解説者のプロフィール
たんぱく質不足から円形脱毛症を発症!
私はメディカルコーディネーター・血液栄養診断士として、22年間活動しています。
相談者の60項目以上にわたる血液データから、不足していると思われる栄養素を食生活に加える提案をして、健康状態を引き上げるアドバイスをするのです。
経験上、不足している栄養素の第1位は、たんぱく質。
カロリー(エネルギー)は十分でも、体に不可欠な栄養素が不足している、現代型栄養失調のかたが多く見られます。
そうなると、まず、生命活動にかかわりのない部位から変化が現れます。
髪が抜けたり、肌がたるんだり、若々しさが消えていくのです。
毛髪の悩みを抱えるかたには特に、たんぱく質が髪の材料になることを話すと、その重要性を納得してもらえます。
そこで、たんぱく源として私がお勧めしているのが卵。
蛋白質の「蛋」は、もともと「卵」を表す漢字ですから、たんぱく質を多く含む代表的な食材といえます。
卵は、ほぼすべての栄養素が含まれる完全栄養食です。
含まれるアミノ酸は、バランス的にも質的にも優れています。
私は、卵を1日3個食べています。
皆さんにもそう勧めていますが、驚かされるのは、いまだに「コレステロール値が高くなるから卵は1日1個まで」と信じている人の多いことです。
卵を多く食べてもコレステロール値に影響がないことは明らかになっていますし、それは私自身や相談者の、22年間の血液データからもわかります。
私が卵を強く推すのには、もう一つ理由があります。
若いころに体調をくずし、卵に救われた経験があるのです。
ときはバブル時代。当時の私は、芸能マネージャーとして寝る間もなく働いていました。
27歳でスタイリストとして独立しましたが、過酷な勤務の末、健康を害してしまったのです。
これ以上仕事を続けられないと決断したのが33歳のとき。
強いストレスからか、固型の食べ物を受け付けなくなり、スープのみの食事が日常化していました。
その結果、極度の栄養失調に陥ったのです。
身長163cmで体重は39kg、ウエストは50cmと、ガリガリの体形でした。
腕はまるで棒のよう。筋肉が減ったせいで、お尻から太ももの皮膚が、老人のようにたるんでいました。
顔はもちろん、全身の肌からハリが失われ、シワやシミも相当ありました。
髪は抜けやすくなり、気づかぬうちに頭頂部が円形脱毛症になっていたのは、かなりショックでした。
生理も3年ほど、止まったまま。加えて、更年期障害のような関節痛も発症していました。
以前の体重まで回復し肌のハリも戻った!
これほどひどい状態でしたが、薬中心の病院での治療には疑問がありました。
そこで、整体院や鍼灸院に通ったところ、整体師の先生から、「毎日、卵を10個食べるといいよ。コレステロールは高くならないよ」と、アドバイスを受けたのです。
そこから、1日10個の卵生活が始まりました。
かき玉スープや茶碗蒸し、卵焼き、目玉焼き、そしておやつとしてのゆで卵。
さまざまな工夫を凝らして実践するうちに、徐々に体重が増加し、1年ほどで以前の45㎏まで回復しました。
それに伴い、円形脱毛症も改善。肌にハリが戻り、筋肉量も増えました。
体調も、少しずつ上向きになっていきました。
健康状態が戻りつつあるときに出合ったのが、分子整合栄養学です。
体調不良や発病の原因に栄養不足が関係していることや、人には自然治癒力があることを血液データで裏付ける、健康の本質を学びました。
私は肉や魚を積極的に食べるようになった今も、1日卵3個を欠かさず、たんぱく質を十分にとっています。
そうした栄養療法を、長年続けているおかげか、現在57歳ですが、しばしば実年齢より若く見られます。
驚かれるのは、腰まで届くボリューム豊かなロングヘア。
これまで毛染めをしたことはないのに、黒髪をフサフサの状態で維持できているのは、ありがたい限りです。
カゼにも無縁でパワフルな毎日を送ることができ、生活の質の重要性を感じています。
友人の脳科学者の女性は、52歳のときに、私のアドバイスで卵を1日3個以上食べる生活を始めました。
当初の目的は、更年期の骨粗鬆症予防でしたが、気がつけば、部分カツラを使うほどだった薄毛が、すっかり解消。
3年ほどしてから受けた検査で、脂肪肝が完治していたと大変喜んでくれました。
皆さんも毎日の食事に、卵を3個プラスしてみてください。
きっと3ヵ月ほどで、髪や肌の変化を実感することでしょう。
十分な量のたんぱく質が肌や髪の状態を改善(空海記念統合医療クリニック院長 星野惠津夫)
卵には、脳の働きを維持するために欠かせないコリンやレシチンが豊富に含まれています。
佐藤さんは、低栄養のため、体力とともに脳の働きも低下し、神経性食欲不振症に陥っていたのでしょう。
卵を大量に食べ、不足していた栄養を補うことができたため、体調が回復しました。
たんぱく質は、生物の体を構成するのに中心的な役割を担います。
必要十分な量が補充されれば、体の末端である肌や髪の状態も、改善されます。
佐藤智春
NPO法人分子整合栄養医学協会認定・血液栄養診断士。メディカルコーディネーター、バイタルアナリスト。著書に『卵を食べれば全部よくなる』(マガジンハウス)、『男は食事で出世させなさい』(ポプラ社)などがある。