を減らす」などの健康効果ではないでしょうか。実際、2001年には、食酢に含まれる酢酸に、血圧の上昇を抑制する作用があることが報告されています。【解説】森永八江(山口大学教育学部講師)

解説者のプロフィール

森永八江
青森県立保健大学助教を経て現職。教育学部家政教育コースで、栄養について教鞭を執る。研究テーマは「ヒトと健康」「ヒトと栄養のかかわり」「食品の機能性成分」。管理栄養士。健康科学博士。

血圧は8時間後も低いまま!

「酢は体にいい」というイメージを持つ人は多いと思います。
よく聞くのは、「血圧を下げる」「内臓脂肪を減らす」などの健康効果ではないでしょうか。

実際、2001年には、食酢に含まれる酢酸に、血圧の上昇を抑制する作用があることが報告されています。

そのメカニズムは、アンジオテンシンⅡという生理活性物質の働きを抑えるというものです。
アンジオテンシンⅡは血管を収縮させるため、過剰になると血圧が上がり、動脈硬化を招くことがわかっています。
酢酸には、アンジオテンシンⅡの働きを抑制し、血圧の上昇を防ぐ作用があるのです。

こうした作用を持つのは、酢の成分のなかで、酢酸だけなのでしょうか。
私たちはそれを調べるため、今から約10年前、3種の食酢を使って実験を行いました。

穀物酢・リンゴ酢・純米酢から酢酸を除去して粉末にし、それぞれのACE阻害活性(アンジオテンシンⅡの産生を阻害する力)を測定したのです。

すると、穀物酢>純米酢>リンゴ酢の順で、いずれも酢酸より強いACE阻害活性があることがわかりました。
つまり、これら3種の酢には、酢酸以外にも、アンジオテンシンⅡの働きを阻害する物質が、相当量含まれているのです。

さらに、最もACE阻害活性の強かった穀物酢で、動物実験も行いました。
高血圧を自然に発症するラットを、①水だけを飲む群、②降圧剤を飲む群、③酢酸を除去した穀物酢の粉末を飲む群、の三つに分け、2時間ごとに血圧を測定しました。

その結果、水を飲んだ群は血圧が高いままでしたが、降圧剤を飲んだ群と、穀物酢を飲んだ群は、2時間後および4時間後に血圧が有意に低下しました。

そして、6時間後、8時間後でも、穀物酢を飲んだラットの血圧は低いままでした。
穀物酢は、血圧降下作用が持続するということです。

穀物酢を与えたときのラットの血圧の変化

酢の刺激が苦手なら加熱して酸味を和らげる

加えて私たちは、酢を加熱することによって起こる変化についても調べました。

結果は、穀物酢と純米酢では、加熱することでACE阻害活性が若干高まりました。
一方、リンゴ酢では、加熱するとACE阻害活性は低下しました。

以上の実験結果からいえるのは、まず、酢には、酢酸以外にも血圧の上昇を抑える成分が含まれているということです。
成分の特定には至っていませんが、グルタミンとプロリンが多く含まれるペプチドであると予想されます。

そして、3種の酢のなかで、血圧の上昇を抑制する作用が最も強いのは、穀物酢だということです。
実験で使った穀物酢の原材料は、小麦・酒かす・米・コーン・アルコールでした。

もちろん、冒頭でご説明したように、酢に含まれる酢酸にも降圧作用があります。
酢酸は揮発性なので、加熱すると飛んでしまいます。
酢酸の健康効果を100%享受したければ、加熱せずに摂取するのが理想です。

とはいえ、家庭で調理する場合、酢酸がすべて飛んでしまうことはないでしょう。
また、前述したように、加熱しても酢酸以外の降圧成分は残り、若干ですが、活性が高まります。

けっきょく、酢で血圧降下作用を得たければ、毎日とりやすい方法で摂取するのがいちばんです。
酢のツンとした刺激が苦手な人は、煮物や炒め物に加えて加熱し、酸味を和らげるといいでしょう。
それでも健康効果は得られるのでご安心ください。

なお、血圧が高い人は、塩分を控えるよう指導されている人も多いでしょう。
酢を使うと、味の物足りなさを補うことができ、自然と減塩できます。

そうした意味からも、日々の食生活に酢を上手に取り入れていただけたらと思います。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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